前半戦


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09-6.殺戮人形、始動



「――分からん。俺が起きた時には、既に部屋にはいなかった」
「……創介くんと一緒かもね」

 やや訝るようなミミューの台詞に、セラが少しばかり肩を竦めた。正直言って、雛木の事はまだほとんど信用していないし、創介といるのだとしたら何故……色々と、疑惑は拭いされない。
 考えれば考えるほどおかしな方向にしか想像がいかない――あれやこれやと考えてしまい、セラは無言のまま立ち尽くしていた。

「とにかく、今はナンシーちゃんが先決だ」
「あっ……う、うん」

 そうミミューに肩を叩かれなければずっとそうやってぼんやり考え込んでいたかもしれない。夢から醒めたみたいにはっとなってセラは歩き出す。
 ミミューがまずナンシーの部屋の戸をノックすると、しーーーーんとしており返事は無かった。

「ナンシーちゃん? おーい」

 気付いてないのだと思ってもう一度、今度は強めのノックと大きな声で叫ぶのだがやはり返事は戻って来ない。……さすがにこれでは不安になる。銃声の件も含めて、嫌な予感しかしないじゃないか。

 一同顔を合わせてから、考えている事が一致したのか同時に頷いた。ミミューがドアノブに手をかけて回すとやはり何者かが侵入したせいなのか、その鍵は開いていた。

 ミミューがもう迷っているのも勿体ないという具合にその戸を一気に開けた。

「ナンシーちゃ、」
「入って来ないでッ!」

 部屋に入ったミミューの顔に、悲鳴にも似た叫び声と共にボフッと投げつけられたのは上質な作りをした枕だった。自分達の部屋にもあったものだから、その上質さは既に体感済みである。

「……化粧中なのよ。ついでに着替えもまだなの」
「あ、そ・そう言う事か……」

 まあ、それは女の子にとっちゃかなり重要な問題だ。失礼しました、と言い残してミミューは一旦その全開にしてしまった扉を、静かにそ〜っと閉めた。

「大丈夫。ちゃーんと無事だったよ」
「……一瞬、創介が部屋に潜り込んだのかと思ったが違ってて良かったよ」

 冗談とも本気とも取れぬ口調でセラが言い放った。もしそれが事実だったらとんでもない事だった、その最悪の結果じゃなくて本当に良かった。

「と、なると創介くんはどこに消えたのかなぁ?」
「ああ……」

 それから、ナンシーが出て来るのをしばし待つ事となった。女の準備は時間がかかるというがさすがにそう時間はかけていられない。次なる刺客どもが、またいつ現れるとも分からない。

 それから数分も経過しないうちに、支度を終えたナンシーは飛び出して来た。

「待たせたわね、ごめんなさい」

 言いながら黒のジャケットを羽織り、ナンシーはそのブーツの先をとんとんとやりながら履き直している。

「……よし。ナンシーちゃんの無事は確認、と」

 そうなってくると一部、見当たらない人間達の無事が気になってくるわけだ。一同は次なる行動に合致したよう、互いに頷きあうのであった。
 
「っげ! また来たっぽい」

 ミミューがゲッと顔をしかめたので、ナンシーがその視線を追うと来るわ来るわの軍勢に同じく眉根を吊り上げた。今ほどかなりの数を相手にしたのに、この小さな村に一体どのくらいの兵隊がいるというのだろう。

「あのメイド、さっき私の部屋にも入ってきたわ」

 寝起きを叩き起こされたのもあいまってなのか、普段より機嫌の悪そうな少しも愛嬌の感じられない声でナンシーが言うと、ミミューがはっとなったように言った。

「あ……っ、じゃあさっきの銃声は!」

 ミミューが問うとナンシーがその通りだとばかりに一つ頷いた。それから開けっ放しになった自信の部屋をチラと一瞥すると、室内には例のメイドさんが……頭をなくした状態で転がされていた。

「……只でさえ寝不足だってのに邪魔してくれたわね」

 すこぶる機嫌の悪そうなナンシーの声に、多少の申し訳なさと恐怖感を覚えつつもまだまだ休まる事を知らない『奴ら』の群れに、次なる戦闘の態勢を取るのであった。






未解決事件もそうだけど
実際に起きた怖い事件概要読むと夜眠れないね。
ベタだけど、冬眠しそこねたクマが
村を襲ってほとんどの村人食い尽くす三毛別羆事件とか
普通におしっこちびりかけた。
手負いのクマをしとめたマタギが凄いわ…
ワンゲル部のヒグマ襲撃も怖いな。
襲われてる人のメモが鬼気迫ってて本物の恐怖だ。
執拗に追いかけてくる熊が怖すぎるよ〜。
クマって可愛いキャラクターにされてるけど
実際全然可愛くないし怖いよね。
プーさんだって見てないところじゃ人間貪り食ってるぜ



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