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  正反対な双子




「大輝」

シーン。静寂が鳴り響く。どうやら1人だけ、いや、正確には3人だな。しかし、二人はマネージャーだからまだ許せる。まだ来ていない大輝を探しに行くべく、深い溜息をついてから、緑間に部活を任せて、校内を歩いた。

体育館から2階の校舎へと上がって、青峰を探す。すると、教室から声が聞こえて来た。俺はその教室を目指し歩いた。


「だからね、大、ここはこうするんだよ?わかる?」

「わっかんねーよ………」

「大ちゃん…、せっかく千尋ちゃんも教えてくれてるんだから…ね?」

「そうだよー、頑張って頑張ってっ」

「俺達ほんと極端だからよ…俺は運動千尋は勉強。足せば完璧なのにな…」

「や、やればできるから大丈夫だよ…!」

「そうそう、まだ諦めちゃダメよ、大ちゃん!」


ああ、勉強してたのか…。大輝一人に二人がかりとは…大変なものだな。空いている扉から中へと入り、三人を見つめる。すると、三人も気付きこちらを見上げた。
まず、桃井が、ごめんね、後少しなの。と謝り、つぎに千尋が、大もやれば出来るから…ちょっと待ってて?と。無論、大輝は眉間に皺を寄せ問題を睨んだままである。


「…双子だというのに何故ここまで大輝は勉強が出来ないんだ?」

「さぁな…」

「千尋は勉強が出来て、大輝は運動が出来る…やはり、セットじゃないとダメなのか?」

「んー…そうだねぇ、きっとそうだと思うよ?」

「私もそう思うかなー…大ちゃんには千尋ちゃんがいないとダメだし千尋ちゃんには大ちゃんがいないと、ね?」

「あ、私さっちゃんもいないと死んじゃう」

私も千尋ちゃんがいないとダメかもな〜と言う桃井。とうに趣旨など忘れ、ふわふわと和み出した雰囲気に喝を入れるべく、で、どこがわからないんだ。と聞いた。すると、後ここが終われば終わりなんだよ。と大輝が指をさした。大輝のシャーペンを取り、スラスラと書いていく。すると大輝は、やべえ閃いた。と言い、答えを書いていった。
自分でも計算してみたが、答えは合っていた。じゃあ、部活へ行こうか。と声をかければ、千尋が立ち上がって言った。


「赤司くん、すごいね…!」

「そうかい?」

「うん、だって私達が教えても全然ダメだったのに、赤司くんが少し書いただけであんなに早く解けちゃうなんて〜」

「ふふ…何でだろうね」

「んー…赤司くんが素敵だからだと思うよ」

「千尋も可愛いし勉強は出来るしドジで天然な所は天使だと思うが?」

「えへへ〜」

恥ずかしそうに照れる千尋の頭を撫でて、微笑んだ。そう、俺達は付き合っているのだ。勿論、双子の兄の大輝も、幼馴染みのさつきも公認の恋人だ。もうこれは結婚まで持ち込めるんじゃないか…と考えた時期もあった。


「うっわ」

「なんだ、大輝」

「イチャつくなら他所でやれっつーの…てか、千尋のどこがいいんだよ、まず胸がねーじゃねえか」

「コラ!大ちゃん!」

「本当のことだろ」

「逆に聞くが大輝は、仮に千尋が双子じゃなかったとして惚れない要素があるのか?」

「ありありに決まってんだろ。ありえねぇよ」

へぇ、と言ったあとに、千尋を抱き寄せた。そして、赤司くんいい匂いする〜と可愛い発言をする千尋を抱きしめながら言った。

「なら、千尋は貰うよ、まあ、最初から千尋の全ては俺のものだが」

「勝手にしろよ」

「もー、大ちゃんってば!待って!あ、千尋ちゃんと赤司くんも部活行かなきゃだよ!」


はーい、と返事をした千尋の顔を上げさせ、その白い肌へとキスを落とした。すると彼女は恥ずかしそうに体をよじらせ微笑んだ。
本当に正反対の双子。肌の色も、得意な事も、性格も。しかし、そんな所もまた可愛い。

夕陽がさす教室の中、少しだけ背伸びをした千尋。僕の頬へと手を伸ばした。


ちゅ


「えへへ…大がね、赤司くんにしたら喜ぶと思うって教えてくれたの」

「へぇ、大輝が………けど、嬉しいよ」

「ふふ、良かった〜」


ふわふわと、頬を染めて微笑む千尋に再び甘い甘いキスをした。







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