敵か味方か


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「まったくなんでエクソシストが吸血鬼退治なんかやってるんさー」




無駄にでかい扉を開くと、高い天上の玄関ホールが目に入る。外は不気味だったけど中はそれほどでもない内装はとてもお洒落なんだけど、漂う雰囲気が怖い。




「でも何かおかしくないですか?この吸血鬼事件と師匠と何の関係があるんだろう…師匠は一体何をしにここへ…?」


「たしかに。よく考えると私達に吸血鬼退治させるためにあんな伝言を残すなんてちょっと変かも」


「何だよ?じゃあオレらは一体…い」


「えっラビ!?」


「ラビ!?」




私とアレンの後ろを歩いていたラビが急に倒れて振り返ると私達の鼻腔に甘い香りが広がり咄嗟に鼻を塞ぐ。これのせい?どうやらアレンは匂いに心当たりがあるよう。聞こうとした瞬間、身体が何かに引っ張られる感覚がした。そして持ち上げられ大きな口を開いた花とご対面。……喰われる。命の危険を感じ、イノセンスを発動して食人花を破壊する。




「ラビ!!起きてよラビっ!」


「起きてくださいラビ!!
くっそ!どんどん巻きついて…」


「っラビ起きて!!」


「…う…ほえ…?」


「こらそこの人間共―――――!!何してる!!この子達はアレイスター様の大事な花よ!!」




気絶しているラビが危ないと、2人で必死に食人花と対峙しながら起こしていると、やっと起きたラビ。そして看護婦のような格好をした女の人が姿を表し、私達に怒鳴った。遠目で見た彼女はうん、ラビのタイプだね!面倒な予感がする。




「何か熱い視線を感じる…」


「ストライク!!!」




目が♥になり周りもキラキラしだす。こうなったラビはなかなか手につかない。ブックマンじゃない限りは。だから、面倒なのでため息が零れた。


「ラビ?」


「お――い」




アレンがラビの名をどんなに呼んでも耳には入らず。女の人に向かって手を振る。




「アラ♥ウフン♥」


「うひょう!!!」




女の人も悪い気はしないみたいでウインクをして人差し指を口に当てラビを誘惑。ラビのハートの目が飛び出す。




「可愛い子ね。どう?私の恋人になる?」


「マジ…!?」


「聞けぇ!!!」




呼んでも呼んでも返事をしないので強硬手段。アレンのイノセンスのチョップがラビの頭に炸裂。さすがにそこまですれば、意識はこちらに向いた。




「何すんさー…」


「何あんなのに興奮してんですか!!!」


「アレンそれは言い過ぎ」


「やっぱガキだなアレン」


「はぁあぁぁああっ!?」




アレンの言葉に女の人めっちゃ怒ってるよ。そりゃそうだ。さて、意識がこっちに向いたのでラビがこれ以上暴走しないように、一肌脱ぎますか。




「ラビ。私とあの女の人どっちが好き…?」




ちゃんと上目遣い+涙目。そして団服ちょこんと掴む。そして子首傾げ。これで落ちないわけがない。ほら、案の定ラビの目が今度は私に向かってハートになった。




「もちろんイザベルさ!」


「でしょー?私もラビ大好きだよ!だから、私以外を見ないで…?」




首が千切れるんじゃないかってくらい縦に振るラビを横目に女の人にベーとアレンにピースをすると、アレンがどこでそんな技を……とショックそうな怖そうな顔で見られた。クロスの一応弟子だから、特に女の子だからこういう技は教えられました。ラビに主に役立ってる。ラビだけね。




「あたしはアレイスター様の助手のエリアーデ。あんた達ここに何しに来たワケ?」


「男爵に連れ去られた村人を捜してるんです!」


「村人ぉ?ああコレ?今から埋めにいくとこだけどぉ?欲しいなら…あげるわ」


「!フランツさん……………!?」




女の人とは思えない程の怪力でフランツさんを投げる。アレンが助けようとしたけどそれより先に食人花の口の中に入ってしまい、満足そうに平らげてしまった。けど、その食人花はすぐに爆発した。私達はもろにその爆発に巻き込まれた。




