終盤戦


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08-1.突入せよ!世紀末猟奇地帯



 創介達は表からの潜入を避けて、裏口からの潜入を試みる。表には何せまんじゅうを求めてギラついた人間たち(だよな? あれ、生きてる人間だよな? ゾンビじゃないよな?)がわらわらと押し寄せていたのだから。

 欲に目を輝かせたそいつらは、まるでゾンビと変わりが無く見えた……が、相手にしている時間はないのだ。
 当然裏口も厳重に、幾重にも施された鍵やチェーン。

「フジナミ、出番だぞ」
「アイヨー」

 脱力するような返事をよこし、フジナミと呼ばれたアホ毛と寝癖の激しい少年が躍り出た。しばらくがちゃがちゃとその錠をいじっていたが何度も何度も小首を傾げてはまた考え込んだ。

「どうしたよ? 早くしろよ、あんま時間は……」

 ミツヒロが覗き込むとフジナミは子どものようにほっぺたを膨らませている。

「むぅう〜……こんな鍵、分かんないよう〜」
「えぇ……」

 マジかよ、と顔をしかめるミツヒロの後ろから創介がひょいっと顔を覗かせた。

「何してんだよ、時間がもうねーってのに」
「うっせぇな、そんぐれぇ分かってるよ」

 ミツヒロも苛立った口調で返すので創介も思わずカチンと来てしまう。もめている場合じゃないのは知っていたが何か言い返さねば気が済まない、と口を開きかけてルーシーに割り込まれた。

「はいはいはい。どいて。どーいてくーださい」

 言いながらルーシーは扉の前の人だかりを避けるなり、その場で息を吸い込んだ。

「落ち着いてー、深呼吸〜」
「落ち着いている場合じゃっ、」

 創介が叫びかけた時、ルーシーは助走をつけたかと思うと走り出した。

「……とう!」

 勢いの伴ったドロップキック。強行突破とは言ったものだが、本当にそれをするか……結果論として、その扉が綺麗に外れてくれたから良かったものの。

 ルーシーは外れた扉の上にそのまま膝を付いて着地すると、一度くるっと振り返った。

「ねっ。引いて駄目なら押してみろ。馬鹿に出来ませんよ、ごり押しってのは」

 そう言って軽やかにぱちーんとウインクすらかまして、ルーシーが微笑んだ。

「え、えぇ〜……なんつう……」

 創介が苦笑している背後で、凛太郎が腕組みをしながらため息を吐いた。

 綺麗に開け放されたその入り口から一同がどかどかと足を踏み入れ始める。その埃っぽい室内に、ミミューが思わず顔をしかめた。

「……ヒドイ匂いだ。これは……食べ物の腐った匂いかな?」

 鼻と口元辺りを押さえながらミミューが周囲を見渡した。

「これ」

 一真が銀色の缶を手に取った。しっかりと密閉されたその缶は、一見すると単なるアルミ缶のようにも見えたが何か嫌な予感がする。




デデドン!(絶望)
次はクッソキモイのでご飯中は要注意。



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