9,夏休み(天羽戒編) 思い出さないで下さい
あの後、「玩具を買うのはどうか1人で行って下さい」
「誰かと行くにしても、未成年の俺を連れていくのは止めてください、未成年ですので!」

と、言ってみたが全くもって駄目だった

『大丈夫、大丈夫、僕を信じて』

その言葉に信じられなかった
というか何に信じればいいんだ

これは何を言っても無駄だと判断して
諦めてついて行くことにした


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そして日曜日になった

どこか不安な気持ちと共に、学校の校門前まで来た

そうすると既に戒さんはもういた

いつもの白い車に乗っていた


「おはようございます」

「おはよう、京くん。早かったね」

今日も爽やかだ

「戒さんこそ」

現在昼の12時


早速、街の方へと出発した



「京くんはもうお昼は食べたのかい?」

「いえ、まだ食べてません」

「そっか。じゃあ最初は、お昼ご飯を食べに行こうか」

「どこで食べるんですか?」

「それはね、着いてからの お た の し み だよ☆」

「そうですか」

素直に言ってほしい

「僕がたまに行ってるところで、凄い美味しいよ」

「ふぇー」

「京くんの高校から近かったはず」

どこだろう



ー3分後ー


「着いたよ」

「ラーメン屋ですか」

「美味しいよー」


中に入って、席に着いた

その後はラーメンは何味が好きだとか、玩具の事や、玩具、玩具...主に玩具の話だった

話を逸らしても逸らしきれなかった




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食べ終わって、車に乗り込んだあと

「美味しかったー」

「美味しかったですね」

思いのほか美味しかった
また行ってみたい

次行くなら、かけると行こう

「じゃあ、早速行こうか」

「玩具ですか」

「いや、その前に文房具を買いに行くよ」

「文房具ですか...?」

戒さんが使う機会はあるのだろうか

「愛用のペンが壊れたんだよ」

「あー、そういえば」

確か、趣味で絵を描いているとか言っていた

「どうした?」

「戒さん、絵を描いてるんですよね」

「そうだよ。みる?」

「え、いいんですか」

「いいよー、えっとねー」

そう言うと、持っていた携帯をいじりだした

「これが最近描いた絵」

「お、おお...」

映っていた画像をみた

そこには可愛らしい女の子が
エロいポーズをとっていた

「萌え...ですね」

「萌え、だろ」

戒さんが親指をグッと、立てていた

今日一番のドヤ顔を見た気がする

「この絵を描いている時は、京くんがこのポーズをしたらどうなるかと妄想しながら描いていたよ」

「え、あ、」

「そんな引いたような顔をしないで、京くん。ほら、そのお陰でこんなにも素敵な絵が出来たよ」

俺は一体どんな反応をすればいいんだ

「そんなに困惑しないでおくれ、冗談じゃないから」

「あ、冗談じゃn.....は?」

「あはは」

「いや、否定してくださいよ」

「京くん、可愛いからさ」


どこかだ!

俺はどちらかと言えばかっこいい方だ

...かっこいいはずだ


「とりあえず、ペンを買うよ」

「そうですね」

「出発だ!!」

「.....」



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30分後、街へと着いた

見渡すと高いビルが沢山ある

「いつ見ても広告のやつでけー...」

「京くんって、街に来たことあったんだ」

「あ、ありますよ?」

「今日で何回目?」

「...さ、3回目」

「じゃあ2回は来たことあるんだ」

「まあそうですね」

言うほど俺は、友人と遊ぶことは少ない方なのかもしれない

「因みにその2回はかけるくん?」

「え?」

以外な質問に驚いてしまった


「俺、そんな事言ってましたっけ...?」

かけると付き合っていることは秘密にしている筈が...

もしかしたら言ってしまったかもしれない

「うん。言っていたよ?」

「...」

「僕が、京くんの事を童貞だーっていじっていた時かな」

そんな事あったな...

確か、戒さんと出会ったばかりの時だったか

あれは...思い出したくない

「か、彼氏いるので! なんて言っていたよ」

「そんなこと言ってましたね.....」

「あの時も可愛かったなー」

「あまり思い出さないで下さい...!!」

「彼氏がいるだけじゃ関係ないって言ったら、何故か「かける!!可愛いっすよ!!」って言ってたな

「うわあああああ!!」

やめろおおお!!


あの時、なんでムキになって言ったのだろうか


「もう彼氏とはヤったのかい?」

そう、爽やかに聞くな

「そういうの聞いちゃいますか」

「ここは聞いた方がいいかと思ってね」

「もう、あの話はやめましょう...」

これ以上俺の心が持たない

「そうだね。とりあえず今は、玩具とペンだ」

凄く嬉しそうに言った

「そうですね...」


尚更、かけると会いたくないな












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