「ぅおわッ!!」
「みがるなやつ!」



目の前に突如現れた散弾銃にアレンは目を見張る。“退魔ノ剣”を握った自身の腕をバネにして、アレンは散弾銃から逃れた。勢いよく連射された銃弾は床に突き刺さる。アレンに気を取られている内に、レベル4の背後に回った神田が勢いよく切りつける。しかし、直ぐに気付いたレベル4が神田に向かって銃弾を放ち、それを代償にして神田は六幻を振りかざす。神田の全身に銃弾が突き刺さった。



「“三幻式……爆魄斬!!”受け取れッ」
「!!!」



神田によって斬られた左腕と右足が爆発し、それにとどめを刺そうとアレンが“退魔ノ剣”を振りかざすが、それをレベル4はあろう事か歯で止めた。その事に吃驚したアレンは隙を突かれ、レベル4に蹴り飛ばされて壁まで吹き飛ぶ。口から“退魔ノ剣”を吐き出したレベル4はアレンに向かって発砲する。走って避けるアレンだが、直ぐに捉えられて被弾する。



「しねしねしねしねしねしねッ!」
「ぐ……ッ」
「アレン!!(駄目だッ、4の攻撃音がうるさくて状況がわからない!拡張器があれば戦えるのに……くそッ!)」
「なんてしぶとさだレベル4。……やはり、元帥無しではムリなのか……?(奈楠の体は、これ以上酷使しては大変なことになる……!あれだけのレベル4を相手にしていたのだから無理もないが……!勝てないのか、ウォーカー!?)」
『……ッ、ア……レン…!!』



その時、レベル4の後ろに落ちていた“退魔ノ剣”が、何かに操られるようにして動いた。アレンが叫んだ瞬間、“退魔ノ剣”がレベル4に突き刺さる。



「“神ノ道化”ッ!!!!」
「ぐぁあああぁあぁああぁ!!!」



















「が……っ、ばかか……っ、おま……えも…ささっている……よ」
「これは邪悪なモノだけを斬る退魔の剣だ。ノアやAKUMAにしか効かない!」



レベル4を貫いた“退魔ノ剣”は、そのままアレンにも突き刺さっていた。「邪悪なモノだけを斬る」という利点を生かし、これ以上レベル4が動かないようにとアレンが見出した策だった。



しかし、剣の刺さった部分がズグリ、と疼く。その事に吃驚したアレンは自身のイノセンスの名を紡ぐ。ゴプ、と口の端から流れ出した血。それが、矛盾を物語っていた。



「神ノ……道化……?」
「じゃあくなものだけを……?なにをいっているのでしょう」

















「じゃあおまえはなぜくるしんでいる」


















「がぁああああぁあああぁぁあぁああぁあああぁッッ!!!!!」



体に走る激痛に、アレンは頭を押さえて叫ぶ。ザザザ、と頭の中に響くノイズに自分でない何かを感じていた。アレンの様子がおかしい事を察知した神田達は目を見開く。



「!!?」
「アレン!?」
「(!!!)」
「(“退魔ノ剣”があいつに効いてる!?)」
『“……監査官、この子供は頼んだわよ”』
「ッ!?奈楠!!?(口調が……?……まさかッッ!!)」



苦しみ悶えて頭を押さえているアレンに向かってニヤリと笑ったレベル4は、口を開けて光線を発射する。



「わけの…わからないやつ…きえちゃえ」



ニコリと笑っていた。アレンの手がすっ……とレベル4の顔に添えられ、レベル4の動きは止まる。






































「のぁ……っ」



















ドン!!!!!



神田の“六幻”と奈楠の“紅”がレベル4の口を通って、アレンの顔の横に突き刺さる。神田と奈楠はアレンの瞳を見つめ、叫んだ。



「『バカモヤシ!!!!!!!!』」



その瞬間、“紅”と“六幻”、“退魔ノ剣”が動く。その事に気付き、驚いたレベル4。



「なにぃ!?」
「「『ぉおおおぉおおぉぉおぉおおおおぉッッ!!!!!!』」」



3人が一気に刀を振れば、レベル4はAKUMAのオイルを撒き散らしながらバラバラに引き裂かれた。後に残るのは3人の荒い息遣いと静寂。それぞれはイノセンスの発動を解く。



「…………ちょっと」
「あ゛?」
「……“アレン”だっていってんでしょ」



奈楠までモヤシって言いましたよね?酷いなぁ、と苦笑するアレン。神田はフンと鼻を鳴らし、アレンから顔を背けて奈楠を見る。



イノセンスの発動を解いてから微動だにしない奈楠を2人は不思議そうに見つめる。徐ろに上げられた奈楠の顔を見つめ、神田とアレンは息を呑んだ。



「……っ、奈、奈楠…?」
「お、前……その瞳…………!?」



奈楠の深い澄んだ黒い瞳は、煌々と光を放っているような金色に変わっていた。心なしか、纏っている雰囲気も研ぎ澄まされた鋭利な物に変わっている気がする。



ゆっくりとアレンに向かって足を進めてくる奈楠を見ているだけで、神田とアレンの体は動かない。奈楠はアレンの頬にそっと手を添え、互いの額をくっつけて呟いた。



「ッ!?」
『“まだ、起きるのには早すぎるわ……もう少し、寝ていなさい……”』
「…………奈、楠……?」



アレンが目を丸くして、奈楠の金の瞳を見つめる。2人の距離の近さや、もしかしたら、という自分の考えにイライラした神田がグイ、と奈楠の腕を引っ張ってアレンから離れさせる。



「オイ奈楠!?」
「ちょ、神田!……奈楠…?」
『……………………………………………………あ、れ……?私……今、何してた……?』



パチクリと目を丸くして神田とアレンを見つめる奈楠の瞳は黒に戻っていた。いつもの奈楠に戻ったことにホッとしたアレン達は、立ち上がって「何もしていない」と告げる。何処か腑に落ちない様子の奈楠を連れて、アレン達は院長や子供達の元へと戻る。



リンクは、その様子を焦ったように見つめていた。


















オ、ハ、ヨ、ウ

(足りないピースを埋めるように)
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