7,暑さに弱い人
帰宅後

早速渡された封筒を見てみた......


俺はこの封筒の中身をみて、驚きを通り越して固まっていた

「俺....普通にやっちまったのか....」

封筒の中には、手紙と1枚の写真が入っていた

写真には、昨日の撮影のワンシーンが撮られていた

それを見たときは全てを察して
困惑していた

そこで
もう1枚の手紙をみると

『昨日の撮影お疲れ様でした。
この手紙と一緒に入っている写真は昨日、カメラマンさんが、こっそり撮ってくれた写真だよ。京君は攻めが初めてで、僕は何もかもが初めてだったけれど、とても楽しかったよ。また機会があればよろしくね。 天羽榿こと、生徒会長より』

あの方、同じ学校の生徒会長だった

察しの通りだった




生徒会長とやったのかよ...!!

俺!!




昨日やった相手が同じ学校の生徒会長って...

一応昨日は、自分では生徒会長とは言っていたものの

まさか同じ学校の人だとは思っていなかった


そういえば、この手紙を渡してきたって事は
俺と同じ学校だと知っていたんだよな

なんで知ってたんだよ...


何だが、ある種の恐怖さえも
感じてしまいそうになる


...これはもう、ありがとうございましたってお礼言うべき?


正直いうと、この写真はいらない

また親にバレるリスクが高まると思うと
今すぐにでも返却したいものだが
それはそれで申し訳ない

とりあえず
この爆弾(封筒)を何処かに隠くさなければいけない

これといって隠すスペースがなかったので

「引き出しの奥でいっか」


そーっと、封筒をしまった

「よし、」

これでいいか

この後は、生徒会長にお礼の手紙でも書いてさっさと寝るとしよう


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翌朝

そういえば、今日から夏休みだった

「やったーー...」

あれ、でも確か
今日か明日に夏期講習があったような...?

すぐに予定表を見てみると

「あ、」

今日だ


時間は

「お」

あと3分で支度出来るかな


「やばい!!!」

急いで支度した


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「ふう、」

なんとか無事にバスに乗れた



まさか夏休みの初日からあるとは

この夏期講習は自分で決めて入ったのだが
すっかり忘れていた

因みに教科は英語

俺が一番苦手とする教科でもある


「........」

それにしても今日は暑いな

座ってるからまだリラックス出来るから
よかった



すると突然

「ぁぁー......つぃ......うぅ...あぁ...あ...う...」

「ん、?」

隣に座っていた人が唸り出した
隣を見ると同じ男子高校生だった

同じ学校のやつか

全く見覚えのない人だった
が、明らかに体調が悪そうだった

顔も白くなっていた
汗はそこまで目立っていなかった

こいつ...大丈夫か

熱中症だよなきっと

「うー...まさ、か、こんなに、暑い、なんて.....ぁーうー...」

がこんっ!!

と前の椅子に頭をぶつけた

「だ、大丈夫ですか」

すぐに頭を起こさせた

「あ、うん...大丈夫...」

「いや、大丈夫じゃ...」

「僕、暑いの弱いんだ...予想以上の暑さで
ちょっといつも以上に辛いけど...」

それどころじゃないような

「それより君、1年生の人だよな」

「あ、はい」

「俺もそうなんだ」

「そうなのか」

普通に会話が始まったんだが


「副会長に話しかけられてる所、偶然見てたから知ってるよ」

「あ、」

そんなに見られてたのか

「俺は1年A組の......」

がこんっ

「今日はもう帰った方がいいと思うぞ」

「大丈夫、いつものことだから...
ちょっと無理しすぎたな...」

「今は安静にしてた方がいいと思うぞ」

「........」

と言うより絶対に帰った方がいい



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「何処の講習受けた?」

「英語だよ!」

学校に入った後、元気になった


「もう大丈夫なのか」

「これぐらいならな!」

元気そうで何より

「そういえば、お前の名前聞いてなかったな」

「俺は坂町京だ」

「坂町か」

と、ぼそっと言った

「そっちの、名前は?」

「あ、忘れてたな。俺の名前h...」

「こんにちはー」

「おっと、先生が来た」

名前は今度聞こう




んん...

分かんねえ...

先生の言っていることが右から左へと流れていく

ただ、俺の頭にあったのは
先生は女の人

ということ

もう頭が回らん

「坂町くん、ここの動詞はどこか分かる?」

「え?あ、えっと、Importantです」

「(ガタッ」

「えっと、」

「...?」

動詞とか分かんないっす

「違うね」

凄く苦笑いされた

トントン

「?」

後ろからあの暑さに弱い人に
肩をトントンされた

「Importantは、動詞じゃなくて形容詞だよ」

「そ、そうだったのか」

薄々そんな気はしていた

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夏期講習が終わった後、
暑さに弱い人から

「今度英語教えてあげるよ...」
と言われた

なんて優しい人なんだろうか



そんなことより

俺は今生徒会室の前にいた

暑さに弱い人には用事があると言って
先程別れた



いるかな


早速、生徒会室をノックしてみたところ


「そこにいるのは、坂町くんか」

「ビク」

振り向くと、そこには副会長が

「あ、えっと、この手紙を...」

ど、どうしよう

「生徒会長にか」

「はい」

「それは俺が後で、渡しておこう」

「あ、いや、これは俺が直接渡したいんですよ」

「それだったら、生徒会長は暫くここには来ない」

「え、そうなんですか」

なんてことだ

「ここに来るのはいつ頃になりそうですかね」

「2週間程すればくると思うが」

「あ、そしたら2週間後また来ます」

2週間後となると、もう忘れていそうだ


「あ、坂町ー」

「ん」


暑さに弱いだ

...なんか長いな

そうだ、これからは
『暑さに弱い人』ではなく
『暑い人』に、略しておこう

「そこで何してるんだー...うわぁっ」

「危ない!」

まだ後ろにいた副会長がそう言った

階段に落下しそうになった

つまずいただけのようだ

ドジっ子の様に見える...


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とりあえずは、また2週間後に生徒会長に会うとして

丁度、2週間後にも講習が入っていて
都合がいい

その前に確か、戒さんと出掛ける用事もあった

デートも近いうちにありそうだ


色々と今年は用事があって楽しみだ

(戒さんはまた別だが)






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