レベル2から抜け出して、レベル3に取り憑こうとしたティモシーだったが、レベル2までが限界だったティモシーは、取り憑くことが出来ない。顔を青ざめている内に、レベル3がティモシーの肉体に辿り着き、今にも壊さんとする。気付いた時にはもう遅く、逃げれるか逃げられないかの瀬戸際。ティモシーは即座に本体へと戻ろうとする。



「肉体を消しゃ、適合者もクソもないわッ!!」
【本体戻りぃマスター!憑けるAKUMAはもうおらんッ!逃げぇ!!!】
「オレの体……!!!」
「消えろ適合者ぁぁーッ!!!」



























『させるかぁああぁあぁッ!!』
「“衛羽”ッ!!!」






















「あっ……あんちゃんッ……!姉ちゃんッ!!!!!」
「キミがAKUMAを浄化してくれたおかげで、ダークマターが解けてきた。まだ、私は終わらないようだ」
『リンク……ッ!!!』



既のところで駆けつけた奈楠とリンク。リンクが術札を使い、奈楠が“ボルグ”を使ってティモシーを守る。しかし、レベル3の並外れた力に押し負けているのか、札は段々と剥がれ落ち、“ボルグ”はミシミシと音を立てていた。



そして更には、リンクの体に走る亀裂。原因のAKUMAが浄化されたといえど、体が元に戻るにはまだまだ時間がかかるようだった。



「しぶとい奴らめッ!死ねェッ!死ぃね…………ッ!!!」
「亀裂がっ……、体まだ元に戻ってねーじゃんっ!壊れちゃうよ!死んじゃうよーッ!!」
『リンク……ッ!“リカバリー”!!』
【主!!“氣”を使い過ぎですッッ!!!これでは最後までもつかどうか……ッ!!!】
『(私のことは気にしないで、今は目の前の戦闘よ!!!)』
【踏ん張れあんちゃん!姉ちゃん!マスター守ってぇー!!】
「すみませんッ…奈楠…!」



音を立てて亀裂が入っていくリンクに、見て見ぬふりを出来なかった奈楠は、急いで最大限のリカバリーをリンクに掛ける。しかし、神田やアレン達、更にはエミリアや院長、子供達にまで“プロテクション”を掛けており、ティモシーを守るために“ボルグ”を発動している奈楠にとって、新たに“リカバリー”を発動するのは辛すぎることこの上なかった。その証拠に、リンクに掛かった“リカバリー”は殆ど効いていない。ゴプ、と喉から何かが込み上げて、気付いた時には奈楠は吐血していた。それを見たティモシーは更に焦る。



『く……ッぁ、は……ッ!』
「姉ちゃんッ!!!っ……そだッ!オレがあんちゃんに憑いたら、あんちゃんがオレのイノセンスの力使えるんじゃね!?」
【ムリ!憑神が神化でけるんはAKUMAだけや!】
「奈楠!“リカバリー”の発動をやめなさい……ッ!このままでは……!」
『うっさい……!やれることはやらなきゃ駄目でしょうが……ッ!!!』
「どけぇッッ!!!!」



アレンが奈楠達の元に向かおうとした瞬間、それを阻むようにレベル4が“悪魔叫”を発する。その頭に突き刺さる様な咆哮に直接当てられた者は、次々と膝を付く。アレンと神田は咄嗟に耳を塞ぎ、マリは離れた所に位置していた為それ程影響は大きくないが、術やイノセンスを使って両手が塞がれていた奈楠とリンク、そして反応できなかったティモシーとエミリアには、酷すぎる位に影響していた。



「い、いたいよ…頭がわれる…ッ」
【マスター…!】
「ぐッ……(術が……!)」
『く……っそ……!』



元々限界に近かったリンクの術は勿論、奈楠の“治癒の祈り”の全ての技が限界に達し、発動が解かれる。レベル3が振りかざした拳が自分達に近づくのを呆然として見るリンク。



「(ダメか……長……官、)」





































衝撃を覚悟して目を瞑るが、一向に衝撃は襲ってこない。不思議に思ってリンクが目を開けると、目の前に広がる緋と黒。レベル3の拳を止めている2人の男女が目に入った。



1人は言わずもがな奈楠。最後の力を振り絞り、“跳ぶ人”を発動させて片足を振りかざしてレベル3の拳を止めていた。しかし、その隣に居る長身の男は……?突然現れた男が自分の拳を止めたことに驚いたレベル3。



「!!??何だお前……エクソシスト……!?いや、イノセンスの感じはしない……」
『(……ッ、マダ…ラオ……だっけ)』
「3か……」
「!!(この声……ッ!)」



隣にいる男の正体に気付いた奈楠は、少しだけ口角を上げる。「3か」と笑って呟いた男の声を拾ったリンクは、聞き覚えのあるその声に驚愕する。


「奈楠・本多……イノセンスの発動を止め、後は私に任せろ。その体では最早限界だろう」
『は、冗談』
「……巻き込まれるぞ」
『…………はぁ……了、解』
「…………“発動”」



奈楠が“跳ぶ人”の発動を解いた事を確認したマダラオは、左手の封印を解いて発動する。目の前に居たレベル3は自身のボディの違和感に直ぐに気付く。しかし、もう遅かった。吸い込まれるようにして、レベル3のボディが歪んでいく。



「なんだ?ボディが……ッ?」
「“喰機、開闢孔”!!…喰ってやれ」
「ぎゃぁあああぁああああああぁぁあぁああぁあああッ!!!!!」
「!(AKUMAを、倒した!?)」



煙を発し、シュゥウウゥ……と音を立てながら左手の発動を解くマダラオ。リンクが呟くように名前を呼ぶのを横目に、微動だにしなかった。



「マダラオ…?“鴉”のお前が、何故…?」
「……新手のエクソシストか?」
「まいったな……。本気で今日は、いいとこナシですよ……」
「テメーがいつまでも奈楠と監査官の方気にして集中しねェからだろ、タコ」
「神田うるさい」



「ばかな……どうやってけっかいをやぶった………………!!」



結界を通り抜けてやって来たマダラオの存在に疑問しか抱けないレベル4。呆然としてマダラオを見つめるが、ヒシヒシと感じる自身に向けられた殺気に気付いて我に返る。そこには、それぞれの武器を向けてレベル4を睨みつける神田とアレンの姿があった。レベル4は、ニヤリと笑う。



「しぶといなぁあ」



















いいとこ無し!

(エクソシストはAKUMA退治が仕事でしょう?)
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