運命の出会い
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燃やしたクロウリー城を後にしてリナリーとブックマンとの合流地に向かう汽車の中。
「「「…………」」」
「そんな落ち込むなってクロちゃぁーん。しょうがねェだろいくら説明しても信じてくんなかったんだから」
「だが…っ」
クロウリー傷心中。涙が滝のように流れている。なぜクロウリーがこんなに傷心しているのかというと……クロウリー討伐を依頼した村人達にクロウリーの事を説明したんだけど全く信用してくれず更には「去れ!化物共!!!」と言われる始末。小心者のクロウリーはこれでグサリ。
「まぁ気持ちはわかりますけどね。さすがに僕もムカッときましたよ」
「いいじゃん帰れんでも男は胸に故郷がありゃいいんさ」
「…くさい」
「イザベル酷いさ!?」
私だけじゃないアレンもきっとくさいとは思っただろう。私はそれを代弁しただけ。たまにラビってくさい言葉吐くよねぇ。
「クロウリー気晴らしに汽車の中でも見てきたらどう?初めて乗ったんでしょ?」
「う、うむ…そうであるな。ちょっと言ってくるである」
ちょっと嬉しそう。機嫌が直ったみたいでルンルンとスキップしながら見に行ったクロウリーを苦笑いで見送ったのは数時間前の話。いくら待ってもクロウリーは帰ってこないので車両を移動して探索。そして何車両目に突入した車両でやっとクロウリー発見。
「ん?悪いねここは今青少年立ち入り禁止だよ」
ラビ、アレン、私ポカーン。クロウリーがパンツだけの半裸でカードを持ち泣きながら正座し、クロウリーの周りに怪しい青年3人と子供が半円に座っている不思議な構図。
「さーダンナもうひと勝負いこうぜ次は何賭ける?」
「い、いやしかし…」
「何やってんですかクロウリー」
「こ、この者達にポーカーという遊びに誘われて…そしたらみるみるこんなことに…」
「あー…」
いいカモにされちゃったって事か。確かに見た目からカモにされやすいなーとは思っていたけど。本当にカモにされるなんて。
「おいおい逃げんなよぉ?」
「一度受けた勝負だろ男だったら最後までやっていきなよ」
「アレンコート貸して?久しぶりに2人でやる?」
「そうですね。やりましょうか」
アレンからコートを借りてその青年3人組の前にアレンのコートを差し出す。
「このコートの装飾全部銀で出来てるの。これとクロウリーの身包み全部賭けて私とアレンと勝負しない? 負けたら、私これの下着てないけど…これもあげるわ」
「「いやいやそれは駄目!」」
ラビとアレンに全力で止められたのでならそれは無しでと言わざるを得ない。いくら負けるなんてありえなくてもそんな事言っちゃダメですよ!と凄く怒られました。怖かった。そして青年3人組の1人の丸眼鏡をかけた人にその子のコートを賭けに出せなかったのは残念だけどいいよと言われポーカーを開始する。
「コール」
「………………ロイヤル…ストレートフラッシュ…」
「僕の勝ちです」
「だぁああ!ちくしょー」
「アレン鈍ってないねー」
「イザベルこそ。ほとんど勝ってるのイザベルじゃないですか」
形勢逆転。青年3人組はさっきのクロウリーと同じ格好をしていた。私達の後ろには3人組の荷物や衣服が山積みに置かれている。
「どゆことさ?お前ら異様に強くない?」
「イカサマしてますもん」
「マジ!?」
「先に仕掛けてきたのはあっち。カードで負ける気はしないかなー修業時代はクロスの借金と生活費を稼ぐために命懸けで技を磨いたよね」
「そうですね……」
特にアレンなんて大変だったろうな。私は女の子ってのがあって半分同情されたりとかされて甘く貰ったりしてたとこはあったし、そういう技を磨いた。アレンは男の子だから容赦なかっただろう。
「博打なんて勝ってなんぼ…容赦はしません。あっちだって3人グルでやってんですからおあいこですよ」
「アレンが黒ーい…」
「久しぶりに戦いの血が疼くよね」
「イザベルも黒かった…」
その時の私達は若干トラウマが残るくらい黒くて怖かったとラビが後日言っていた。それから勝負はあっという間に終わり彼らは降りる駅へと着いた。勝負はもちろん私達の勝ち。
「はい。仲間の物が取り返せたからもういいですよ。この季節に裸は辛いでしょ?」
「…………少年…情けをかけられるほどオレらは落魄れちゃいねェよ」
「なら、その手はなに?」
「「「あれれ」」」
さすがにこんな寒さの中に全裸に近い格好で出すほど鬼畜ではないので返すとなんだかんだいいながら身体は正直でバックに手が伸びる。そこから服にすぐさま着替えていた。
「おれい」
「?」
今までずっと何も喋らずに見ていただけの男の子が初めて私達の前で喋り、手に握られた何かを差し出してきた。可愛いな。
「イーズそれお前の宝物だろ!待て待て礼ならオレがすっから」
「いいですよ気にしなくて」
「そうだよ」
「いーやオレ好みの綺麗なお嬢さんだったから見物料もだよ」
手を取られて手の甲にキスされた。突然の事に私だけじゃなくてみんながびっくり。あわあわしていたら隣のアレンの雰囲気がどす黒いものを感じた。けど、怖くて見れない。そして列車は動き出した。
「ホイ」
「!?」
「それでカンベンしてちょー」
トランプをアレンに投げて私には投げキッスをされた。キザな人だなと内心苦笑いで表は笑顔で手を振り小さくなるまで見送った。
「イザベル」
「!な、なに…?」
「手を貸してください」
「何するの…?」
「いいから」
迫力に負けて手をアレンに差し出すと手を掴みハンカチでごしごしと拭き取られる。あまりにも強くごしごしとやられて痛いと言うとハッとして謝られ離される。
「でもイザベルは無防備過ぎます。手にキスされてましたし、ポーカーの時だってやたらと距離近くてあんまり集中できなかったんですよ」
「アレン…?」
「っ、すいません忘れてください!」
顔を真っ赤にさせて行ってしまったアレンの背中を呆然として見る。あれはなんだったのかな?鈍感な私には全く分からなくてあんなに焦ったアレンは見たことがないなと呑気な事を考えていた。
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