久しぶりの異物感に、ともすれば詰めてしまいそうになる息を、ゆっくりと吐き出していく。
「 ─── ん、あ、ぁ……っ」
指1本を挿れられただけで、そこは悲鳴をあげている。誘ったのはこっちなのに、身体がついていかないことがもどかしい。
うっすらと目を開ければ、見下ろす眼差しはなぜか笑っている。
「……な、に……?」
奥に入った指が少しだけ動いて、意志とは関係なく中がギュッと締めつけてしまう。そこを何とか緩めたくて小さく息を吐いて腹筋から力を抜こうとしてみるけれど、うまくいかない。
「うん。本当に浮気してないなと思って」
「……ばか」
当たり前だ。こんな恥ずかしいこと、佳月以外とできるわけがない。
指1本で限界だと感じていたのに、潤滑剤の力を借りて少しずつ解してもらえばそこはちゃんと佳月を受け容れられるぐらいに蕩けていく。
「佳月、挿れて……」
何度もイかされてぐったりと力の抜けたそこに、熱い昂りがあてがわれる。少しずつ入ってくる質量はほんのちょっとの痛みを引き連れてきて、懐かしさを伴う甘い疼きに不覚にも涙が零れそうになる。
「っあ、……ァ」
奥まで挿れられてぴたりと合わさる肌は、境目が融けるぐらいに熱い。そのままゆっくりと揺さぶられていくうちに、痛みは消えて快楽にすり替わっていく。
「朝陽、愛してるよ」
惜しみなく浴びせられる愛の言葉に頷きながら、僕は確かにここに存在する身体にしがみついて頷く。
「僕も、愛してる」
離れている間はひどく不安だけれど、こうして肌を重ねればそんな感情は吹き飛んでしまう。
肌を打ち付けられる度にぐちゅぐちゅと下肢から響く音に煽られて、僕は高みへと昇り詰めていく。
先走りを零して震えるそこに手が掛かり、緩く扱かれた途端唇から大きな声が漏れた。
「あ、あっ! だめ、イく……ッ」
背筋が震えて下肢が強張りだす。この感覚も随分久しぶりで、相変わらず慣れない。速まる律動に耐え切れず後孔が収縮を始めて、佳月を引き寄せて深く呑み込んだ途端、奥に熱い飛沫が放たれるのを感じた。
「佳月、佳月……」
縋るように抱きついて名を呼べば、余韻を長引かせる柔らかな口づけが与えられる。
荒く呼吸を繰り返したまま、僕たちは存在をたしかめ合いながら何度も唇を重ね直した。
情事の後にじゃれるように抱き合うのが好きだ。
仲の良い猫のように戯れながら、そう言えば、と佳月が口を開く。
「今日は七夕だったね」
時計を見れば日付けが変わる20分前だ。そんなことはちっとも念頭になかったけれど、そう言われて今日が7月7日だということに気づく。
「織姫と彦星は、会えたかな」
僕の言葉に、佳月は少しだけ考え込んでから目を細めた。
「多分、無理だろうね。ベガとアルタイルは16光年も離れてるから。光速で移動しても、16年かかる」
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