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「お前になんの権利がある訳?今カレならまだしもフッてんだろ」

「お前が、…サトと付き合うなら俺が別れた意味がない」

「はあ?」


お前が聡と別れた意味がねーって、なにそれ。
お前が一方的に聡を切っといて、その言い方なに?


「意味わかんねーんだけど。詳しく話せよ」

「…………」

「またダンマリかよ、都合悪いといつもそれだな」


厭味を言っても、俺に話すつもりはないらしい。
まあぶっちゃけ俺には関係ないことだもんな。お前らの関係にうるさく口をはさむつもりはないし、むしろ別れてくれたお陰で聡と遊びに行く時間が増えて感謝するし。

ただ、お前がなにを考えて聡を切ったかしらねーが、聡はそれを知らねえんだろバカ。
飽きられたんだろうと痛々しく笑う顔をテメエはみたことあんのか?



「一人でつまんねえことで悩んで聡を傷付けたんだろ、どーせ」

「んなことねえよ!」

「なら話してみろよ」


けしかけると杉田はグッと顔をしかめた。
あと一押しだ。

「ま、別にいいけど。俺今から聡んとこ行くから」

「………」

「お望みどおり、手に入れてやんよ」


















聡の家の近くの業務用スーパー。とりあえず簡単に出来そうな、あっためるだけの食品をカゴに突っ込んでいく。


杉田の話は、非常に不快極まりなかった。まったくおかしいだろうこととはないんだろうが、俺には到底理解できねえ。
理解出来なすぎて、「テメエでちゃんと話しに行け」と靴箱に押し付けてそのままここにきた。

あいつと話していると意見が合わなすぎて、口調が普段の3割増し悪くなる。ヤンキーかよ、みたいな。


「つか、やっぱちっせーことじゃねーの………」

俺からしてみればつまらんことだ。俺の性格もあるだろうが、杉田の結論には間違っても至らないだろう。
聡と話合って、叱って、それだけで済むだろ。なんて簡単にいいすぎ?

俺は、好きなら離れたくない。ずっと横に付けて、他人になにを言われようがどうでもいい。馬鹿にされれば、一発お見舞いして終わり。

あいつは俺とは違うらしい。



目に入るものをテキトーにあれこれカゴに突っ込むもんだから、量がかなり多い。
もう一度整理して選びなおすのもめんどくさいからと、そのままレジに持っていく。一気に軽くなる財布。
なんか料理できねー一人暮らしだと思われたんじゃね?

小分けのビニールなんか使わずに全部無造作にスーパーの袋に突っ込む。
近いし、別にいいだろ。



聡の家のチャイムをおしながら思う。
あいつが聡に話そうが話すまいが、俺は俺のやり方で聡を元気づけてやるのだ。
杉田のせいで下がったテンションをあげようと、出てこない聡に対してチャイム連打の刑を与えてやった。










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