「コイツ……、映らねぇぞ!!?」
「え!!?何だと!!」
「AKUMA……なのか!!?」


ざわざわとしているのがゴーレムから聞こえる。映らない…ねぇ。異世界から来たからかなぁ、と思案する。


「僕は科学班室長コムイ・リーです。キミ、名前は?」


コムイの声。…本物だ……。震える声で言葉を紡ぐ。


『…本多…、奈楠…』
「本多…、…日本人か…!!」


驚愕した声が聞こえてきて、内心ウンザリする。…これから大分面倒くさいんだろうなぁ……。


「……とりあえず、入城を許可します、本多奈楠ちゃん」
「か、開門ーーーー??」


目の前の門が開き、教団への入口が見える。奈楠は捜索部隊に導かれ、教団の中へと入っていった。









捜索部隊に連れられてきた女の子。彼女はモニターで見たよりも華奢で、ずっと小さかった。イノセンスらしき物を握り締め、不安げな表情をしている。そんな彼女を安心させるような声音で


「ようこそ、黒の教団へ!改めまして僕は室長のコムイ・リーだ。よろしくね」
『…本多奈楠…です』


どうやら自分の拙い英語は伝わるようだった。ニコニコしてこちらを見てくるコムイに、奈楠は若干の違和感を覚えた。若い、というのもあるのだろうが…。……完全に、警戒されている。そう感じるのに、さほど時間はいらなかった。指令室に来るまでも、すれ違う人々からの視線が痛かった。何も話すことが見つからず、思わず下を向く。


「ええーっと、とりあえず奈楠ちゃん。年は幾つだい?」
『……8……だと思う、です』
「……思う?」


訝しげに視線を向けるコムイ。奈楠は慌てて


『っ、気付いたら、森にいた…から……』


何も知らない…です。その言葉に息を呑む。もしかしてこの子は捨て子なのだろうか?と嫌な考えが浮かぶ。危険ではないと判断できたら、妹のリナリーと会わせてみよう。同い年だ。……きっと、仲良くなる。

そしてコムイは真剣な眼差しになり、


「奈楠ちゃん、僕と一緒に来て欲しい場所があるんだ」


コムイの言葉に奈楠は小さく頷いた。







AKUMAか否か

(この、幼い神の使徒は)

(果たして我々の味方なのだろうか)
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