その言葉に恥ずかしげに視線を逸らして、飛鳥はじりじりと身体の中に俺を沈めていく。吸いつくような熱に感覚を委ねてしまいそうになりながら、最奥に辿り着くその手前で俺は一気に腰を突き上げた。「───ッ、あぁ、あっ、あ……!」飛鳥の中が強い収縮を繰り返して、こっちまで持って行かれそうになるのを息を吐いてやり過ごす。俺の腹から胸にかけて、飛鳥の放った白い花が飛び散っていた。「……は、ぁ……ッ」潤んだ瞳で俺を見下ろすその顔が、どうしようもなくきれいだった。「みつ、き……」最奥まで繋がったまま、ゆるゆると腰を動かせば、それに呼応するように飛鳥が上下に弾んでいく。「ん、ん……、光希……、あっ」縋るものを求めて前に身体を倒してくる飛鳥の背中に腕を回して、強く抱きしめる。汗と体液で濡れた身体が密着して、熱くて融け合ってしまいそうだ。蠕動しながら俺を包み込み刺激していく飛鳥の中をできるだけ優しく穿ちながら、少しでも長く繋がっていたいと願う。だって ─── 俺は、ずっとお前に逢えなかったんだから。誰が、誰に逢えなかったって?『ミツキはすごく大切な友達だから』ああ、また幻聴だ。耳鳴りに混じるのは、携帯電話の受話口から聴こえてくる、涙に震えた声。『僕のことなんて早く忘れて、ちゃんとした恋愛をして幸せになってほしい』ちゃんとした恋愛って、何だよ。俺は頭がどうにかなりそうなぐらい、お前のことを愛してるんだ。忘れられないなら忘れなくてもいい。全部受け止めてやるから、そのまま俺のところに飛び込んで来いよ。俺はお前とじゃないと幸せになんてなれない ─── アスカ。「ああっ、あ! 光希……!」気がつけば俺は下からめちゃくちゃに飛鳥を揺さぶっていて、湧き起こる淫らな快楽に混濁した思考を委ねようとしていた。「飛鳥、好きだ」華奢な身体を強く掻き抱いてそう告げれば、腕の中で飛鳥は小さくわななく。「愛してるよ……」ちゃんと聴こえるように、律動の速度を緩やかに落として耳元で囁く。飛鳥はおもむろに顔を上げて、その拍子に熱い雫が俺の頬に降りかかる。美しく澄んだ目から零れ落ちた涙だった。「光希……」桜色の唇が、ゆっくりと動く。─── あいしてる。確かにそう象ってるはずなのに、その声は俺の耳には届かない。 - 24 - bookmarkprev next ▼back