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「ちょっと待て」


奴に背を向けて帰ろうとすると、奴の手に肩を掴まれた。
触るんじゃねえよとまでは流石に思わないが、その荒々しい仕種と曖昧な態度にイライラはMAX。


「待て、じゃなくて待って下さいだろーが」

「お前、…サトのことどう思ってんの」

「話を聞けよ話を……」


さっきから俺の質問には何一つまともに答えないで俺に質問ばかり。


「どう思ってるって、なに?」

「だから……、」

質問に質問で返してやると、かなり歯切れが悪いようだ。そして察しの悪い俺にいらついてるんだろう。
そんな様子、聡の前じゃ見せたことないだろこの、好きな奴には外面良し子さんめ。


「俺が聡を恋愛対象で見てるか、って聞きたいわけ?」

そういうと杉田は押し黙る。
黙るということは肯定なんだろう。俺がこの機会に聡を落とそうと思ってるとでも妄想したか?


「俺と聡は親友だし。そんな不純な目で見られると不愉快」

「不純だと…」

「だってそうだろーが、テメーは聡でエロい妄想とかしてんだろ?」

今はしらねーけど、と付け足してやるとそれはそれはもう怖い顔になり、うぜーんだよと睨まれた。
あーこわい怖い。全然怖くないけど。
しかも、否定はしないのね。


たまに聡のバカな仕種や意表を突く言動になんかキュンとすることはあるが、恋じゃねえ、断じて。多分。
大体俺は綺麗なおねーさんか清楚な可愛い女子高生が好きなんだよ。


大体コイツだってそれなりにモテるだろ。高身長、顔もなかなか、頭も悪くねえ。
これでホモ。まあ生粋かは俺はしらねーけど、世の中わかんねーな。



そんな杉田をちょっとからかってやろうと思い、俺はにやりと笑って杉田にこう言った。


「まあ、聡可愛いとこあるし俺別にホモとか偏見ないし?」

「…なに言っ」

「あいつ今弱ってっし、慰める意味でも付き合ってもいいかもな?」


また怒るかと思いながら、横目で表情を盗み見ると、意外にも真剣な表情でこっちを見てる。
…まあ睨まれてるのに変わりはないけど。


「本気で言ってんのか」

「さあ?お前にいう義務はねーなあ」


本当はそんな気はさらさらない。
いきなり今日家行って告るって意味わかんねーだろ。大体いくら聡が弱ってたってオーケーでる訳ねーし。
冷静に考えたらちょっと煽ってるだけだとすぐ分かる。



「本気で言ってるなら、俺が認めねえから」

「……は?お前なに言ってんの?」



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