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「今年も行くんですか、お墓参り。」
至極なんでもないことのようにぽつりと名前が呟くと、驚きに目を瞠ったルヴァイドが勢いよくばっと名前を振り返った。
窓から差し込んでくる日差しにまだ強さが残る、夏の終わり。まだトリスたちの敵として戦っていた一昨年も、村の復興を手伝うようになった去年も、この季節になると他のことがどんなに忙しくなろうとも必ず彼がレルム村のお墓に足を運んでいることを名前は知っていた。
誰からそんなことを…、と大層複雑そうな顔で問うルヴァイドに、悪びれる様子もなく名前が、トリスとロッカとアグラさん、と答えると、彼は深く溜息を吐きながらくしゃりと額に手をやった。
「今年はご一緒してもいいですか、お墓参り。」
至極なんでもないことのようにぽつりと名前が呟くと、眉間に皺を寄せたルヴァイドがちらりと名前に目を向ける。
「ついてきてどうするつもりだ。」
「別に、どうも。」
「なら駄目だ。」
「ならこっそりついていきます。」
「……ついてこないという選択肢はないのか。」
「もちろん。」
しれっとした顔で答える名前を前にしてルヴァイドが再度くしゃりと頭を掻く。きっと今のこのときは彼にとって、誰よりも隠し事を知られてはならない相手に隠していた事が知られてしまった瞬間に他ならないのだろう。…それでも。
「ルヴァイドさん、今年はご一緒してもいいですか。」
今度は先程よりもはっきりと意志を持った口調で名前が問う。今度は文末に、どちらにせよ堂々とついていくかこっそりついていくかですけど、と付け足して。
彼に付き添って何になるのか…それは彼女自身にも分からなかったが、それでも彼が決意を新たにするそのときには、傍にいたいと思っていた。
いたって生産性のない行為ですが
(わたしにとってはきっと意味のある行為で。)