03
さすがに体術のみで勝つのは無理そうなので、刀を抜く。軽く振って重心を確かめる。
気が短いのかそういう性分なのか、迎え討とうとせず土方は銀時に突っ込んできた。

「うらァァァァァ!!」

振り下ろされる刀を避ける。右腕で構えた刀に左手を添え、土方の刀を切りつけた。土方の刀は半ばで折れ、こちらの刀は無事だ。

「はァい、終了ォ」

鞘を拾い借りた刀を収め、土方の隣に置く。肩の治療をするため親方へ声を張り上げる。

「おいハゲェェ!俺ちょっと病院行ってくるわ」
「待てェ!」

去ろうとすると土方に呼び止められ、一応立ち止まってやる。

「……てめェ、情けでもかけたつもりか」
「情けだァ?そんなもんお前にかける義理はねー。何でてめー殺して犯罪者にならにゃいけねーんだ」

同じ犯罪者になるなら、後悔しないなり方がいい。喧嘩売られて殺すなんて程度の低い真似する気はない。

「俺にとってお前は殺したいほど憎んでるわけでも、殺したいほど愛してるわけでもない。だから殺す価値も必要性もない」

どうでもいい人間の命を狩ってやるほど、自分は軽い人間ではない。もう背負い過ぎるほどの命を背負っているのだ。

「で、真選組を護りたいんだっけ?ならその大将のストーカー癖を何とかしろよ。大将自ら真選組の名を汚してっぞ。あ、てめーせめて割った瓦だけでも片付けといてくれよ」

言いたいだけ言うと、今度こそ銀時はその場を後にした。
銀時は背を向けていたので気付いていない。残された土方がすっきりしたような、しかし悔しそうな、そして不思議なものを見るような、複雑な表情をしていたことを。




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