「、プロテクションが戻った……!」
「ックソ……、いらねェ心配かけさせんじゃねェぞバカ奈楠が!」



レベル4と対峙していたアレン、神田、マリ。不意に体を包んだ温もりに、ハッとして自身の体を見回せば、再び淡い光で包まれた全身。思わず安堵し、息をついた。奈楠が無事だと分かっただけで、こうも心の持ちようが違うのだ。どれだけ彼女の存在が心を占めているのかを痛感した。



「おりゃぁあああぁああぁあぁあぁッ!!!」
「!??なんだっ?」
「AKUMA同士で戦り合ってやがる」
「仲間割れか?」



突如目の前を物凄い速さで横切っていったAKUMA2体。よくよく見てみれば、レベル2AKUMAがレベル3AKUMAを蹴り飛ばし、壁に激突させている所だった。今迄に見たこともないその光景に唖然とするアレンだが、自分の頭に落ちてきた何かで我に返る。地面に落ちる前にそれを拾う。



「!?万年筆?」



アレンが拾ったそれは万年筆。まじまじとそれを見つめていれば、今度はアレンの上半身に何かが落ちてくる。万年筆の重さとは比にならないほど重く、アレンは思わずぐえっとカエルが潰れた様な声を出す。慌てて自分の上に乗るものを下ろすと、アレンは驚愕の声を上げた。



「ティ、ティモシー!?」



















































【戦り方は人に憑いた時とさして変わらんで。憑いたAKUMAの身体能力・技はマスターのもんになる。元はAKUMAでも憑神によって対アクマ武器化した今は、その能力はAKUMAにも効くんや。ただし「わかった!コイツの技は確かー……あれだ!」ちょっ、まだ説明……っ】



レベル3AKUMAを壁に激突させたティモシーは、ツキカミからイノセンスでの戦い方を教えて貰っている所だった。早くAKUMAを破壊したかったのだろうか、ティモシーはツキカミの説明もそこそこに、先程自分が目の当たりにしたレベル2AKUMAの技を使おうとする。まだ説明し終えていないツキカミは焦るばかりだ。



「なんだって!!?」



ティモシーと共に吹き飛んできたティムが、アレンにジェスチャーで今起きている状況を説明する。ある程度状況を理解したアレンは、頭の中で整理する。そして思わず、声を上げた。その声に反応した神田は聞き返す。アレンはレベル2AKUMAを指さす。



「なんだモヤシ!」
「あっ、あれ!あのAKUMAにティモシーがとり憑いてるって、ティムがッ!!」
「な、」
「な」
「「「(なんだって!!?)」」」



不意を突かれたように、レベル4も目を丸くする。AKUMAに憑依するエクソシストなど、前例が無かったのだろう。そんな事を思われているとは知らず、ティモシーはレベル3に技を使った。ゆっくりと6秒が経ち、レベル3の体がピキピキと硬化していく。どうだ!と言わんばかりにティモシーは拳を握って振りかぶる。



「院長先生やあんちゃんを人形にしたクソ技だいっ!く・ら・え、怒りのぉー……鉄拳!!!」



ドゴォ!と思い切り、硬化させたレベル3を拳で突き破る。見事爆発した1体を尻目に、もう1体を破壊しようとそのままの勢いで突き進むが、その拳は止められた。止められるとは思っていなかったティモシーは、思わず声を上げる。ティモシーの拳を止めたのはレベル3だ。



「!?えっ……!?」
「ざぁんねん。いくら対AKUMA武器化したところで、所詮“元は”レベル2。こっちはレベル3」
「ぴっ、うげ!?」
「格上なんだよッッッ!!!!」
「うわあぁああぁあああぁあぁああぁ!!!」
「“マスター!…あぁもう言わんこっちゃない……!ワイの話を聞かんかーッ!”」
「えっ!?ティモシー!?」



レベル3がティモシーを殴り、ティモシーは思い切り飛ばされる。ティモシーの肉体に憑依したツキカミが、心配そうに壁に激突したティモシーに近寄る。いきなり動き出したティモシーにアレンは目を丸くする。それもそのはずだ。周りからはツキカミの姿が見えないので、レベル2に憑依したティモシー、ティモシーの肉体に憑依したツキカミと、ティモシーが2人いるように見えるのだ。



ティモシーを見つめるエミリアの瞳は揺れている。思わず駆け寄りそうになった彼女の体を奈楠は抑えた。エミリアの目を見て、首を振る。



「奈楠さん……ッ、ティモシーが!」
『大丈夫。……大丈夫だよ、Ms.エミリア。イノセンスが、ティモシーを守ってくれる』



今飛び出していったら、それこそAKUMAの思う壺。お願いだから、ジッとしていて?と優しく言う奈楠にエミリアは小さく頷いた。今すぐティモシーの元に駆け寄りたいが、奈楠の言葉を聞き、グッと我慢した。奈楠は人形と化したリンクの体を引き寄せる。そして、アレン達と対峙しているレベル4に目を向けた。加勢に行きたい所だが、リンクとエミリアを残してはおけない。“水龍”を使おうにも、先程の大量のレベル4との戦闘で水のストックは底をついた。“紅”の“分裂(ディヴァイジョン)”で遠隔操作、としても良いのだが、ここからでは距離が遠い。神田達の位置が分からない。誤って刺してしまう危険性があった。いくらプロテクションが発動しているとはいえど、それだけは避けたかった。



要するに、手も足も出せない状態だった。せめて、リンクが起きていてくれれば良かったのだが。



『(は……、自分の力を思うがままに操れないで、何が元帥だ……!考えろ……頭を回せ!仲間を守ってこその私でしょうがッ!)』





























Welcome,new innocence.

(強さに貪欲であれ。自分の強さを見極めろ)
(傲慢である者の行く末は、脆く儚い)
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