闇、病み、止み 第一章







「何もしねぇよ。触れねぇから…大丈夫だ。」

大人しく手を引っ込めて、優しく話しかける。しかし政宗は、近付くどころかむしろ後退りを始めた。

「嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ…!そうやって俺に近付いて、また何か盗んだろ!?壊すんだろ!?解ってんだよ、てめぇのやりてぇ事位…!」


完全に警戒されていた。けれど元親は、一歩一歩近付く。

「そんなひでェ事はしねぇよ…まぁ、この悪人面が言った所で効果は無さそうだけどよ…まァ聞いてくれ。」

とうとう政宗の背後は壁になった。それでも元親は政宗に近付く。
カタカタと、小刻みに政宗の体は震え始めた。






「俺は、これから毎日政宗の所に来る。根拠だとか理由は…変な話だが俺も解らねぇ。けどよ、同じ眼帯同士仲良くしようぜ?ま、所謂俺とお前は友達――」






そこまで言いかけた途端、政宗が突然豹変した。












「言うなああぁあぁぁ!!」




ものすごい金切声だった。耳を塞いで、政宗はその場にしゃがみ込んでしまった。
流石に元親も唖然として、次の言葉が出なかった。いや、出せなかった。


それからは何を話しかけても答えは無く、仕方なくその時は教室を出た。「またな。」と、軽く声をかけて。



教室を出てすぐ、廊下で何人かの男子生徒とすれ違った。見た目からして不良。派手なシャツとお揃い柄のかと疑う程派手な頭。元親には目もくれず、ガヤガヤと喧しく横を過ぎて行った。

(待てよ…確か……向こうには政宗がいる)


教室しかない、という所まで考える暇も無く―



「まーさーむーね君、あ〜そび〜ましょ〜?」

「なになにー震えちゃってるしー。しかも泣いてるとかマジお前うっぜぇなー」

「おい!見ろよこの弁当!綺麗に冷凍食品が並べられてるぜ〜!!政宗くーん。お昼ご飯ですよー?ほらよっ!!!」


バタン!   ガンッ! カラン……

「あーあ。グチャグチャ。申し訳ないねぇ。手が滑ってさ。あ、お詫びといっては何だけど、これ、詰めといてあげるー」

「ギャハハハ!!!!ご飯変りにホコリ詰めるとかマジ傑作!!」

「それ塵取りで集めた即席弁当だろーが!!」








信じられなかった。


今、あの教室で起こっているであろう惨劇。あの中には、確かにまだ政宗がいる。その目の前で、何が起こっているのか。










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