コムイと2人で医務室へと向かう。ある扉の前で止まり、コムイが奈楠に入室を促す。失礼します、と言って奈楠は中に入り込んだ。医務室独特の薬品の匂いがする。奈楠はこの匂いが好きであり、また、苦手でもあった。ナース服を来た年配の女性がこちらに気付き、近づいてきた。


「あら、室長。どうなさいました?……この子は?」
「婦長。この子が新しいエクソシストだよ」
「まぁ、貴女が?小さいのに大変ね…」
『本多奈楠と言います。よろしくお願いします』


ぺこり、と頭を下げた。


「あらあら、頭をあげて頂戴」
「婦長、この子の身体検査をお願いしたいんだ」
「分かりましたわ。室長はそちらにお座りにになって。…奈楠、貴女はこっちに来てちょうだい」
『はーい』


そう言って素直にてくてくと婦長の後ろに着いていく。後ろでコムイが行ってらっしゃい!と言うのが聞こえた。







ーーーーーーーーー


「特に、問題はありませんわ。至って健康です。…ただ、少し痩せすぎね。もう少し食べなさい?」
『…食べてるつもりなんですけどね』
「奈楠ちゃんは寄生型だからね。仕方ないかな」
「でも、食べ過ぎもよくないわ。自分で考えて、自分の体に適した量を食べなさい。」
『はーい、婦長!』


元気に返事をした奈楠によろしい、と笑って婦長は頭を撫でた。奈楠のカルテをコムイに渡し、退出を促す。


「さぁさぁ!用が済んだなら出ていってくださいな!患者が沢山いますからね!」
「ありがとう、婦長」
『ありがとうございました!』


何かあったら遠慮なく来なさい、と言われてコムイと奈楠は医務室を出た。コムイは奈楠に視線を向けて、


「じゃあ、また科学班フロアに戻ろうか」
『…結構、疲れますね……』
「まぁ、最初の内はね。すぐに慣れるさ!」
『だと、いいですけどね』


苦笑する奈楠を見て、コムイは先ほど婦長から渡されたカルテをパラパラと見た。最後の一枚の、問診表の隣に書かれた走り書きを黙読する。本当にその通りだ、と思った。








まるで大人のような

(年齢にそぐわない落ち着きさがある)

(まるで中身は大人であるかのように思われる)
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