科学班フロアに足を踏み入れれば、そこは未知の領域。機械やら書類やら研究員やら独特の薬品の匂い……。階段を降れば、そこには机に突っ伏している室長の姿。それを見たリーバーは深いため息をつき、コムイを揺する。その振動で落ちない書類やマグカップも凄いと思った。


「室長ー、コムイ室長ー。奈楠連れてきましたってば!」
「あ、班長!この子が新しいエクソシストっすか?」
「あぁ、そうだぜ。…ったく!室長!!」
「初めまして!オレはジョニー・ギル!これからよろしくなー、奈楠!」
「俺はタップ・ドップ。よろしくな!」


教団の中でもかなりフレンドリーなジョニーとタップが、何も探らずに接してくれたことが嬉しくて、奈楠は満面の笑みで微笑み返した。


『本多奈楠。よろしくお願いします!』
「「おう!!」」




「リナリイイイイイイイイイイイ!!!!!」
『!!!??』


いきなり聞こえてきた奇声に、思わずびく、と肩を揺らす。声がした方向に目を向ければ、リーバーが例の言葉でコムイを起こしたところだった。


「悪ぃな奈楠。この人、このネタでしか起きねぇんだ」
「ねぇリーバー君!リナリー!!リナリーは!!?」
「っだーー!もう!!大丈夫ですって!リナリーはまだ結婚しません!!」


思わずクスクスと笑みを零す。本物を目の当たりにし、驚きより可笑しいという感情の方が、大きかった。クスクスと笑う奈楠に、コムイはむー、と拗ねるようにして唇を尖らせた。


「リーバー君のせいで奈楠ちゃんに笑われちゃったじゃないかぁ!」
「俺のせいっすか!!?」
「ごめんね奈楠ちゃん、煩くて」
「アンタは人の話を聞け!!!」


怒っているリーバーを華麗にスルーし、コムイは奈楠におはよう、と言う。奈楠は未だに笑いながら、おはようございます、と返事をした。


『ちゃんと、寝て下さいね?睡眠不足で仕事がはかどらなくても、結局は効率よくありませんから』


それに、体調くずしますよ?と科学班の心配をする奈楠に、コムイとリーバー、ジョニー達は目をパチクリとさせる。小さな女の子が入団早々、自分達の心配をしてくれるとは思ってもいなかったのだろう。鳩が豆鉄砲喰らったような顔をしている。


奈楠はますます笑った。そんな様子の奈楠を見て、ようやく正気に戻ったのか、コムイはゴホン、と咳払いをした。


「…心配してくれてありがとう。じゃあ気を取り直して、キミの団服を作ろうか!担当はジョニーだから、彼に聞いてね」
「どんなデザインがいい!?なんでも聞くよ!」
「奈楠!体のサイズ測るからちょっとこっち来てくれ」
「奈楠はどんなデザインが似合うかな?楽しみだなぁ!出来上がるの!!」


生き生きと目まぐるしく動き出した科学班に、キョトンとするも、笑みを深めて奈楠は呼ばれた方向に駆けていく。それをコムイはなんとなく、微笑ましく見ていたのだった。








うら若きメノウ

(この小さい使徒は、こんなにも早く)

(自分たちに溶け込んでいった)
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