終盤戦


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12-4.ヘリコプター・ボーイ



 トゥイードルディーの小さな身体が立て付けの悪そうな壁目掛けて吹き飛んだ。何だかそれは幼児虐待のようだった、ちょっとした衝撃映像でも見てしまった気持ちに駆られる。

「ぎゃうッ!」

 トゥイードルディーの小柄な身体はいともあっけなく壁にぶつかって、そして跳ね返る。背中を強打したのだろう、トゥイードルディーはその場にずるずると崩れ落ちていく。ルーシーは今しがた彼を放り投げた手首を「手首が痺れた」なんて緊張感の欠片もないような事を言って、ぶらぶらとさせている。別段悪びれるような様子さえ見せない。

「痛みやら何やらを知らずに育った子どもが僕は大嫌いでしてねえ。そういうガキは、ろくな大人になりゃしませんよ。平気で人を傷つけますし、平気で人の悪口を言うようになりま――」
「……ァああああああああ〜〜〜っ!」

 トゥイードルディーは起き上がるとその手から吹き飛んだナイフを握り締め、今度はルーシー目掛けて全力疾走だった。

「ったくもう、人の話は聞きなさいよ……」

 苦笑を浮かべるルーシーだったが大して構えも取らず、右足だけをちょっと差し出して見せた。トゥイードルディーがそれに躓いて、前のめりに滑り込んだ。その光景といったら怖さなどは何もなく、むしろ滑稽なものであった。

 派手に転んだトゥイードルディーの腕から、おもちゃみたいなナイフがすっぽりと抜けて吹っ飛んだ。ナイフは、壁際に立っていた雛木のすぐ真横をすり抜けて壁にナイフ投げよろしくストーンと勢い良く刺さっていた。

 雛木は腕を組んでいたが、それを見て間一髪、と呟く。まあ、例え刺さっていたとしても雛木なら問題はあるまい……。

「う、ウギイイイイ〜〜〜ッッ!」

 トゥイードルディーは、起き上がると何も持たずに突進してきた。勿論サルのような奇声は忘れない。

 獲物はもう完全にルーシーに絞られたようであるが、ルーシーはと言えばまるでよちよちと向かってくる我が子にでもそうするように両手を広げてにこにこ顔でそれを待ち構えている。

「あっはっは。あんよは上手、あんよは上手〜ゥ」
「ギィイーーーーーーーーーーーッ!!!」

 野犬でも思わせるような動きでトゥイードルディーが屈んでいるルーシーの首元めがけて襲い掛かった。勿論それはいとも簡単によけられてはいたが、負けじとルーシーの腕にしがみついたトゥイードルディーの気丈さは評価に値するであろう。

 そんな彼を見ながらルーシーが感嘆したような、短いため息を漏らした。しばし観察するよな視線を送ってから言うのだった。

「君、どうやら僕と同じようだね。君からはどうにも同じ匂いがするよ……ふふ。君のような人に会えて心から嬉しいと思うのと同時に、少しばかり悲しいと思いますよ――嫌になるねえ。嫌気が差すねえ。おぉーーーやだやだ……厭だ厭だ」

 恍惚とした表情でぶつくさと何か語り始めたルーシーであったがトゥイードルディーは勿論聞いていない。

 トゥイードルディーはその口をがばっと開くと、矯正器具の施された歯でルーシーに齧りついた。もうそれはほとんど血が出ているのにも関わらずルーシーは大喜びでそれを楽しんでいるみたいだった。というか、噛まれていることにはまるで頓着せずに何だか自分の世界に入り込んでいるのだった。

「あ、あの……噛まれてますけど……」

 と、引きつり笑いを浮かべつつセラが指摘してやるとようやくルーシーは自分の片手に齧りつくトゥイードルディーを確認した。

 かと思うと大げさかと思うくらい驚いて見せ、叫ぶのであった。

「――おおお! 噛んでる! 噛んでますよ〜〜〜! みなさん! 見てください! 僕から血が、血が出てるっ! 僕の血もちゃーんと赤かったんですねえ、こりゃ驚いたッ! 驚きだ! うははははっ、あはははぁっ」
「ウウウ……ッ」

 もうほとんどその肉が千切れてしまうんじゃないかと思えるくらいに、トゥイードルディーは歯を立てているようなのだが……。





ルーシーの言ってる「おんなじ」ってゅぅのゎ。。
痛覚がなぃってコト。。
ちびも幼少期の手術で頭に傷がぁって。。
感覚がなぃんだって。。
隊長も番外編でこっそり書いたけど。。
頭部に過去にドキュンに殴られた
傷があるんだょね。。。
ぃみゎかんなぃ。。。。
次回ゎ衝撃的な展開になるらしぃ。。
どぉせ誰か死ぬんでしょ。。
もぅマヂ無理。
リスカしょ。



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