ークロス元帥の事件から三ヶ月後ー・・・


12月・Paris


「今日も無理だッ!約束破ってホント悪いと思ってる。でも、仕事なんだよ!パーティーにはお前1人で行ってきてくれ!」
「いッッつもそればっか!いい加減家庭をかえりみないと、私も男を見つけてママみたいに出てくわよ!?パパ!」


げっそりした表情で、娘であるエミリアと口論するガルマー警部。部下達は、休憩しながら、警部娘に弱っわぁ〜、と苦笑していた。


「おまっ、なに?男ができたのか!?」
「出来次第出てってやるわよ!」
「なっ、なにぉー!?」
「お取り込み中スミマセン。警部にお客さんがいらしてますけど…………」


部下が間に入れば、エミリアは荷物をまとめてすたすたと署を出て行こうとする。去り際に残した言葉に、ガルマー警部はタジタジだ。


「ホラ、お仕事ですってよ仕事バカさん!院長先生には謝っといてあげるわ!言っとくけどコレ、貸しだからね」
「お前その言い方母親そっくりだぞ!」


前をよく見ずに歩いていたエミリアは、前から来た黒服に、思い切りぶつかってしまう。トン!と軽い音がした。


「キャッ、すみません!」
『…ごめんなさい、お姉さん。お怪我は?』


自分にぶつかってよろけたエミリアの腰に手を回し、奈楠は優しく支える。怪我は無いかと聞いた奈楠の顔は、とても優しく紳士そのものだった。


それを見たエミリアは頬を染めて目を輝かせる。あら、美形…!なんて可愛いのかしら!と周りにお花が咲いている。


「(超可愛い!しかも優しいvV)」
『……どうしました?』


何時までも奈楠の顔を見つめて動かないエミリアに苦笑する奈楠。それに痺れを切らした神田が、エミリアにぶっきらぼうにどけ、と言う。


『…貴方がガルマー警部ですか?』


奈楠と神田を見たガルマー警部は、先程までのエミリアとの会話を思い出し、ハッとする。


「どなた?」
「あ“?」
『…こらこら、神田』


エミリアを押しのけてギロッと神田を睨みつけるガルマー警部を、負けじと神田も睨み返す。


『ここに我々の身内が拘留されてると聞いたんですが』
「面会させていただけないか?」


改めて奈楠達を見るガルマー警部。奈楠達の団服に目を向ければ、目に入るのはローズクロス。


「黒の教団!?なんだってアンタらがこんな所に……」


それを聞いたアレンは、にこ、と微笑んだ。



















事情を聞いたガルマーは、奈楠達一行を地下の留置所に案内する。鍵を開けるように部下に促した。


「悪いが釈放は出来ない。おたくらの身内は俺が追ってる事件の重要な容疑者なんでな」


ガチャ、と開けた扉の先には………









「この中のどっかにいるだろうから探してくれ」
「「「『!!!??』」」」









見渡す限りの怪盗Gが、そこにはいた。檻一杯にギュウギュウにひしめき合っている。うじゃうじゃと見つめられるのは、いい気はしない。


『うわぁあぁ……、なんじゃこりゃ』
「何コレ!?」
「ハロウィンか、ここは」
「警部、この集団か?」
「………、俺が捕まえた怪盗Gだ」
『“怪盗G”?パリを騒がしてるあの?』
「捕まったんだ!?しかもこんなに沢山!?」
「「「「「違う!!!」」」」」


アレンの捕まったのか、という言葉に瞬時に反応した容疑者達。必死に手を伸ばして自分の容疑を否認する。


「オレたちゃGじゃない!Gに“された”んだ!!」
「信じてくれよガルマー警部!オレたちゃ被害者だ!!犯人はGだ!!!」
「オレたちが犯人なら盗まれた金品はどこいったんだよーーーー!!!」
「うるせェな!現行犯で捕まっといて往生際ワルイぞお前らッッ!!」





「いいや警部……、いくらアンタでももういい加減気付いてるはずだ!!」
「!!」
「ワシらの言ってることが真実だとな!怪盗Gは、普通じゃない!!!!」













「ハ?ナンノコトカナ?」
「ああッ!また遠い目に!!」
「とぼけやがって!」
「ケーサツが真実から目を背けていいのかーッ!」
「そのやつれは心労だろうがッ!!」
「話が全ッ然見えねェ」
「僕ら置いてかれてますね」
『(……流石に知ってるとは言えない)』


奈楠達が警部と容疑者達の会話に置いていかれていれば、カシャン、と鉄格子を掴む音が後ろからする。


「…エクソシスト………?」


















捕らわれ科学班

(悟られないように、そっと、ゆっくり)
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