第七輪

私はまた忘れてしまう

××
バーンside

アイツがエイリア学園にやってきた

といっても俺はとくに何か特別な感情を抱いたわけではない

アイツとの出会いなんて俺にとって最悪に近かったしな(だってあのグランと手を繋いでいたんだぜ?)

それでも興味がなかったわけではない

だってアイツ父さんに気に入られていたんだぜ?しかもあのグランにも研崎にもよぉ

しかもジェネシスから唯一一点をとった選手…面白いとおもったね

あのグランの澄ました顔が崩れていたんだぜ?アイツが点を入れた瞬間さぁ

そのシーンが面白くて何回再生したかもうわかんねーよ

だから俺がとった行動は只1つ


「お前、強いんだってな」


なぁグランよぉ…お前だけ面白いだなんてズリィだろ?

だったら、俺も楽しんでいいよなぁ

××

今日もいつもどおり実験をしていたらバーンがやってきた

今日の実験は確か…必殺技の練習、しかもただの必殺技じゃなくてあの禁断の技の練習

なんでもエイリア石の力によってどこまで耐えられるか試す物だったらしい

あー、体中が痛くて立てないや…どうしよ


「なんだよお前…立てないのか?」


そうだ、と言おうとしたら声が枯れていた

そりゃそうだ、あんだけ叫んだいたんだ…声も枯れるわな

仕方なく喋るのは止めて肯く事にした


「へぇ、しかも声も枯れてんのか…どんだけ激しい実験したんだよ」


ニヤニヤ笑って私を見下すバーン

あ、今気づいたけどバーンって名前…擬音語の後に言うと名前じゃなくて効果音の様に聞こえるね

うーん、にしてもどうしよう

グランに今の状態で見つかったらまた蹴られるよね

それはやだなぁ…痛いのは嫌いだし


「おい、お前起きてるか?」


反応の無い私を見て、おもしろくなかったのか私の頬っぺたをペチペチ叩いてくる

しかも頬っぺたを引っ張ったりする

いひゃい


「いひゃいでふ、わーんはま」


「誰がわーんはまだよ」


そう言って更に頬っぺたを引っ張る

いひゃい、何がしたいんだこの人は

頬っぺたを引っ張ってしばらくの間遊んでいると、飽きたのか、早々に私の顔から手を放した


あぁ、もう…そんな子供っぽい所があるとすぐ騙されるよ

そうそう、あの時みたいにさ、もうちょっと大人にならないと

ね、


「はるやん」


自然と、口からその言葉が零れた


「っ、お前、今!!」


バーン(はるやん)が目を見開いて私を見る

…はるやん?はるやん、はるやん

頭の中で何回も繰り返される単語

あれ?あの時って何時?騙される?何に?

あれ?あれ?あれ?


「っ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


頭の中が焼ける様に熱くなって、色んな所が軋んできて痛い

声なんてもう枯れていて、息をするだけでも辛いのに、叫ばずにいられなくて

あれ?あれ?あれ?

はるやん?ヒーちゃん?ふうちゃん?れいちゃん?みーちゃん?

頭の中でたくさんの単語が浮かんでは消えていく

だれだれだれだれだれ?

知らない、私は知らないのに


「いやっ、いやいやいやいやいやいや!!」


「お、おいっ、落ち着けよ!!」


脳味噌が溶けてしまいそうなほど熱くなって、体をゴロゴロと転がす

ゴロゴロゴロゴロ、頭の中も、脳味噌の中も、視界も回る

あれ?なんで、なんで?私忘れてる?

違う、私知らない、こんなの、違う


ぎゅっと目を閉じて、全部消えてしまえと願う


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


目から涙が大量に零れでて、地面へと落ちていく

悲しくないのに涙が出てきて、それに反して頭が熱くて、痛くて

息が上手くすえない、違う、息がするのも辛いほど喉が痛んでいた

枯れていた声を無理やりだしていたんだ、当然じゃないか


「わたっ、わたしは…」


私は………また、





けし

(忘却)

(忘れてしまったもの)

(それは暖かな……)



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