「あぁ、イキそう……ッ」
郁は上擦った声でそう言って俺の腕を強く手繰り寄せる。 締めつけようとする郁の中から俺は指を引き抜き、その手で細い手首を掴んだ。後孔がぬるりと郁の指を吐き出す。
「あ、なんで……っ」
快楽を取り上げられて涙目で見上げる郁を、俺は性急に組み敷いた。
小さな後孔に張り詰めた先端をあてがい、そのまま突き立てるように侵入していく。
「……あぁっ、あ、ふ……ッ」
脳が溶けてしまいそうなほどに強烈な快楽が、俺を襲う。
ただれたように熱く濡れる郁の中は、うねりながら難なく俺を受け容れ、同時に強く収縮を始めた。
「あ、イク、あ、あァ……ッ!」
薄い腹筋が艶かしく小刻みに震える。
こいつは、誰かにセックスを教え込まれたんだろうか。挿れられただけで達するほど淫らな身体になるまで。
浅く早い呼吸を繰り返しながら、郁はうっすらと目を開けて俺を見上げる。
「……ああ、すごく、いいよ……」
細い腰が揺らめき、波のようにさざめく快感が生まれては積もり重なっていく。
「一志さん、気持ちいい……」
繋がる場所から湧き起こる、蕩けるような快楽に俺はあっさりと攫われてしまう。 しなやかに筋肉の張った両脚を肩に掛けて体重を乗せるようにより深く繋がれば、郁は身体をしならせながら淫らに喘いだ。
「……は……ぁっ」
救いを求めるように差し出された手を取ってその指を口に含むと、郁は俺を苦しそうな顔で見ながら少し笑った。
腰を打ち付けて時折奥まで繋がったまま揺さぶれば、それに合わせて嬌声が上がる。
初めて身体を重ねたのに、まるで互いを快楽に導く手順を知り尽くしているかのように共鳴し、高まり合っていく。
「郁……」
その名を呼ぶと、恍惚とした顔で俺を見る。
「ああ、そうだよ……」
そう言って、今にも泣き出しそうな表情で俺をじっと見つめる。
夜の海を彷彿とさせる、美しい双眸で。
「……あっ、また、イキそ……ッ」
絶頂を目前に郁の身体は硬く強張り、小刻みに震えていた。
今にも泣き出しそうな、苦しげな表情にそそられる。人は快楽に溺れるとき、なぜこんな顔をするのだろう。
嗜虐心を煽られながら、俺は最後の階段を駆け上がる。
「あ、あぁ…ッ、あっ!」
郁の中が強く収縮を繰り返しながら痙攣し、闇雲に放たれた俺の精を残さず飲み込んでいった。
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