見ていた景色


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クロウリー男爵がアレンに向かっていく。ラビはボロボロだからまだこの戦いに参加するのは難しいだろう。なので、私とアレンでクロウリー男爵に向かう。でも、2人で相手してるのに私達の方が押されて怪我も多い。




「クロウリーさん!僕らは今あなたを退治するつもりはありません!!話を…っ」


「グダグダ言うな。仲間の死を見てビビったか?」


「ラビを勝手に殺さないでよっ」




イノセンスをクロウリー男爵の死角を狙って振るうけど、それすらも躱される。どうすればいいかと考えながら戦っていると、アレンから僕に任せてという視線を感じたからアレンが何をするのか見守る事にした。そしたら、なんとアレンはイノセンスの発動をといた。クロウリー男爵からの攻撃を受けて血が吹き出すけどそれでもイノセンスは発動しない。なので、私もイノセンスを鞘にしまってアレンの斜め後ろに立つ。




「話を聞いてください!」




アレンの誠意が伝わったのかクロウリー男爵も動きを止めた。




「あの庭にあった村人の屍は全部アクマですりあなたはそれを知ってたんですか?アレイスター・クロウリーあなたは本当に吸血鬼なんですか?」


「吸血鬼かだと…?」


「っアレン!!」




クロウリー男爵がアレンの背後に周り首筋に噛みつきすぐ離れた。アレンに駆け寄り首筋に目を向けると痛々しい跡。その噛んだ本人はアレンの髪の束を口に加えてこちらを見ている。あーアレンの髪が……可愛そうに。




「アクマなど知らん。私はただこの快感を楽しめれば良いのだ。人生楽しく生きたいだろう!!
何者にも縛られず自由に本能のままに!!
誰かに生き方を決められるのなどまっぴらごめんだ。
だから殺すお前らもな♪」




クロウリー男爵のアタックによってアレンが、クロウリー城の壁を突き破る。




「フン終いか」




のわけない。やっと動けるようになったラビとともにクロウリー男爵に攻撃。やっと不意打ちの攻撃に成功した!




「まだまだ終わらせないよ?」


「ぺぺっナメンなよこんにゃろ。ちょーっとキレたさ。ブチのめしてからゆっくり話し合おうと思います!いいだろ?イザベル」


「話聞いてくれないしいいよ」


「面白い」




と、いうわけで。実力行使に出ることになりました。ま、元から強すぎて手加減なんて出来てなかったら本気なのは変わらないんだけど。




「…ってワケで!アクマってのは人の皮着た兵器なんさ!」


「フーン」


「ようするに男爵はアクマの血を吸ったってこと! 」


「フーン
あれ?だったら私はアクマの血の毒で死ぬだろ。信じられんなそんな話」


「あ、ちゃんと聞いてくれてたんだね。でも死なないケースもあるんだよ?ね、ラビ」


「そうオレが考えてんのはこうさ。アンタはアレンと同じアクマの毒が効かない寄生型の適合者で無意識にアクマだけを狙っていた…その硬ってぇ歯がイノセンスなんじゃねェの?」


「アクマを狩るのが楽しいなら私たちの仲間になればもっと狩れるよ?」


「アンタ強いんで先話しとく。手加減してやれねェみたいだから目ェ覚めたら返事頂戴さクロちゃん♪」




やる気満々なので久しぶりに合技を使おうかなと、ラビのタイミングを見計らっていると、突然クロウリー男爵が呻き出した。何事?




「はれっ?おぅいどしたぁ?」


「ふぎぎききぎぎ
がはっ。はあああっぐっそぉ…!!燃料切れかぁあああ!!!」


「大丈夫?」


「ダメである!!!」


「ん?あるって言った?」


「言ったよな…?」




なんで戦い中にいきなりキャラ変してるのこの人……燃料切れとか言ってたしこれはチャンス…?




