Love You, Too[2/3]

「あ、カイくんすごい。おっきい」

うるさい、と口にするより早く七瀬は熱の籠った眼差しで俺を見ながらとんでもないことを言い出した。

「俺、授業中ずっとカイくんのこと見ないように我慢してたんだよね。だって、見たら絶対勃っちゃうんだもん」

それは賢明な判断だと思う。クラスの皆がいる前でそんな状態になってしまえば、もはや目も当てられない。

「だから、ご褒美をください」

一体どんな理屈なんだと呆れ返る。どこから光を集めているのかというぐらいにキラキラと瞳を輝かせながら、七瀬は小首を傾げてねだってくる。握り込まれたそこを緩々と扱かれて、思わず吐息が漏れた。
腹が減っているのは確かだった。けれど食欲が性欲に勝るというのは、極限の状態に陥ったときに他ならない。

「七瀬」

名前を呼びながら俺の半身を弄る手首を掴み上げて引き離せば、泣きそうに瞳を揺らす。これだけ押しが強いくせに少し拒絶されたぐらいでそんな顔をするのは反則だと思う。

「いいか、あんまり時間はないからな」

吐き捨てるように告げれば、途端に七瀬は満面の笑顔を見せて大きく頷いた。

「うん!」

俺の性欲が食欲に勝るのは、七瀬が無駄にエロいせいだ。
華奢な両肩を掴んでぐるりと回り込み、ロッカーへと身体を向けさせる。浮き上がった肩甲骨に噛み付くように腹立ち紛れのキスをすると、小さな悲鳴が聞こえた。
まだ湿っているハーフパンツを膝まで下ろして指先で後孔に触れれば、そこはもうぬるりと水分を含んでいる。

「あ、大丈夫! 準備しといたから」

いつどこでどうやって準備したんだ。気になって仕方がないが、それを訊くとドツボに嵌りそうで、あえて触れるまいと心に決める。
濡れたそこにツプリと指を差し挿れると、スチールの扉に両手をついた七瀬の背中がひくんと小さく震えた。熱く柔らかなそこは、容易く異物を呑み込んで更なる奥へと誘い込む。

「あ、ん……あッ」

深いところをぐるりと掻き混ぜれば、甘い喘ぎ声がこぼれ落ちる。恐ろしいことに準備をしたというその言葉に偽りはないようだった。

準備だか何だか知らないが、そんなところを誰かに見られてはいないだろうな。
ふとその場面を想像してみただけで眩暈がする。胸のざわつきを覚えながら指の本数を増やして解していくうちに、熱を孕んだ中は蕩けながら吸いついて俺を誘う。時折膝の力が抜けて身体が崩れそうになるのを必死に踏ん張りながら、七瀬は物欲しげに腰を揺らしていた。

「あぁ、カイくん、挿れてえ……ッ」

なんで俺はこいつとこんなところでこんなことをしているんだ。指を引き抜けば透明な液体が糸を引いて垂れ落ちていく。荒い呼吸を繰り返しながら、七瀬はこちらを振り返って悩ましげな瞳で俺を見つめる。

「あ、早く……、早くして」

口をついて出た溜息の意味が自分でもよくわからない。座り込んでロッカーにもたれ掛かれば金属のひやりとした硬さが背中にあたる。細い手首を掴むと、きょとんとした顔で七瀬は大きな目を見開く。抵抗するように力の籠もる手を、こちらへ強く引き寄せた。

「いいから来いって」

「カイくん? しないの?」

「立ったまますると、お前がもたないだろ」

忌々しくそう言いながらもう片方の手で水着を引き摺り下ろして脱がせると、素っ裸になって上にぴょこんと跨ってきた。じゃれるように抱きつかれれば、濡れた肌と肌がピタリと密着する。
ああ、本当に暑苦しい。

「カイくんの今の優しさだけで、今月オナニー100回はイケそうなんだけど!」

「やっぱり立て」

「やだ!」

べったりと押しつけた身体をおもむろに離して、七瀬は俺の水着に手を伸ばす。腰周りの部分を引っ張って、腹に付きそうなぐらいに勃ち上がったそれを摘んで取り出す。

「わああ。カイくんのおちんちん、今日もイイ感じ!」

「声がデカイって」

いつもながらに歓喜の声をあげる七瀬もどうかと思うが、こんな状況でしっかりと発情してしまっている自分自身も本当にどうかと思う。七瀬は腰を浮かして後ろ手に握りしめたそれを何度か緩く扱き上げてから、ゆっくりと体内に埋めていった。

「……あ、あぁ……ッ」

ぬるりとした熱い感触に包み込まれて、ゾクゾクと背筋が震える。七瀬の中は今日も腹が立つほど気持ちいい。俺の形を確かめるかのように粘膜がぞわぞわと締めつけてくるのを、浅く息を吐いてどうにかやり過ごす。

「あ、カイくん、イきそう……」

奥まで到達した途端、泣きそうな声でそんなことを囁いてくる。高窓から射し込む光に照らされて、白い肌は艶を帯びて光っていた。
不安定に揺れる瞳を覗き込んで唇を掬うようにキスをしてしまったのは、空腹で頭が回っていないせいに違いなかった。

「 ──── っ、ん、ん………ッ!」

舌を絡ませて吸いながらゆるゆると腰を突き上げれば、七瀬の中がビクビクと強く震え出す。胸から腹の辺りに掛けて、熱い飛沫が飛び散る感触がした。唇を離せば七瀬は首を仰け反らせて喘ぐように空気を吸って吐く。

「……は、あ……、カイく……ッ」


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