暁はぜえぜえと呼吸しながら、血の滲むその柔肌に目を落とした。
「悪いけどお前に梓の血はやれない。勿体無い」
「だ、だから何の話だよ!? な、何か止血するものを……」
立ち上がろうとする上原の手首を掴んで止め、暁は苦しげな呼吸を漏らしながらも彼を見上げた。
「その必要は無い。……すぐ……治まるから」
彼の言った意味はすぐには理解出来そうにもない。出来そうにも無いが、今分かるのは――上原は急速に、自分の中にじわっと溢れ出す欲望を感じていた。
とめどない、その血への渇望だ。
暁の肌に浮かぶ鮮血は、何故か酷く美しく、甘い香りを放っていて、どこからやってきたのか分からないこの強烈な飢えを満たすのに相応しいものに思えた。
思わず生唾を飲み込んで、暁を見ると、暁もまたこの世の者ならざる妖艶さを纏って微笑んでいるのが分かった。苦しげでありながらも儚げで、痛ましい程に美しく。
こちらを誘うように、暁は血の付いた指先を淫靡に舐めて取り、それからまた一つ笑った。
「ほら、お舐め」
「……ッ……」
眩暈がしそうになった、同時に自分がやろうとしていた事に恐怖した。
――何考えてるんだ、俺は??
生き血を飲むだなんて、そんなの今こうやって外をうろついている死者共とやる事が同じじゃないか。だが、だが――。
「……この血の味に触れた人間は、もう戻れなくなるのさ。現世に」
「どういう事だ……それ」
「お前も俺と同じような存在になる、かな?」
どこか楽しげに、こちらを試すかのように言い放たれたその言葉にも上原はまるで反応を示す事が出来なかった。彼の中にあるのはもはや、その血の誘惑に乗るのか乗らないのか。暁が言ったようなそんな後先の事などは、どうでもよかった。
とにかくたった一口でもいい、味わいたかった――その禁断の味を。
上原はしゃがみこみ、暁の腰を引き寄せて、それからその傷口に接吻するように唇を落とした。
「ン……」
暁が僅かに吐息を零した。
口にしたそれは自分の知っている血液の味とはまるで違う、甘いとも苦いとも言い切れない……背徳にも似た感覚に苛まれながらも上原はその血を夢中で舐め取り続けていた。
「……う、く……ふふ……っ」
そんな自分の姿をあさましいものでも見るかのように蔑んだ視線を向けて、鼻先で笑い飛ばした。上原の頭をまるで餌でも食いつく犬にでもそうするかのように撫でてやり、暁はまた笑った。
血なんか美味しいのかな〜
まずそうっていうかまずいよね
でもまあこの子達の血は極上の味なんだよっていう
最大限の表現を使いたくて、
美味しんぼとか読んだ方が相応しい表現が
出来るんじゃないかと真剣に悩んでた
舌の上でシャッキリポンだわ!みたいな。
初期の栗田さんめっちゃ可愛いよな。
ていうか本当に気付いたら山岡と結婚してたんだけど、
二人が付き合ってる描写とかあったっけ?
長すぎて原作飛び飛びだから分からん。