「そこにいるのはエクソシストか!?」



背後から聞こえてきた突然の叫びに、奈楠達はキョトンとしながら振り向いた。すると、そこには驚いた光景が広がっていた。



「来てくれたんか〜〜っ!!」
「助かったーっ!」
「マジ助けて下さい!!」
『ジジ!?探索部隊も!!!』










「テメーら何やってやがる」
「「「「わーんッ!ごめんなさいぃぃ〜っ!」」」」
『神田神田、壊してる壊してる』



泣きついてガラスにへばりついたジジ達。しかし、容赦なく神田がそのガラスを蹴りつける。みしっとガラスにヒビがはいり、へこんだ。そんな神田を奈楠がまぁまぁと宥める。



「自分たちもなにがなんだかサッパリで……」
「この街の人間に奇怪なことが起こってるってんで、イノセンスじゃねェかと調査しに来たんだよ」
『室長から聞いてるよ。その後ジジ達からの通信が途絶えた…ってね』
「何があった?」
「調査をしてたはずなんだ!なのに……」



マリが問いかければ、ジジ達は必死になって状況を説明しようとする。



「気づいたらこんなカッコで牢にぶち込まれてて…」
「「「『ハァ???』」」」



どよーん、と自分達の失態に落ち込むジジ達。ハァ?と疑問な様子の奈楠達に、自分たちが確信した事柄を告げる。



「面目ない!!だがしかし!ここに収容されたおかげで、我々は一つ大きな確信を得た!今回のイノセンスは“快盗G”と関係してるぜ!!」
「「「……………………」」」
『…………はは、』



必死に訴えたジジ達に、アレン達は訝しげな視線を投げかける。その瞳は「何言ってんだコイツら」と物語っていた。思わず奈楠の口からは乾いた笑い声が出る。はぁ、とアレンはジジ達に問いかける。



「で?その確信のモトは?」
「この方はボネール姉さん。オレたち囚人のボスだ!Gの容疑者としてもう三ヶ月もここにいらっしゃる」
『三ヶ月も!?……お気の毒に…』
「「「(“姉さん”…………?)」」」



奈楠達の前に現れたのは探索部隊を椅子替わりに優雅に座るおネェ系の男性。ボネールと紹介された彼は、アレン達が目に入れば目をキラキラさせる。



「ジジちゃん、この子たちがあんたが言ってたエクソシスト?…………アラ!!?」
『……!?エ……ッ?』



視線を向けられて感嘆の声を上げられた奈楠は、思わずビク、と肩を跳ねさせる。ボネールは窓ガラスを突き破らんとする勢いで、奈楠の目の前に突進した。



「何この子ーーーっ!!チョー可愛いじゃなぁい!!」
『!?あ、ありがとうございます……?』



目をハートにしてテンションマックスのボネールを、ジジが話をしてくれと促す。暫くしてからボネールは、真面目な顔つきをして、奈楠達を見つめた。



「“快盗G”は、人間じゃないわ……。その名の通り、“G”HOSTよ。奴について分かってることは三つ。イカれたコスプレと、犯行前日に必ず送りつけてくる予告状。……そして、Gには肉体が無い」



ボネールの最後の言葉に、アレン達は少し目を見開く。この事実は予想していなかったようだ。



『肉体が無い……か』
「そう。だから、誰かの体使ってドロボウすんのよ。そこのバカ警部がいくら捕まえたって次から次に新しいGが現れんの」
「デタラメ言ってんじゃねーぞボネール!そんな事言って罪を免れたいだけだろうが!!」



バカ警部と言われたことが癪に障ったのか、それともGの肉体が無いことを認めたくないのか。ガルマー警部は、ボネールを怒鳴りつける。奈楠達に向かって、退室を促した。その瞬間、ジジ達は奈楠の体にガシッ!としがみつく。



「ヤダーーーっ!!帰っちゃヤダーっ!!」
「置いてかないでーっ!」
「奈楠ッ!!オレ達を見捨てんなぁあぁぁあ!!」
『ひゃっ!?ちょ、どこ触ってんのよ!!?』
「相変わらずいい足だな……と」



…馬鹿なこと言ってんじゃないわよ、死にたいの?と、奈楠がイノセンスを発動させ、キラリと紅の刃が光ればジジ達はすすすすす、と引き下がる。実際には、奈楠の紅に怯えたのではなく、神田とアレンからの「奈楠から離れやがれ」という視線に耐えられなかったからなのだが。それを知らない奈楠は、ニコニコとして紅を仕舞った。



『はぁ……。…どう思う?』
「んー、彼らや囚人達の心音からは嘘を言っている様子はないしな……」
「コソ泥だろうがゴーストだろうがイノセンスなら回収するまでだろ。こいつらはどーでもいいがな」
「ちょっ!?何言ってんの!?」



奈楠がマリに聞けば、嘘を言っている様子は無いと言う。神田があっけらかんとして回収するまでだろ、と言えば、それに反応したガルマーが食いついてくる。



「これは俺の事件だ…「警部!!!」



はぁはぁ、と息切れをしながら見つめ合うガルマーと警官。とても焦っているようにも見える。



「予告状が、また………………」
「!!」
『!』
「キタぜ……また…」
「快盗Gの予告状が届きました!!」
























予告状

(さぁ、ワタシを楽しませてくれるのよね?)
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