第六輪

あなたが好きだから思い続ける

××

冷たい物が頬に当たる感覚がして気持ちいい

なんだろう、私、どうなったんだっけ?

あぁ、そうだ、グラン(ヒーちゃん)が泣いていたんだ

ダメだよ、泣き止んで、君が泣いてるとこなんて見たくないよ

ねぇ、何が悲しいの?何が苦しいの?私が居るからダメなの?


「か…丸…さ」


遠くから私を呼ぶ声が聞こえる

まだダメだよ、だってまだ泣いてるんだ

私は、まだ


「風丸さん!!」


はるなんが私の名前を叫ぶ

目をゆっくりと開けるとそこは私とはるなんの部屋だった

あれ?私、なんで…


「風丸さん……よかった」


はるなんがそう言って私に抱きつく

あ、はるなんだったんだね、私の頬にタオルを当てていたの


そうだ、私グランに蹴られたんだった

うーん、これ痣になってるかな…痛いのはやだなぁ


そんな事を考えていると、はるなんが私の服をキツク握って何か言う


「亜紀さん、お願いですから、もう…」


自分を犠牲にするのは止めてください―――

そう言ってはるなんは声を押し殺して泣き出してしまった

零れ落ちた涙が徐々に私の服へ染み込んでいく


…犠牲?私が?


「イヤなんです、私が傷つくのも…貴方が傷つくのも………」


そう言って更にキツク私の服を掴む


はるなん…そっか、ごめんね

私、はるなんの気持ちを考えていなかったね


「風丸さんのしている事は正しいかもしれません……でも、私の願い、覚えていますか?」


はるなんの……願い

確か、また皆と一緒に、笑いあってサッカーをすること


「風丸さんがそうやって自分を犠牲にして…居なくなったら、私の願い、叶わないじゃないですか」


自分の手を握る力が強くなる


ぽたぽたと冷たい水滴が私の服に落ちる


はるなん…私ね、はるなんを泣かせたくてこんな事したんじゃないよ?

はるなんの願いが皆と笑いあってサッカーをすることなら、私の願いは皆を救う事なの

皆が笑顔で居られたら、それって最高じゃない?


「風丸さん………」


はるなんが顔を上げて、私の顔をみる


ごめん、はるなん

私はそれでも止めない

はるなんの願いは少しだけ叶わないかもしれない

でも、それでも私は……皆が大好きなんだ

××

フィディオside

遠くの方から協会の鐘が鳴る音がする

今日はどこかで結婚式でもあったのだろうか…鐘の音と共に人々の笑い声も聞こえてくる

人々の笑い声を聞きながら俺は海岸を1人歩く、笑い声と波の音が混じって心地良い

きっとアイツだったら海岸を歩くといったら白いワンピースだろ!!とか行ってマーク辺りに着せようとするんだろうな

そう思うと自然と笑みがこぼれてきた、やっぱりアイツは面白い

海岸を歩いていくと既にマークやアツヤ、テレスに…なんとディランも来ていた

きっとマークに着いてきたんだろうな


「おっせーぞ、フィディオ!!」


「ごめんごめん」


アツヤが少しだけ怒っているが時間的にはピッタリなのだ、皆が早すぎるんだよ、うん

マークとテレスが既に花火の準備が終わらせておいたのかさっきからディランがはしゃいでいる

うん、それじゃぁそろそろ


「それじゃぁ一発目打ち上げようか」


「ミーが一発目打ち上げたいよ!!」


「あっ、おい、ディラン!!」


ディランが先急いで一発目に火をつけようとする

それをテレスが素早く押さえ込んで俺にライターを渡す


「ほら、今のうちにささっとやれ」


「No〜、ミー、ミーが打ち上げたかったのに!!」


なんだかディランがミーミー鳴いているけど、今のうちに俺が打ち上げないと何しでかすかわからないしな…

一発目の打ち上げ花火に着火して急いで離れる


「皆っ、離れて!!」


皆で急いで離れると同時に火薬球に火が付いて物凄い音と共にまだ少しだけ明るい空に打ちあがる

花火の色は綺麗な水色、まだ少しだけ明るい夜空を背景に綺麗に打ちあがった


…昔調べた事だからよく覚えてはいないんだけど、花火には鎮魂の意味があるんらしい

これであの人も少しは安らかに眠ってくれるだろうか………


「oh!!、次の!!次の花火早く打ち上げようよ!!」


ディランが花火に興奮してテレスの腕の中でジタバタと暴れる

その時ちょうどアツヤの顔に腕が当たり、アツヤが顔を抑えてうずくまる


「っ〜、ディラン!!」


「Noー!!、アツヤが怒ったー!!」


ディランが素早くテレスの腕の中から抜けて、アツヤとの追いかけっこを始める

その光景が本当に面白くて全員して笑い出してしまう

笑いながらディランが言った様に次の花火に火をつけて2発目を打ち上げる

次の花火は綺麗な緑、そして次に打ち上げるのが綺麗なピンク、次がオレンジで次が紫!

たくさんの花火を打ち上げるといつの間にか周りにはたくさんの見物人が来ていた

しかもその中には警官まで居る

ヤバッ!!


「マーク、テレス、アツヤ、ディラン!!人が多い今のうちに逃げ出さないとヤバイよ!!」


「げっ、警官かよ」


「アツヤ!!マーク!!逃げるぞ!!」


「ミー!!」


「やばっ!!」


なるべく小声で話し合いながら急いで海岸から離れる

幸いにも警官にはバレテいなかったみたいで後ろから追いかけてくる人は居ない

はー、危なかった


「ミー、でも花火綺麗だったね!!来年も皆でやろうよ!!」


…来年か、そうだな


「そうだね、来年もやろうか」


「ただし次は打ち上げじゃなくて普通のテモチ…とかって言うのにするぞ」


テレスの言葉に全員してブーイングを上げる


「お前等少しは反省しろ!!」


するとテレスが全員に拳骨をしてきた、うぅ、痛い

打ち上げが中止とかツマンナイよー、派手なのやりたいのにさ……


にしても、来年か…その時にはアイツも一緒にやれるといいな






オシロイバナ


(あなたを思う)


(貴方が大切で、大好きだから)


(貴方の隣に居たいんです)

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