07-3.あいにくの雨で
夕飯を終え、ご飯担当の創介はその後処理をする。袋にゴミを集めて、その口をきつく縛った。
「――よーし。まとめて置いておくかな……しかしどこに捨てようっかなぁ」
捨て場所を探している時、ふと意外な人物を発見した。というか、いつからそこにいたのか。いるとは思わなかったので当然驚き……、創介は手にしていたゴミ袋をその場に落としてしまった。
「う゛わぁあ゛っ!?」
「……驚かせたか。失礼した」
静かだが、いやに威圧感のある低い声。通りにくい、とでも言えばいいのかどこか聞き取りづらいのが難点だがまぁ渋くていい声だと思う……壁に背を預けた状態でそいつ――有沢が組んでいた腕を解放させながら、立ち上がった。
創介はこの男、有沢の得体が知れないせいなのか極力二人きりにはなりたくないなあ……なんて密かに思っていた。
不必要な事は一切話さず、馴れ合いを避けて、自分の事は何も語らない。そんな人間、仲良くなれってのが無理な話だ――性質としちゃセラと似ているがセラの場合はこちらが幾分か入る込める隙はあったのだけど、彼にはそれが少しも無い。何と言えばいいのやら、そうするように訓練された人間とでも言えばいいのやら。性格的な問題じゃなくてそれが仕事であるかのように振舞っていると表現すればいいのか。とにかく、マフィアみたいな男だ。
「あ、ど、ドーモォー」
よく分からんがとにかく挨拶しておいた。作り笑いもかかさず完璧に、だ。それはもう見事なまでに。まぁ声が多少裏返ってしまったかもしれないが……創介は落としたゴミ袋を拾い上げると何事も無かったかのように立ち去ろうとする。
「待て」
思わずビクッ、と立ち止まってしまった。
「は・な、何でしょうか」
――何そんなびびってんだ、俺! しかも敬語だし!
自分で自分が情けなくなってしまうほどであったが、こわごわと創介が尋ね返す。有沢は目が見えない、との事であったがそれをまるで感じさせないほど慣れた足取りでこちらへと近づいて来た。
創介とほぼ身長は同じくらいか……いやあちらの方が勝っているかも……と創介は改めて正面から彼を迎えてごくんと唾を飲んだ。
「お前は――、セラとはどういう関係なんだ?」
「は?」
何でいきなり、と思った。突然のように尋ねられて創介は目を丸くしてしまうより他無かった。ぽかんとする創介の顔を、有沢は感じ取ったのであろう。
「……答えられないのか?」
「い、いや、そもそも質問の意味が漠然としすぎてて……関係としちゃあクラスメイトだけどよ。それ以外何かあるのか? ていうか知ってるもんだと……」
混乱の末に導いたその答えにも、有沢は納得していなさそうにする。
「や、あの……意味、わかんないんすけど……」
根を上げたようにそう答えると有沢はやはり腑に落ちなさそうだ。一体、どんな答えを求めてるっていうのか……創介には当然分からない。
凄く関係ないけど友達が
弱虫ペダルの内容を説明してくれたんだけど
「手っ取り早く言うと
オタクなハリーポッターが
めちゃくちゃチャリ漕ぐの早ぇえって感じの
そういう話」って言ってて何かワロタ
オタクなハリーポッターという言い回しに草