間章
「――――姉さん、ごめん。私の存在が、帝国学園総帥にバレた」
『…………意外だわ、貴方がそういうミスをするのは。何かあったの?』
「…………ちょっと、サッカー部に肩入れし過ぎたみたい。スパイが居たみたいでね、まんまと罠に引っかかっちゃった。完全に私の落ち度だよ」
『そう。……分かったわ、なら貴方の情報はまた厳重に規制しておきます。もう情報が洩れてるならあまり意味がないかもしれないけれど、やるに越したことはないわね。何処まで情報が洩れてるかわからないのだから、まだ間に合う可能性もある筈よ』
「ほんと、ごめん。………助かるよ、お願い」
『いいのよ、貴方は私の大切な妹なんだから』
「……あ、りがと」
『それで、葵はこれからどうするの?』
「…………本当ならもうここを離れるべき、なんだよね。いつ父さんにバレるか分からない以上、そうするのが最善策だ。それは十二分に分かってる。………でも、」
『…………離れたくないのね?』
「――――うん。…………もうすごく迷惑をかけてるのは分かってる。それでも、此処には彼拠にはなかった”何か”があるのを感じるの。私はもう少しだけでもいいから彼らのプレーを見ていたい。彼らの行く先を見れば、何か分かる気がするんだ」
『貴方がそこまで言うなら、私が従わない理由はないわ。でも、これだけは覚えておいてね。危険はすぐそこまで迫ってる。気を抜いちゃ絶対に駄目よ。貴方はずっと狙われている。貴方の力は強力すぎる。その力は、武器にも凶器にもなり得るわ』
「うん。よく、覚えておくよ」
『お願いね』
「ねえ、姉さん――――私たち、正しく進めてるんだよね?…………これで、良かったんだよね?」
『…………?葵?』
「………――――ううん、やっぱり、何でもない」
「私は救世主だ。皆を救う、救世主なんだ」
「なら、私は誰に救ってもらうの?」
その問いにはずっと、目を背けたまま。
『…………意外だわ、貴方がそういうミスをするのは。何かあったの?』
「…………ちょっと、サッカー部に肩入れし過ぎたみたい。スパイが居たみたいでね、まんまと罠に引っかかっちゃった。完全に私の落ち度だよ」
『そう。……分かったわ、なら貴方の情報はまた厳重に規制しておきます。もう情報が洩れてるならあまり意味がないかもしれないけれど、やるに越したことはないわね。何処まで情報が洩れてるかわからないのだから、まだ間に合う可能性もある筈よ』
「ほんと、ごめん。………助かるよ、お願い」
『いいのよ、貴方は私の大切な妹なんだから』
「……あ、りがと」
『それで、葵はこれからどうするの?』
「…………本当ならもうここを離れるべき、なんだよね。いつ父さんにバレるか分からない以上、そうするのが最善策だ。それは十二分に分かってる。………でも、」
『…………離れたくないのね?』
「――――うん。…………もうすごく迷惑をかけてるのは分かってる。それでも、此処には彼拠にはなかった”何か”があるのを感じるの。私はもう少しだけでもいいから彼らのプレーを見ていたい。彼らの行く先を見れば、何か分かる気がするんだ」
『貴方がそこまで言うなら、私が従わない理由はないわ。でも、これだけは覚えておいてね。危険はすぐそこまで迫ってる。気を抜いちゃ絶対に駄目よ。貴方はずっと狙われている。貴方の力は強力すぎる。その力は、武器にも凶器にもなり得るわ』
「うん。よく、覚えておくよ」
『お願いね』
「ねえ、姉さん――――私たち、正しく進めてるんだよね?…………これで、良かったんだよね?」
『…………?葵?』
「………――――ううん、やっぱり、何でもない」
「私は救世主だ。皆を救う、救世主なんだ」
「なら、私は誰に救ってもらうの?」
その問いにはずっと、目を背けたまま。