それはまるで、懺悔のような恋
悠×捺希
(捺希語り)
さようなら
そんな明確な別れの言葉もなく、私と彼女との関係は崩れてしまいました。
他人から見たらとても強くて、でも実際はどんな関係より脆く儚い仲だった私たち
恋人、多分それが最も正しい関係だったのでしょう
けれども私たちは、自分たちの関係に名前をつけたことはありませんでした
それでも幼い頃は、永遠を信じ、2人ならなんでもできるとずっと思っていたのです。他の人と離れても、私たちだけは繋がっていれると疑いませんでした
今では、何が別れの原因かなんてわかりませんでした。
別々の学校
お互いに出来た新しい友人
会えない時間の方が多いほどの忙しさ
心身の成長
きっと、全てが答えなのでしょう
もしかしたら全て違うのかもしれない
正誤なんてもうどうでもいいのです
今では、私と悠はただの知り合い
それでいいと今でも思っているのです
私の残った淡い恋心も時と共に薄れて消えていくのです。素敵な思い出だと微笑むことができる日がいつか来ると信じているのです
けれどああ神様、なにがいけなかったのでしょうか。
いつもより早い下校だったから?
寄り道をしたから?
別の道を選ばなかったから?
私たちが、また出会ってしまったことにも何か意味があるのでしょうか
そして私はその意味を見つける事ができるのでしょうか
二度と会うことはないと思っていたのに、私たちの視線は刹那の時間とはいえ交わってしまったのです
この再会に何の意味もないのなら、偶然とはいかに残酷なものなのでしょう
私はあの人と目が合うだけで、こんなにもまだ切なさで心が乱されてしまうというのに
(そしてまた、貴方を思い出し渇れぬ涙を流すのです)
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