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目にいっぱい涙を溜めてとーやを見つめる。
こっちを見たとーやは眉を下げてはぁ、と息を吐いた。



「……俺、違う奴と付き合うから、無理」


「…………!!」



もうだめだ、俺。

糸が切れたように目尻から涙が止まらない。
でもとーやは前みたいに拭ってくれないんだね……


「……っ、ふ…ひっく……分かっ、た…ッ…」



多分今俺、すごい汚い顔してるよね。
セーターの袖で目を擦っても擦っても、止まんない……
しゃくりあげながら、でもとーやを困らせたくないよ……
だから、ボロボロと泣きながらにっこり笑う。

ほんとは、付き合う子が誰だとか、友達としてでも仲良くしてほしいだとか、言いたいことはいーーっぱいある。


でも、俺はとーやに嫌われたくないから、言えないの。
情けないよね、はは……馬鹿みたいだねー……



「とーっ、や………おれ、いつでも…ッ、待ってる、から…もし……もしまたっ、………」


「……そりゃどーも。でも」



絶対ない。

そう言って、とーやは去って行ってしまった。
とーやが校舎に入った直後に授業開始のチャイムがなった。

多分授業遅れただろうな…俺が引き止めたせいだよね……怒ってるかな、怒ってるよね。


でも、


「へへ…もー関係ない、んだったぁ………」



玉砕。

あっけないなあ。



涙はもう乾いていて、その分雨が激しさを増したような気がした。



「あーーーっ!気持ちよさそぉー!!」


屋根の下を飛び出して、上靴のまま土を踏み締めた。

制服が水を含んで段々と重くなるのも気にしない。
髪のセットが乱れるのだけが気になったけど、そんなの今はどーでもいい。



「っあー……もー、終わった………」



とーやのいない学校なんて、来る意味あるのかなぁ。

止まった涙が溢れ出す感覚。
目頭が熱くなる。

でも、雨のせいで俺の涙なんてわかんなくなるから。
とーやも、ここにはいないから。




「……う、…わあぁあああんっ…!!!!」


地面にしゃがみ込んで、腕に目を押し付けて叫んだ。



俺には、俺にはとーやだけだったのに。

俺がとーやに依存しすぎてたんだよね。とーやは悪くないんだよ、ごめんねとーや………





雨は止むことなく俺を叩く。
ボトボトになったままその場にうずくまり続けた。





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