Dawning Kiss side A[5/6]

意識が縺れたまま積み重ねられる波に飲まれて、僕は1番深いところへと沈み込んでいく。


「 ─── あっ、イク、ああ……ッ」


中から生まれる強い収縮に翻弄されて何度も身体が痙攣すれば、奥で熱が放たれるのを感じた。

ずるずると長引く余韻に、抱き合いながら呼吸を整えて顔を上げる。

淡い色の瞳に映し出された僕は、亡霊のように虚ろな顔をしていた。






シャワーを浴び直してベッドに戻った僕たちは、横たわって緩く抱き合う。


「───アスカ」


顔を上げれば、僕はユウにじっと見つめられていた。


「どうしたの?」


いつになく神妙な面持ちにそう問い掛ければ、形のよい唇がそっと動く。


「契約を交わした。明日からだ」


「……わかった。初仕事だね」


少し笑うと、ユウは何も言わずに僕の頭を優しく撫でてくれた。

誰かと4日間を過ごすこと。それが、ユウから僕に与えられる仕事だ。

僕たちはこの日を待っていた。僕が成人して自分で責任が取れる年齢になる日を。

この半年間何度も自問したのは、ユウと初めて身体を繋いだときに口にした言葉。


─── 誰かを救える人間になれば、僕は赦されるだろうか。


食い入るように僕を見つめるクリスタルガラスのような瞳は、何かを訴えるように微かに揺らめいている。


「大丈夫だよ、ユウ。心配いらない」


そう言って、そっと顔を近づけて口づける。

触れるだけのキスは、いつものように安らかな眠りを誘う。


「今日はゆっくり休めばいい」


ユウの言葉に僕は静かに頷く。

重いカーテンの隙間を縫って射し込む薄明かりの中、そっと瞼を閉じる。

黎明はすぐそこに来ていた。




"Dawing Kiss side A" end




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