トモダチ思い2
「おい、トモさんに会うの何時だっけ」
「5時だって」
「まだまだじゃん」
当たり前だ、まだ13時だぞコノヤロウ。誰がトモくんに約束取り付けてやったと思ってんだ。
バレンタイン当日に近くの公園に来てくれってメールなんて、痛すぎる。
カズヤ本人は朝からずっとソワソワしてるし。こいつってこんな奴だっけ?って思うくらい。
「俺はどうすれば?」
「ついてきてよ、一人とか無理」
一人とか無理、なんて普段は群れるのを嫌う癖に。
プラスして好き嫌いがハッキリしてて人見知りだから、カズヤは決して友達が多いほうじゃない。
ただ、なんかわかんねえけどみんなから一目置かれてる。便利な立ち位置ですこと。
「さ…………むい!!」
「うわ、降ってる!しかもちょっと積もってる」
さすが2月、一番寒い月なんだっけ。
空からはさらりとした雪が降ってきて、頭につもる。
学校を出たのは4:40。公園までこっから10分。余裕だ。
しかし、バレンタイン当日に雪なんて珍しいもんだ。ホワイトバレンタインみたいな?
道路にも2cmくらい薄く雪が積もってて、二人してしゃくしゃく踏みながら歩く。
公園についたけれど、トモくんの姿はどこにもない。
まだみたいだ。
「アキ!!」
屋根のあるところへ避難すると、公園のど真ん中で突っ立つカズヤからお呼び。
「お前なにしてんの」
「雨宿りならぬ雪宿り」
「こっちこい、助け呼ぼーぜ」
は、助け?
なにを始めるのかとジーっとカズヤを観察してみると、雪の上から踵で線を書く。
どうやらアルファベットのS。
「あー、助けってそれか、無人島とかの」
「お前はO担当な」
高校生にもなる野郎二人で雪遊びなんて、馬鹿でしかないけれど。普段結構飄々としてるカズヤがこんなに楽しそうにはしゃいでいるのを見ると、可愛いなコイツ、以外に思い浮かばない。
「これ見てヘリとか来ちゃったらどーすんの?」
「その前に溶けるだろ」
そう言われ、ああそうだなと思った。なんか寂しい。
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