じゅるじゅると股間から響く卑猥な音にうっすらと目を開ければ七瀬の小さな頭が見えた。柔らかそうなクセ毛が動きに合わせてふわふわと揺れる。
ズボンをボクサーパンツごとずり降ろされた途端ベッドに押さえ込まれて、俺は七瀬のいいように弄ばれている。 飢えた仔犬のように股間にむしゃぶりついてきた七瀬は、先程から飽きることなく俺の昂ぶりを必死に愛撫していた。
どこがちょこっとだ、どこが。
「ん、ん……、はひふん、ひほひい?」
何言ってるかわかんないんだけど。
咥えられたそこから波のように湧き起こる快感を息を吐いてやり過ごしながら小さく頷けば、七瀬は嬉しそうな顔でまた膨張した俺のものに舌を這わせて上下に扱いていく。 敏感なそこに絡まる粘膜の感触が気持ちいい。頭に手を置いてくしゃりと髪を掻くように撫でると、七瀬は急に口から俺のものをポロリとこぼして、勃ち上がった半身を至近距離でまじまじと見つめだした。
「あ、カイくんのおっきい……すごく感じる」
わざと濡れた音を立てるように片手で扱きながら、恍惚とした顔で筋の浮き立ったそれに息を吹きかけてくる。焦らすようなその行為に、ゾクゾクと背筋を何かが這い上がっていく。
ああ、駄目だ。ムラムラしてるのは七瀬じゃなくて、俺の方かもしれない。
不意にカチャカチャと金属の擦れる音がして、視線を下げれば七瀬が神懸かり的な早さで履いているジーパンをずらしているのが見えた。 俺のものを片手でゆるゆると扱きながら、もう片方の手を下へと伸ばしていく。
「………あ、んぁっ」
上擦った声をあげながら七瀬が後ろ手で自分のそこを解していく姿に、俺は呆然と見入ってしまう。
「……あ、あ、カイくん、ダメぇ……ッ」
「俺、何もしてないんだけど」
「うん。だって、妄想だけでここ、ぐちゃぐちゃ……」
とんでもなく変態なことを口走りながら、七瀬は自分の中にうずめた指を少しずつ出し挿れしていく。それを見てるだけで、もう手に負えないぐらい昂ぶった俺のものが、ずくんと震えた。 アイドルも裸足で逃げ出すぐらいかわいい顔を紅潮させて、泣きそうに瞳を揺らしながら、七瀬は濡れた唇を開く。
「ここにカイくんのおっきいの、ください」
こんな言葉に欲情するなんて、全くどうかしてる。
「 ──── ひゃあっ」
あっさりと欲望に負けた俺は立ち上がって七瀬を抱き上げ、ベッドに押し倒した。馬乗りになって中途半端にずり下がったジーパンを下着ごと引き抜けば、見事に勃ち上がったそれが解放されてふるふると揺れる。
「あ、カイくん、待って」
クリクリした目をしばたたかせて身体を起こした七瀬は、着ていたTシャツをするりと脱いで床に落とす。やや小柄でしなやかな肢体が露わになって、白い肌に目を奪われた途端俺は伸びてきた手に囚われていた。 服の裾を遠慮がちに引きながら、七瀬は首を傾げて上目遣いに俺を見つめる。切なげなその顔に、なぜか心臓が大きな音を立てた。
「カイくんも脱いで。カイくんの身体、ペロペロしてハァハァしたいっ」
かわいいな、と一瞬でも思ってしまった俺がバカだった。七瀬はやっぱり七瀬だ。
「断る」
「ええっ。俺、誕生日なのに!」
だから、誕生日は関係ないだろ。どれだけごり押しするんだと呆れるが、へらりと笑う無邪気な顔に何も言えなくなってしまう。仕方なく身につけているものを全部脱いでしまえば、七瀬は俺の身体に隈なく視線を滑らせて、最後に中心にそそり立つものに目を留めた。
「あ……すごい、おっきい」
瞳をうるうるさせながら指先で先端に触れて、身を寄せてくる。黙っていれば、顔だけはかわいいのに。そう思っていたら唇を啄ばまれて、油断した瞬間ドンと押し倒された。ぽすんという音と共に背中の衝撃はマットレスにきちんと吸収される。 俺に覆い被さった七瀬はまた唇を重ねてきた。ふにゃりとした頼りない感触は、すぐに首筋を辿り落ちて肌を滑っていく。時折ちろちろと舌が肌に触れるのがくすぐったい。
「おい、何やってんだよ」
「ん。カイくんのこと、食べてる」
ぱくりと胸を食まれて、舌先が頂をやわやわとくすぐる。そんな快感未満の小さな刺激が、どういうわけか下半身に来る。俯いてふわふわした髪をくしゃりと撫でれば吐息と共に掠れた声がこぼれ落ちた。
「あ、あ、ナカ、うずうずする………」
手を伸ばしてつるんとした背中に滑らせると七瀬は腰を揺らして上目遣いで俺を見る。じっとりと熱を含んだ眼差しは、後孔の襞に触れればゆらりと動いた。
「 ─── あっ、カイくん、挿れてえ……」
ツプリと指を挿し込んだ途端、ひくんと身体が震える。さっきまで七瀬が自ら弄っていたそこは、するりと抵抗なく奥まで異物を呑み込んでいく。 潤滑剤がないせいか、いつもより内壁の温度が高い。ヒクヒクと蠢きながら締めつけてくるそこが傷つかないようゆっくりと抽送を繰り返せば、七瀬は腰を浮かせて甘い喘ぎ声を漏らした。
「ん、ああッ……」
官能に揺らめくその顔に煽られながら七瀬の弱い部分を指の腹で何度も刺激するうちに、中がぎゅうとひときわ大きく収縮を始める。俺の肩先に額を押しつけて、七瀬は大きな声をあげた。
「あぁっ、あ、イく……ッ」
粘膜が波打って指を締めつけてくると同時に、熱い飛沫が腹を濡らす。呼吸に合わせて動く背中に掌をあてて宥めるように何度も撫でてやると、七瀬はやがてふわふわした前髪の隙間からクリクリした瞳を覗かせて笑った。
「カイくん、出ちゃった……」
嬉しそうな顔で自分の撒き散らした白濁をぬるりと指で掬い取って、ずるずると俺の身体を下がっていく。
「カイくんのー、おちんちんにー、俺のー」
よくわからない節を付けて、今にも食いつかんばかりに俺のものをうっとりと眺めながら、七瀬は誇らしげに言い切った。
「精子をー、付けるっ」
アホか。
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