必死に訴えれば、ユウは僕の首すじを舌でそっとなぞりながら奥を強く刺激し出した。
「ああ、っふ、……ああッ!」
全身から熱が溢れ出るように、身体の隅々まで行き渡った感覚が堰を切って零れていく。
細かな痙攣が収まって呼吸を整えていると、僕の中から長い指がずるりと抜けていった。
「……あ……」
喪失感に喘ぐと、乱れた呼吸を閉じ込めるように唇を塞がれる。
抱きしめられれば合わさったお腹の辺りがぬるりと滑って、ああ僕は前でも果ててしまったんだと気づく。
「ユウ、汚れるよ」
放たれたものはぬるい温度で僕たちを濡らす。
この半年間、こうして少しずつ僕はユウを穢してきた。
この人には何の罪もないのに。
「アスカ」
低く紡がれる囁きが耳に心地いい。僕の我儘を赦してくれるただひとつの声。
「ねえ、欲しい……」
精一杯ねだれば、ユウは身体を起こして僕の頬を優しく撫でてから、腰に手を掛けた。
引き寄せられて浮かすように抱え上げられれば、達したばかりの後孔が期待に疼く。
あてがわれた熱い昂ぶりが、ゆっくりと入ってくる。
「───っ、あ、は……ッ」
内臓がグッと突き上げられる圧迫感に息を吐きながら堪える。そのままゆらゆらと揺さぶられれば、痺れるような快感が湧き起こって僕を浚っていく。
「あ、あ……、ユウ……ッ」
必死に腕を伸ばすとユウの身体が前に倒されて、その首に手を掛けて起き上がる。
ユウの上に座る形で向かい合って抱き合うと、身体の重みでより深くに入ってくるのを感じた。
「アスカ、自分で動けるか」
心地いい低音で艶やかに囁かれて身体が震える。
恐る恐る腰を浮かせて、ギリギリまで引き抜いたところで落とせば繋がるところから強い快楽が生まれた。
「ん……、あ、ァ……ッ」
ぞわぞわと肌が粟立っていく。初めはゆっくりと。ベッドのスプリングが反動するのを利用して次第に速度を増していけば、もう僕は快楽に全てを支配されていた。
意識が振り落とされないように、しっかりと目の前の身体にしがみつく。
白んでいく脳裏に浮かび上がるのは、サキと身体を重ねた甘く哀しい記憶。
忘れたいのに忘れられないのは、本当は忘れたくないと心のどこかで願っているからかもしれない。
月日を経たところで、僕は何も変わらない。
僕の時間はサキが全部持って行ってしまったから。
「ユウ……、ああ、あ……ッ」
限界を迎えて必死に名を呼べば、激しく突き上げられて身体が跳ね上がる。
身体の隅々まで行き渡る快楽は、解放を求めながら増幅を繰り返す。
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