「返事しろッ!リンク!!!」



アレンは爆発音がした方向へと走る。例え鴉といえど、所詮は生身の人間。AKUMAに叶うはずがないのだ。即座に助けようとするが、真後ろで感じた殺気に一瞬躊躇する。そこには腕を散弾銃にコンバートしたレベル4がいた。アレンに標準を定め、ニヤリと笑っている。



「たにんをきにかけるよゆうがあるの?」
「がッ……!」



近距離で降り注ぐ銃弾になす術は無い。アレンは何十発もの銃弾をくらい、吹き飛ばされる。プロテクションのお陰でAKUMAウイルスは効かないものの、その威力は計り知れない。思わず地面に膝をつき、アレンの体は崩れ落ちる。意識が、飛んだ。



「アレン!」



アレンを援護しようとマリと神田が向かおうとするが、その行く手をレベル4の銃弾が阻む。しかし、2人はその銃弾をものともせずに進んでゆく。アレンの元まであと少し、という所で彼らはとある違和感に気付いた。そう、体を包んでいた暖かい温もりが消えた感覚。バチン!と空気が弾けた音がして、神田とマリ、そしてアレンの体を包んでいたプロテクションは効果を失った。その事実を受け止めきれずに、2人は目を見開く。最悪の事態を想像せずにはいられなかった。



「な…、…プロテクションが、切れた…?」
「ッまさか……っ!?ふざけんな!!」
「「……ッ奈楠!!?」」



ハッとして奈楠が向かった場所へと顔を向けるが、それはレベル4が再び撃ち込んでくる銃弾に阻まれる。今度は奈楠によるプロテクションの加護は無い。神田は六幻で、マリはノエル・オルガノンで銃弾を跳ね返す。しかし、絶え間なく撃ち込まれる銃弾に苛立ちを感じていた。



「しねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしね」
「ぐ……ッ!」
「なかなかあたらないなぁ」



そう言ってレベル4は片腕を伸ばす。そうすれば、両腕が散弾銃に変わり、弾丸が増えるのは一目瞭然だった。一つの散弾銃でさえ避けるのが精一杯なのだ。増えてしまっては避け切れるか分からない。しかも、最悪のタイミングで効力を失ったプロテクション。2人はギリ、と奥歯を噛み締めた。



「しんじゃえ!」
「ぬ!?増…っ」
「ヤロ……ッ!」



2倍になった弾丸が神田とマリを襲う。レベル4が放った弾丸の一つがマリの拡聴器を壊す。マリは盲目な為、耳だけが頼りだ。拡聴器を失った彼は今、絶体絶命に近い。



「(しまった!拡聴器……、音がひろえな…)」



その瞬間、マリは人差し指と中指に熱を感じた。感覚で分かる。自分は被弾したのだ、と。それを見た神田は焦り、レベル4はニタリと笑う。



「(!被弾した!!)」
「そうびがたえくそしすとはからだがにんげん。ういるすでかんたんにしんじゃう!」



しかし、マリは即座に指に弦を巻き付けズバン!と切り落とした。想像しなかった行動に、レベル4は少し驚く。



「!!(ういるすがひろがるまえに、いっしゅんのまよいもなくきりおとした!!)」
「六幻、三幻式!!」



そのレベル4の一瞬の隙に神田は即座に六幻を振りかざす。しかし、その瞬間レベル4は神田の背後に回り、銃弾を浴びせた。よけられると予測していなかった神田はもろにその弾丸を浴びる。銃弾を撃ち込みながら言い放ったレベル4の言葉は驚きも含んでいたが、何よりも改めて失望したという感情の方がより強く滲み出ていた。



「なんて、ばからしい。しんだほうがらくなのに、なんてばかなんだ」
「はぁっ、はっ……、はぁ……ッ」
「(認めたくはないが……やはり、3人がかりでこのザマ……か。拡聴器が無いから音が拾えん。…奈楠は、無事か…!?)」


















































本当は壊しても壊しても復活しているんじゃないかと思うくらい減らないレベル4の数。そのあまりの多さに奈楠は荒々しく舌打ちをする。いくら壊してもキリがないのだ。次々と現れる敵に苛立ちを募らせていた。これではいつまで経っても終わらない。全ての力をコイツらに回さなければ収束はつかないだろう。そう考えて“治癒の祈り”に叫ぶ。



『お願い“治癒”!神田達やリンクとの接続切って!その方が早く片付くから!』
【了解、主!今からプロテクションの接続を切り、その分の力を“水龍”に回します!!】
『ごめん皆……ッ!!……っとに、何でこんなに湧いてくんだよレベル4!!!』
「おやおや、もうおしまいですか?」
「つまらないなぁ、もっともっと♪えくそしすと♪」
『バッカじゃねーのかこんのビール
っ腹野郎共!!っあー、もう!1対1は面倒臭いからいっぺんに掛かってこいやぁああぁぁ!!!』
【キャラ壊してます主。ソカロ元帥っぽい】
『うえ、まじか。…ほら来いよAKUMA共!!』



奈楠の挑発に乗ったレベル4達が襲いかかる。その攻撃を難なく躱しながら水が入ったガラス瓶を割り、体中の水分を使う勢いで“水龍”を発動させる。つい最近出来るようになった、新しい技。試させて貰おうではないか。いつも通り逃げる隙を与えずに水ノ球でレベル4一体一体を覆い、指を鳴らす。



『氷結(フロ-ズン)!!』



そうすれば見る見るうちに氷に包まれていくレベル4。唖然とした顔が何とも滑稽だ。“跳ぶ人”で思い切り地面を蹴り、音速の速さと底知れぬ破壊力で凍ったレベル4を貫いていく。次々と爆発していくレベル4を尻目に、奈楠はどんどんAKUMAの数を減らしていった。



『っらぁあああぁぁああぁあぁ!!!』



最後の一体を貫き、奈楠は地面に降り立つ。ドガン!と派手な爆発をしてレベル4は散っていく。はぁ、と一つため息をついて奈楠はイノセンスの発動を解いた。とんでもない数の相手をしていたはずなのに、そこからは疲労は伺えない。周りに他のAKUMAがいないことを確認し、“治癒の祈り”に話しかけた。



『“治癒”、神田達にもう一度プロテクションを』
【分かってますよ!】
『ありがとう。……さて、行くか』



グイ、と頬に着いたAKUMAのオイルと血を拭いとり、奈楠はその場から足早に去る。神田達の元へと応戦に向かった。レベル4達の残骸から聞こえてきた声に1度足を止めたが、聞こえないふりをして駆けていった。




















「え……くそ……し、すと……」
「え……く……そ……しす……と……」
「えくそ……しす……、」
「イー……ド、レ、……アヴァ……ド、ニア……」
「……ね……ぇ、さ……ま……」



















減らない敵、絶体絶命?

(どうして“彼女”の名前を呼ぶの)
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