オランジュリーの誘惑[3/4]

言われるままに左右に脚を広げれば、ずるりとベルトごと全部下に降ろされる。剥き出しになったそこがピンと勃ち上がってるのがちらりと見えた。

ふるふると頼りなげに揺れるその先端はもう濡れてる。


「……先生、シて」


堪えかねてそうねだれば、柔らかな髪の感触が肌を滑り落ちていく。くすぐったさに息を吐きだした途端、そこが温かな感覚に包まれた。


「 ─── ん、は……、あっ」


咥え込まれて水音を立てながら上下に揺すられれば、頭の中がぐらぐらする。そこから生まれては全身へと広がっていく快感は、もう何にも代え難いぐらい強くて、もともとそんなにきちんと確立されてない俺の理性はあっさりと攫われてしまう。


「あ、あ、せんせ……」


追い上げられて喘ぎ混じりに息を吐けば、ちゅぷりと吐き出されて片手で根元からゆるく扱かれる。熱を失ったそこは冷ややかな空気に曝されて小刻みに震えてる。

ひんやりとした感覚に喘ぎながら目を開いて下を向けば、身体を少し起こして上目遣いでこちらを見つめるきれいな顔が見えた。その瞳は明らかに笑ってる。


「ほら、先生じゃなくて?」


「……未尋」


「なに?」


意地悪な顔が小憎たらしくて、なぜだか胸がキュッと縮こまる。


「も、苦し……イかせて」


揺れる視界の下の方で、嬉しそうな微笑みが映り込む。もう片方の手が先端から滴るものを指先で掬い取って、見えない場所へと滑っていく。


「ひ、あっ」


後孔の襞を撫でられてゾクリと痺れみたいな何かが背中を走る。グリグリと少しずつ押し開かれていく異物感を、息を吐いてやり過ごす。ここが痛かったのは本当に最初の頃だけで、慣れてしまえばとんでもない快感を得られる器官だということは、もう身をもって教え込まれてる。

そうこうしてる間に的確に前立腺を擦り上げられて、跳ね上がる腰を押さえつけるようにまた咥え込まれる。


「あぁ、あっ……、あ……」


ふたつの場所から与えられる刺激に頭の中が白んでいく。ぐるぐると渦巻く快楽がとうとう出口から放たれて、それに引き摺られるように中が強い収縮を繰り返す。

湧き起こる感覚に身を委ねて乱れた呼吸を整えようとする。

うっすらと目を開ければ先生が身体を起こしてこくりと口の中のものを呑み込むところがばっちり見えてしまう。


「なんで呑むんだよ、変態」


「口直しだよ」


甘いものが苦手な先生はそう言ってきれいな顔を近づけてくる。軽く唇を重ねながら、小さな子どもにするみたいに優しく頭を撫でられる。

うん、お裾分けなんていらないから。

ちょっぴり入ってきた舌が連れてきた苦味に顔を顰めれば、先生はそのまま立ち上がって俺のシャツのボタンを丁寧に閉めていく。


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