「「「がはっ」」」


「す、すげーさオレら…!!死ぬかと思ったちょっと本気で死んじゃうかと」


「打撲程度ですみましたね。さすが特製の団服…」


「生きてる心地がしなかった……」


「ちょっと吐いていい?腹打った」




って、いいながら既に吐いてるよ。なるべくそんな所なんて見たくなかったので目を背けたら下にあるものを見つけた。




「!ねえアレン、ラビ」


「あ゛い?」


「はい?」


「……墓地があるよ」




土に十字架がいくつも並んでいたので墓地だと思うそれを上から指さす。気になったので私達はそこに向かうことにした。





「これ…連れ去られた村人の墓じゃないですか」


「え?ああ……さっきエリアーデって人が埋めにいくって言ってたね」


「それに…ほら数が八つ。村長さんが言っていた犠牲者の数と合いますよ」


「クロウリーにやられたんは九人だろ?」


「犠牲者の一人目は蒸発したって言ってたじゃ…あっ」




十字架の一つにアレンの手が当たるとパキンと音を立てみるみるうちに十字架の影がなくなりボロボロになって地面におちた。粗末な造りの墓だったから脆かったんだろうね。でめそれにしては脆すぎるような…?




「あ――っ壊した!」


「縁起悪い……」


「うあちょっと触っただけなのに!!」




ラビが大げさなリアクションを取ったのでアレンも大げさなくらい地面に膝をついてごめんなさいと謝る。今日のアレンはトコトンついてないなークロウリー男爵に血を吸われたり墓を壊したり……これ以上起きなきゃいいけど。





「ラビ、イザベル!これ見てください」


「「ん?」」


「これ…!」


「えっ……」



アレンの言われた通り地面に目を向けると墓周辺の地面にいくつもの星が浮かび上がっている……




「地面に五芒星が浮き出てる……!」


「アクマの血のウイルスだ」


「まさか…この墓にいるのはアクマ…!?」


「こっちにも五芒星が出てんぜアレン。そういえばさっき食人花がフランツさん喰った瞬間五芒星が見えたよな………?ありゃあもしかして…」


「アクマを食べたから…!?」




私達はある事を思う。きっと言葉には出さないけど同じ事。あの馬鹿クロスがわざと私達に助けるように仕向けたのは単なる足止めじゃなかったってこと。相変わらずなんにも考えていないようで一番考えてる読めない人だこと。




「…掘ってみよう。ラビ、イザベル」


「確かめるにはそれしかないよね…」


「だな」


「僕らは…何か大きな間違いをしてるかもしれない…」




と、いうわけで近くにあった掘る道具をお借りして大変申し訳ないが墓を掘る。そしてすぐに棺桶が出てきた。




「出たぞ」


「出たね」


「そうですね」


「「……… 」」




無言で見つめ合う。そして手がすっと出されたかと思うと、イザベルは女の子ですから参加しなくていいですよ。と言われて感動した。私を抜かした2人は手を出し合い……




「「じゃんけんポン!」」




勝者はラビ。アレンがチョキのラビがグーだった。敗者であるアレンが手を合わせて失礼します!というと棺桶に蓋を開く。




「……………皮の肉が腐ってる。アクマだ」


「全部そうだね。地面の五芒星は外装が腐って中身が漏れたんだね」


「男爵はアクマを襲っていた…アクマだけを襲ってたんだとしたら…?」


「こりゃ吸血鬼退治じゃないさ」


「クロウリー男爵は間違いなく…」




やっぱりそうか。クロスは知っていたから私達に向かわせた。吸血鬼退治と偽って。




「ラッラビ!!」



アレンが大声でラビ叫んだ。何事だと思ったが感じた気配とあっという間に飛ばされたラビを見てすぐに意味が分かった。最初にみたクロウリー男爵も怖かったけどそれと比べ物にならないくらい怖い顔をしている……つまり、怒っていた。




「…………お前らか。
私を怒らせたな」


「男爵」


「死ねエクソシスト」



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