「まぁいいか。事情はまったく知らねェけどこっちにとっちゃチャンスさ。恨まないでね」


「同じ事思ってた。いつでもおいでーラビ」


「あいさー」




ラビのイノセンスの第二開放火版を、私も第二開放の風花を放ちクロウリー男爵に攻撃。男爵は私達が放った風を纏った炎に包まれ、アレンがクロウリー男爵にやられたように、男爵の身体が城壁を突き破った。




「安心せい火加減はしといたさ」


「おーかっこいい」


「惚れてもいいんだぞ?」


「その一言余計だよ」


「ぐっ…」


「ふふっ。クロウリー男爵追おう?」




ラビもすぐに立ち直り(そこまで傷ついてなかったけど)クロウリー男爵の後を追ってラビのイノセンスに乗って城内へと戻る。




「ようアレン」


「アレン」


「イザベル、ラビ!!」


「……左眼治ったんだね。ちゃんと開いてる」


「!おいアレンあの女…!?」




ラビがアレンの団服の襟首を掴みながら下にいるクロウリー男爵に寄り添うさっきの女の人…エリアーデさんだっけ?に視線を移したので私も釣られてそちらを見ると、そこには見えないはずのもの。私達はイノセンスから降りて2人に近寄る。




「冥界から呼び戻され兵器のエネルギー源として拘束された"アクマの魂"…か?そうなんかアレン?すげぇぞ何で…オレにも見えるさ…?お前のその左眼のせいか?」


「これが…アレンの見てる景色……」




アレンの団服を思わず握ると、アレンがぴくっとし左眼を隠す仕草をする。まさかアレンも私達に見えているとは思わなかったみたい。初めてアレンが見ている景色を見たけども、言葉で表せないくらい酷いもので悲しい。こんなのをアレンは背負っているんだ。




「クロちゃんその姉ちゃんはアクマさ!!説明したらさっき!あんたとオレらの敵さ!!」


「エリアーデ…?お前は何か知っているのか…?」




ポタっとクロウリー男爵の手の甲にエリアーデの血が落ち、反応する男爵。




「あーあブチ壊しよもう」




膝をついていたエリアーデが立ち上がり換装すると男爵を凄い力で蹴りあげる。男爵は柱に衝突する。




「うまく飼い慣らして利用してやるつもりだったがもういいわ!!お前をエクソシストにさせるワケにはいかないんだ殺してやる!!!」


「ヤベェさ!クロちゃんさっきオレとバトってヘロヘロだった!!助けねェと………っ」


「「「!!!!」」」 


「花が床を破って来たんだけど!?」


「まだあったんか―――!!!」




クロウリー男爵に加勢しようとした所運悪く床から食人花が突き破って出てきた。そして私達を拘束する。




「どんどん出てくる!!!」


「チクショー何なんだお前ら!!クロちゃんとこに行けねェェ!!」


「きゃっ!待って待って!!スカートの中に入ってきてるんだけど!?」


「はああ!?羨ましい!」


「本当ですよ!」


「真面目になんとかしてよ!」




イノセンスは食人花のつるにガッチリ拘束されて発動できない。こうなったら私は普通の人間にすぎない。体内にイノセンスがあっても、使えない。




「ギャッ!!
痛ってぇ!!!チクショーめこれじゃクロちゃんが見えないさ!」


「ラビ蹴ってるそれ私のイノセンス!」


「うわあ!?ごめん!」


「向こうで何が起こっているんだ!?」




ドンやらバゴォンなどの音が私達の耳に届く。物凄い音。今まで食人花に集中していた意識を外へと向ける。




「……!音がする」


「戦ってるさ…?」




外に意識を向けすぎていた。そのせいでラビが食人花に丸々食べられた。




「ウギャアアアアア」


「ラ、ラビ―――っ!」


「ラビ――!!落ち着いて僕の言う通りにしてください」


「アホか!落ち着いたら喰われる!!」


「最初に花に襲われた時思い出したんですけど!師匠といた頃僕これと同種の花を世話してたことがあるんです!!」


「…同種よりかはその花だと思うけど、ね」


「マジで!?じゃあこいつら止められるん?」


「はい」




私の呟きは2人には聞こえず。私はその花の事は話しか聞いたことがなかったんだけど、この街にアイツが来たとなると、同じ花の可能性もある。っていう予想にすぎないけど。




「この花は好意を持つ人間には噛み付きません。だから心を込めて花達に愛情表現してください」


「わかった!!
I LOVE YOU――――――――!!」




ラビが頑張って愛の言葉を叫んでくれている。私は恥ずかしいのでパス。ラビに任せた!




