第八輪

ずっとずっと友達だよ

××

……ここ、どこだろう

真っ暗な空間に、私は浮いていた

キョロキョロと渡りを見渡すけど、何にも無い

私、あれからどうなったんだっけ?


…………あぁ、そうだ、確か気絶したんだっけ?

バーンに迷惑掛けちゃったなぁ、どうしよ

きっとグランにも伝わってるよね、痛いのはやだな

それよりも、ここ、なんだろ

もしかして研崎の新しい実験なのかな

うーん、どんな内容の実験かもわからないから、ここからの出方もわかんないし…どうしよ

幸いにもここは空気もあるし、寒くも暑くもないし、問題は何も無いんだけど

ただ1つあるとすればすごく眠たいんだ

それに頭の中がとっても軽い

まるで憑き物が落ちたかのように軽くて、でも、大事な何かを無くしてしまった様な感じがして

私、なにを落としたんだろう


遠くから私を呼ぶ声が聞こえてくる

あ、もうお迎えが来てしまったようだ

うん、いいか、落としたならまた拾えばいい話だよね


それじゃ、起きようか

××

目が覚めると、マックスの顔が目の前に合って、驚きのあまり「プギャッ!!」という奇声を出してしまった

…一生の不覚なり


「ちょっと、人の顔みて奇声上げるだなんて失礼なんじゃないの?」


そう言って容赦無く鳩尾にパンチを一発お見舞いする辺りマックスさん流石です何かが出そうになった


うぐぅ、お昼に食べた物が…(あ、よく考えたら何も食べてなかった)、ともかく何かが出そうな気分だ


「ほら、目覚めたんならコレ飲む!」


そう言って私の目の前にペットボトル(あ、お水だ)を突きつける

ちょ、近い近い!!私の視界がペットボトルで埋まる!!

慌ててマックスの手からペットボトルを取って飲む

冷たい水が喉に染み込んでいって……痛い


「っ〜〜〜、痛い!!」


「そりゃあんだけ叫んで喉痛めたら痛いに決まってるでしょ」


笑いながら私の体をバシバシ叩く

っ〜〜、こいつワザとか!!ワザとなのか!!


「おいマックス、そこら辺にしてやれよ」


部屋の扉が開く音がしたと思ったら、救急箱を抱えた半ちゃんが部屋に入ってきた


…あれ?そういえばなんでマックスと半ちゃんがここに居るんだろう?

だって、ここに居たら、私と一緒に居たら、2人まで……


急に黙り込んでしまった私を見て、マックスは頭を軽く叩いた


「っ、な、」


「あのさぁ、僕達をあんまり見縊んないでくれる?」


キツイ目で私を射抜く


「悪いけど、僕達は友達を簡単に切り捨てるほど非道な人間になった覚えはないよ」


「…え?」


「まだ、わかんないのかなぁ…」


少しだけ呆れた顔をして、でも、笑って


「…僕は、僕達は君の味方だよ」


確かに、そう言ってくれた

そう言って、私に抱きついてきた


「おいマックス、お前だけいい所とんなよ」


「仕方ないじゃん、半田は中途半田なんだから」


「おいこら今なんつった」


半ちゃんも少しだけ怒って、でも私とマックスを包み込む様に抱きついてきた

それが、すごくうれしくて

些細な事かもしれないけど、暖かくて

当たり前の陽だまりが、楽しくて


「あ、りがと、マックス、半ちゃん」


マックスと半ちゃんは、何も言わずに強く抱きしめてくれた




マリーゴールド

(友情)

(どんな事があったって)

(無償で自分の味方をしてくれる)

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