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  変態キラキラ王子様


「千尋おはよう、今日も可愛いね」

「おはよう赤司くん!今日も気持ち悪いね!」

手を広げて満面の笑みで立つ赤司くんの横を通り抜けて、教室の中へと入る。何故か赤司くんに好かれてしまっている私は、いつも通り彼のストーカーに等しい行為をスルーした。
文武両道容姿端麗完璧少年の赤司くん。最初は普通にかっこいいと思っていた。でも、最初だけだ。今となっては残念なイケメンにしか思えない。
きっかけはそう、あの日の出来事だ。


部活の準備を始めるべく、準備室で用具などを見ていたとき、入ってきた人物がいた。彼も部活の準備をするために、朝早くからこうして学校に来たらしい。

「これとこれと…よし、大丈夫だな…」

「あ、そうだ、赤司くん」

「なんだ?」

「良かったらさ、少し競争してみない?赤司くんと走ってみたいし」

「ほう…構わないが」

「やったー!じゃあ、負けた方がマジバでバニラシェイクおごりね!」

そんな感じで、赤司くんと競争することになった。内容は簡単、100mで、先についた方が勝ち。私は陸上部で、赤司くんはバスケ部。多分、いい勝負になるだろうと思っていた。

「やっったぁあああ!!」

「足が速いんだね」

結果は私の勝ち。ほんの0.1mm差くらいで私が勝った。引き分けにしても良かったと思うけど…赤司くんは優しいな。

「えへへ、ねえ、赤司くんに勝ったの、私が初めて?」

「ああ、そうだよ」

「わぁい!やったね!赤司くんに初めて勝っちゃいました!」

一人喜んでいると、突然赤司くんに腕を捕まれた。

「千尋…」

なんだか声が色っぽい…。

「あか…」

「いや、なんでもない、約束通り放課後にバニラシェイクをおごるよ。じゃあね」

頭をポンポンってされて、赤司くんは去っていた。何が何だか分からずに首を傾げたけど。
その日の帰り、赤司くんにバニラシェイクをおごってもらった。赤司くんに初めて勝てたのが嬉しくて、ずっとにこにこしてたのは覚えている。


赤司くんが少しおかしくなったのは、その次の日からだ。最初は、熱でもあるのではないかと、心配していたが、どうやらそれは違ったらしい。日に日にエスカレートしていく彼の変態っぷりに、私はついに驚きを通り越し、その更に先の呆れさえも通り越し、受け入れよう。という思いが生まれていた。
そして、今のようになったと言うわけだ。

そこまではいいのだけど、肝心の理由がわからない。なぜあの日から赤司くんは変わっていったのか…それが未だ理解できず、苦しんでいる。周りに聞いてみても、ただ千尋のことが好きなのだろう、とそれだけだ。
しかしそんな答えで納得できるわけもなく、私はずっと悩んでいた。

そんなある日、珍しく彼は私の事を#name1#と呼んだ。

「え?」

「白澤…」

「あかしく…」

私が彼の名前を呼び終わる前に、彼の腕の中へと抱かれた。一瞬何が起きたのか分からず、そのまま黙っていると、彼は私を抱きしめながら言ったのだった。

「好きだよ、白澤」

「えっ…」

「すまないね、久しぶりに白澤と呼んでみたのだが…やはり慣れないな」

まるで以前の赤司くんのように、クスクスと笑う彼。いつもとは違う、私の大切な友達の赤司くんが戻ってきたような気分。でも、告白なんて初めてだし、何て答えればいいのかわからない。真剣に伝えてくれたのに、驚いて何も言えない私に、赤司くんはまた笑った。

「ふふ、驚いたか」

「うん…」

「好きだよ」

「ん…」

「白澤は?」

以前のようにそう呼ぶ赤司くんがかっこ良くて、ギャップが素敵ですごくドキドキした。正直、バスケをしている赤司くんはとても好き。かっこ良くて、目が離せなくなる。
ああそうか、私も赤司くんのこと…

好き、そう言おうとした瞬間に、再び千尋と呼ばれた。

さっきの事といい、今の事といい、理解の追いつかない私。ただただ混乱している私に、彼は一言言った。

「返事、聞かせてよ」

顔をあげれば、まるでキラキラが降っているように輝く赤司くんがいた。綺麗な赤司くんはその顔を綺麗に緩ませて微笑んでいた。

ああ、やっぱりそうだ。私も好きなんだ。

私はいつもの様ににっこり微笑んで、私も好きだよ、赤司くん。と言ったのだった。


その日から、晴れて私達は恋人同士になった…のだが、ここでもまた問題が。昨日まではあんなにかっこよかった赤司くんは、何とまた変態な赤司くんへと戻ってしまったのだ。驚いて開いた口が塞がらなかったけど、いつかまたあのかっこいい赤司くんが見れると信じて、私は彼に挨拶をした。

「おはよう、昨日から俺の彼女になって5年後には俺の嫁になる千尋」

「あはは、おはよう妄想大好き赤司くん!」


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