「愛してる愛してる愛してる…なあ、オレらイタくねェ?」


「でもホラ花が噛みついてこなくなりましたよ!」


「っ!」


「!ちべてっ」


「えっ…雨!?」




城内だというのに降る雨はなんだか寂しくて切なく見えた。食人花から解放された私達は膝をついて俯くクロウリー男爵に近づいた。




「クロウリーさん?」


「このアホ花…
ブス花クソ花グロ花ウンコ花―――――――!!!」




やっと解放されたと思ったらクロウリー男爵が暴言を吐いたせいでまた食人花の怒りをかって今度は4人とも食べられてしまう。




「クロちゃん何やってんだ――――!!!」


「うるさいである!!!
私はエリアーデを壊した…もう…生きる気力もないである…」


「自殺に巻き込まれたのね…」




ああ、だからさっきからエリアーデさんの姿が見えなかったのか…ちゃんと破壊できたんだ。それにしても巻き添えで自殺なんてたまったものじゃない。まだ死にたくない!




「さあ私を殺せであるドアホ花―!!」


「「ぎゃぁああああやめろボケ―!!」」


「落ち着いて男爵!!」


「!右腕負傷してるじゃないですか」


「こんなもの…またアクマの血を飲めば治るであろう…はは…はっとんだ化物になったものだ私は……愛していたものを手に掛けてしまった死にたい…」




ガッとアレンが男爵の胸ぐらを掴んで自分の方に引き寄せる。まだ左眼は発動したまま。




「そんなに辛いならエクソシストになればいい
エクソシストはアクマを壊すんですよ。あなたはエリアーデというアクマを壊したんです
そしてこれからもアクマを壊し続ければそれがエリアーデを壊した「理由」になる
理由があれば生きられる…理由の為に生きればいいじゃないですか
あなたもまた神の使徒なんだ…」




その言葉が3人の心にそれぞれ捉え方は違えど刺さる。理由の為に生きる…か。私が生きる理由なんて一つしかない。










「でさこんな人なんだけど…」


「ああ…その男なら確かにここに来たである」


「お―う!?」


「何しに来たの?こいつ」


「イザベルこいつって…」


「御祖父様の訃報を聞いて来た友人とかで預かっていたものを返しに来たと…」


「預かってたモノ?」


「花である。食人花の赤ちゃん」




それに思い出したかのように物思いに耽る。あの時のアレンは気にしない方がいい。ラビを扱いに慣れたみたいで1人だけはてなのクロウリーに優しく説明してくれていた。




「でも花返しに来たって…そんだけ?」


「うむ。ただその花ちょっとおかしくて…突然私に噛みついたと思ったらみるみる枯れてしまったんである。
今思えばあの花が君達の言うイノセンスだったのかもしれない。それ以来私はアクマを襲うようになりエリアーデと……………」




つまり、あの花がなければ彼女とは会えなかった。あの花ながなければ彼女を殺さずに幸せに暮らしていたかもしれない。




「私達は今その男を捜してるんだけど…クロウリー何か知らない?」


「そういえば東国へ行きたいから友人の孫のよしみで金を貸せと…」


「ここでもか……あの馬鹿」


「アレンさっきからイザベルが怖い」


「あはは」




ラビとアレンがそんな話をしていても私の耳には聞こえない。 色々なとこで借金して、まわって来るのは私達だからもう苛立ちしか出てこない。早くクロスに会って腹いせしたい気持ちにかられる。




「先に…城の外で待っていてくれないか…?旅支度をしてくるである」




クロウリーのその言葉でハッとする。あ、いけないいけないクロスの怒りで我を忘れてた。借金の話になるとどうしても性格が荒くなっちゃうから直さないと。私達はクロウリーの言葉に頷き外で待つことにした。




「あ……もうすぐ夜が明けるね」




クロウリー城から見える山の間から太陽が少し顔を出している。空は青と橙に近い色が混ざり幻想的な雰囲気。




「なんか散々な夜だったさぁ」


「でも師匠の手掛かりがつかめました。あれだけの金額を借りてるなら中国大陸まで行けますよ」


「そんな悪いことしたみたいな顔すんなって。
確かにあんま前向きな方法じゃねェかもだけど今のクロちゃんには「理由」が必要だったと思うぜ。いつか楽になれるさ」


「そうだよ…アレンは一人の仲間の命を救ったんだから胸を張らなきゃ」




アレンを励ましていたらドンと背後にあるクロウリー城が爆発した。私達の脳裏に嫌な予感が走る。その激しさに私達は爆発したクロウリー城を不安な目で見ることしか出来なかった。




「はは…何であるかその顔は。死んだと思ったであるか?大丈夫である」




爆発する城からニコニコした顔で出てきたクロウリーにホッとした。新しい仲間が増えた。とても心強い仲間。



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