21-1.孤独な僕の寂しい死
ミミューが悲鳴のした方にまで辿りつくと、二人の少女がいるのが見えた。
「……君達!」
近づくと、一人がその場に蹲っている……というよりは腰を抜かしてしまったか、足でも挫いたかして立てないのだろう。その少女に寄り添うようにもう一人、女の子が助けを求めて泣き叫んでいるのが見えた。
ミミューが近づきざま腰を降ろした。
「らむちゃんが……、立てないってゆってぇ〜……ぅ、ひっく」
「分かった。――君は動ける?」
相手に動揺を与えぬよう、ミミューは優しげな笑顔を浮かべつつ問い掛けると泣きじゃくっていた少女が小刻みに頷いた――「よし、いい子だ」。
ミミューが少女の頭を撫でると、少女は少しだけ緩んだような表情を見せた。
「ちょっと失礼するね」
言いながらミミューは腰を抜かしたままの少女を抱きかかえた。いわゆるお姫様抱っこの状態にして持ち上げてやると、少女は泣き顔に少しばかり驚きの色を混じらせた顔でミミューを見た。
「これなら動けるでしょ?」
「……は、はい……」
にこりと微笑まれて、少女はこんな状況でもあるのに少しぽっとして照れたように顔を逸らした。思えば、シチュエーションだけならばとてもドラマチックだった。危機的状況下に駆けつけて、お姫様のようにそのピンチを救ってくれる王子様――、少女は不謹慎にも、心がときめくのを感じてしまうのだった。
「よし、ちゃんと僕についてくるんだよ。いいね?」
寄り添っていた方の少女がこくんと一つ頷いた。
「他に逃げ遅れた子はいるのかな?」
「わかんない……」
力無く少女は煤だらけの顔で答える。……とにかく今はこの踊り狂う炎の中を抜けるのが先決だ。この子たちだけでも、逃がさねば。ミミューは意を決したように炎の中をくぐり抜けていく。
「キャアッ!」
ミミューに抱かれていた少女が悲鳴を上げてしがみつく。炎に巻かれ焼けた天井の一部が崩壊し、目の前の通路を塞いだ。
「と、閉じ込められたよ!」
「大丈夫、……落ち着いて」
言いながらミミューは少女を降ろし、もう一人の少女に預けた。ミミューは背中のショットガンを降ろすと構えた。
「すっごいうるさいから、耳塞いでおいてね」
構えながらミミューはある映画のワンシーンをふっと思い出していた……『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』で、ガソリンタンクの鍵を開けようとして散弾銃をぶっ放す場面だ。結局ガソリンに引火して大爆発を起こし大惨事を招いてしまう――あの今でもホラーファンの間で語り草にされる箇所が脳裏をかすめ、思わず引き金を引く指が躊躇ってしまった……。
が、少女達の不安げな視線を受けてすぐにハっと我に返る。少女達が耳を塞いだのを見届けると再びショットガンを掲げ直した。
宣言通りのクソやかましい銃声がして障害物が派手に吹き飛んでくれた。パラパラと火の粉と共に舞い散る屑が、何か光の粒のようで鮮やかにすら見えた。
「――さ、これでいい!」
それまでミミューに抱えられてきた少女であったが何とか自力で立ち上がれるようになったらしい。二人が寄り添いあうようにしながら立ち上がり、よろよろと歩きだした。
「よし、そのまま歩いておいで。……もう出口はすぐそこだ」
ミミューが励ますと少女達が頷き合い、力強く一歩、また一歩と足を踏み出し始める。ミミューが先導しながら少女達を何とか出口にまで向かわせる。
「さあ、あと少しだ。頑張れ……」
先に少女たちを出してやろうとミミューが足を止めた。
「お兄さんは……?」
「君達が先だ、早く」
ミミューが脱出を促すと少女達は頷いて、飛び出そうとする……が。
「っ……」
ステンレス製だと思われる大きな棚やら、その中身やらが今まさに倒れて来ようとしているのが見えた。あんなものが当たったら、少女の華奢な身体では骨が砕けるどころか下手すれば命を落とす。
このガソリンタンクに引火して
爆発するシーンびびったわ。
唖然としたwww
死ぬの!? みたいな。
突然すぎる死ほどびびるもんはねえよ。
この映画の怖いところはゾンビどもの
被害よりも人間同士が勝手に喚いて
自滅の方が多いのがね(特に死霊創世記)
CUBEとかもあれ罠で死んだ人って
実は少なくてあとは勝手に殺しあって死んでるよね。
CUBE何度見てもおもすれーーー。
続編はうんちなので初代だけでいい。
CUBEもそうだけど本編後に収録されている
短編『エレヴェイテッド』も中々くる。
エレベーターに閉じ込められた男女の
極限状態すぎる話……