闇、病み、止み 第一章





「てめぇ何こっち見てんだよ!」

「気持ち悪い顔見せんな!今から弁当食うのに吐き気するだろーが!!」

「この怪物野郎!自分の目玉食った野郎に見られたくねぇんだよ!!」



酷い罵声。そして、殴る音。
その瞬間、まだ状況の理解もろくに出来ぬまま元親は走り出した。




「…てめェら、何してやがるッ!!!」


勢い良く戸を開けた。そして元親が目にしたのは、さっきまでの綺麗に整頓された教室では無かった。

床一面に白米、よくある冷凍食品の惣菜が散らばっていた。そして床に放り投げられていた弁当箱には、塵や灰色をしたホコリやビニールのゴミが詰められていた。
何より、突然乱入して来た元親を不良全員が見ていてその1人が手にしていたのは



口から血を流して人形のように力なくうなだれたままの、政宗だった。


勿論不良共も乱入者に黙ってはいない。

「あ?何だよお前はよ。」

「俺は長曽我部元親…今日、転校して来たんだ。宜しくな?」

余裕たっぷりに自己紹介すると、もう一度室内を見回して政宗の胸倉を掴んだままの1人を睨む。因みに、怒りの為無意識にである。

「おい、そこの政宗を掴んでるアンタ。俺のダチに何て事してくれてんだ…?」

すると、自分に殴りかかってくると思い元親が身構えていたのと裏腹に室内に笑いが響いた。

「っはははは!」

「何、お前が、コレの友達!?ハハハハッ!やべぇ、ツボった!!」


「……はぁ?」

「だーかーらー、簡単に言うと友達選べよって話。」

「転入生でダチ居ないからって、よりにもよってコイツを選ぶかよ普通!」


「あーでも、元親だっけ?てめぇも眼帯か。ま、類は友を呼ぶとはこの事か!!」


そして再び笑いに包まれる。その異常な空気に元親は耐えられなかった。

「ふざけんな!!!」

近くにいた男子を殴り飛ばした。その体は宙を舞い、机に激突した。
その途端、笑いが消えた。

「俺が誰を選ぼうと勝手だろうが…お前らが何と言おうと、俺は政宗を守る。」

また1人意味も無く殴りかかって来た。しかし、それも一撃で沈める。
元親は自慢ではないが腕っ節は強い。だが、元親は友の為以外には手を上げない主義だった。その為、喧嘩が強いのは噂にもあまりならない。


不良集団といえど所詮は虚勢の軍団。それから2、3人沈めると一目散に教室を去った。よくある負け犬の捨て台詞を吐きながら。










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