終盤戦


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07-1.マウス・トラップ



 部屋を抜け出したはいいが、無駄にただっ広い屋敷だった。似たような造りの部屋ばかりが立ち並び、階段に行き着くまでに時間を要してしまった。迷っている暇なんて無いのは分かっているが……。

「……こっち!」
「分かってるわよぉ!……あんまり急かさないでっ」

 まりあが唇を尖らせた。まったく、こんな時に限って頼りになる武器を置いてきてしまったのだからつくづく天に見放されていると言うべきか。

「透子ぉ、この道さっきも通った気がするんだけど。ほら、あのシカの首!」
「え……?」

 そう言ってまりあがおずおずと指を差した先に、確かに何度か見たようなシカの剥製が飾られていた。

「……気のせいよ」
「そっかな?」

 無闇に納得させて、ナンシーは再びまりあの腕を引いた。

「ほら、早く行くわよ。そんな時間ないんだから」
「ねえ、透子。もしかしてあたし達、あのデブに騙されたんじゃないの? 全てはデブの策だったってオチじゃぁ……」

 それも有り得ないわけではない、はっと思い当たったようにナンシーはポケットに手をやった。先ほど、トゥイードルダムがくれたあの人形のことを思い出したのだ。まさかあれに盗聴器が仕掛けられている、なんていう事は……。

「透子?」

まりあの心配そうな声に、ナンシーがはっと我に返る。それから、炎の中へと危険を顧みず飛び込んでニワトリ達を助けていたトゥイードルダムの姿が浮かんだ。そして鍵を受け取ったあの瞬間に覗かせた、悲しげな瞳も。

「……」

――私はやはり、甘いのかしら?

 こんな世界に飛び込んだ以上、中途半端な情ならば捨てたほうがいい。でないと、それが自分自身を脅かす脅威となり兼ねないのだから……ルーシーはそんな風に話してくれた。

「ねえ、透子ってば」

 もう一度、今度はさっきよりも幾分強めな口調でまりあが言った。

「……あ。う、うん。……ごめん……」

 それから、再びまりあと並んで走り出す。横で走るまりあに、いつの日だったか彼女が仕事とあらば家族にだって銃を向けられる――なんて話していたのを思い出した。それはあんなに慕っている兄だって例外ではない、との事である。

 そんな風に言える彼女は心底強い……颯爽とそのまばゆい金髪を揺らしながら走るまりあの横顔を見つめ、改めてそう思うのだった。

「透子……、やっぱり変だわ。同じところぐるぐるしてる気がするの」
「――そんな筈」
「だって……」

 ふと足を止め、まりあが廊下の先を指差した。その視線を追うと、シカの頭部の剥製……が、そこにはあった。

「単に似てるだけよ……それか同じものがいくつも飾られているのかもしれないでしょ――」
「でもっ、」

 不安げにそう言い掛けた刹那に、あっちを見ていた筈のシカの首がぐるん! とこちらへと向いたのだった。

「……っ!?」
「ええっ!?」

 かと思うと、そのシカの剥製はゲラゲラと高笑いを始めるのだった。




昔のドラマの面白さは異常。
規制がゆるかったんだね〜
ハードなシーンが次から次へと出るわ出るわ
あといちいち女の髪型や服装が古臭いのもおもろい
昔の刑事ドラマとかやばいわ。



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