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「杉田が、お前と別れたいって言ったの?」


「…うん、そーだよ?他の子と付き合うんだってー!俺邪魔者だったみたいっ」



俺がずっと鈍くって、とーやの気持ちを悟ってあげられなかった。

とーやの後ろにひっついて、煩わしかったかもしれない。


考えれば考えるほど自虐の波に溺れてゆく。
明るい口調で、自分に刃を突き立てる。




「聡、お前…気付いてないかもだけど、………ここ、涙の跡」


「ふぇ……」


苦しそうな表情の安ちゃんにそう言われ、分かるはずもないけど指差された頬をなぞってみる。



「泣いたのかよ、あんな奴の為に」


安ちゃんの声はちょっと怒っていて、少し怖い。
俺のことを心配して言ってくれたのは分かってるんだよぉ。

けど、だって。




「だって、俺、っはぁ………とーゃが、好きなんだもんっ……!!」


さっきも嫌というほど泣いたのに、俺の涙は涸れることを知らないみたい。
ボロボロと流れる涙に、安ちゃんは一瞬ギョッとした。


「…聡……お前ほんっとバカ!」



安ちゃんは俺に優しい慰めの言葉なんてかけてくれない。
だって安ちゃんはいつも、俺に「あんなやつほっとけよ」って言ってたもんね。

安ちゃんの忠告も聞かないで、俺はほんっとーにバカ。




「……あ、あんちゃ、っん……ー!!!」


「あーもー、…仕方ねーな………よしよし、泣かないのよー聡ちゃん?」



安ちゃんにタックルするように抱き着くと、よろけながらもちゃんと俺を受け止めてくれる。

ちょっとふざけた口調も、安ちゃんなりの励まし方なの、分かってるよ。




「今日カラオケ行くって行ってたのに、行けなかったなー?」


「ごめ、んっねー…、っヒック……」


「今度奢ってくれたら許してやる。あとあんまり俺の服を濡らすな!恥ずかしいから!」



分かった?
そういって俺の背中を強く叩く安ちゃん。
ちょっぴり痛いくらいのそれが、安ちゃんらしい。


俺は、ほんっとぉーにいい友達を持ったよ、安ちゃん。


………ありがとぉね。




結局二人で帰路に着いたのはそれから20分後。



安ちゃんと二人の時も俺は、俺の半分でもとーやが俺を好きになってくれたらいいな、って。


考えてた。






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