33-1.生まれ変わっておいで
白い防護服にガスマスク、いっさいの表情の見えない隊員達がうぞうぞと蠢いている。
足早に何やらホースを持ちながら駆け抜けていく者や、尚もゾンビ鎮静活動に勤しむ者、持ち場についたまま何やらお喋りに夢中な者まであれやこれやとその人相は様々だ。
「おい、そこのちっちゃいの。おめーだよおめー、シカトすんな」
随分とアバウトなその呼びかけに振り向いたのは、茫然としたままのトゥイードルディーだった。血の繋がりはないといえど、一度に母と弟『代わり』だった存在を失い、且つその無残な遺体が運ばれていく姿を見たせいなのか、トゥイードルディーは魂でも抜けたようにぼんやりと遠くの景色を見つめていた。
「チビ、てめーが今回の騒動の主謀者か?」
その『ちび』という単語を投げかけているのがお世辞にも背が高い方だとは言えないミツヒロなので、どっちもどっち感が漂う。
とりあえずその事についてはうっちゃって、一同がトゥイードルディーの方を見つめた。
「……」
「主謀者か、って聞いてんだよオイ。……耳ぶっ飛んでんのかクソチビ」
肩から吊ったアサルトライフルの銃口を、トゥイードルディーのこめかみ辺りに突きつけた。元々の表情がそうであるのか、トゥイードルディーは向けられた銃にさして怯えたり驚いたりする様子はない。
度重なったその出来事が尾を引いているのか、やはり茫然としたまま何も言わないトゥイードルディーにミツヒロが一つ舌打ちをした。
「おい、これ以上俺をムカつかせんな。只でさえお前の顔見てっとイラっとく……」
「私を攫ったの、こいつだよ!」
叫びながら背後から威勢よく飛び出すのはまりあだった。
「おま……っ、危ないな! 人がライフル持って尋問してる時に――」
「この野郎っ! あたしをよくもあんなくっさい場所に閉じ込めてくれたわねッ。あの不気味なババアは先に天国へ送ってやった、残りはアンタとあのデブよ。年貢のシオドキってやつね、悪人は成敗される時が来たのよ」
「それを言うなら『納め時』じゃないのかなぁあー」
フジナミの呑気そうな声にまりあが「そうとも言うわね」と振り返る。まりあが腰に手を当てながら鼻息荒く言うものの、やはりトゥイードルディーの無表情は変わらないままだった。
「……死んだよ」
「何!? 聞こえないッ」
「死んだよ。もう、全員。……俺残してみんな死んだ。俺、とうとう、一人ぼっちだ」
矯正器具の施された歯を覗かせながらたどたどしく言い、トゥイードルディーは大きく息を吐いた。
「死んだ、ですって!?」
眉根を寄せつつ、まりあが叫んだ。
「何よそれ! あたしに謝罪もなしに死ぬなんて馬鹿にしてるわね。いい根性してるわ――」
「どいてどいて! 通り道なんだからここ。長話は禁止だよ!」
言いながら防護服の隊員達が何やら抱えながら忙しなく動き回っている。ぞんざいに、白い布のようなものが被せられたその物体は……限りなく腐臭に近いにおいがした。
チキタGUGU全巻
読み直したけど
クッソ泣けた。
ハッピーエンドとは言い難いけど。
チキタとラーが幸せならそれでええよ……。
あとクリップまじ美少年つれぇ
というかTONOの絵が超可愛い。