「姉さん行ってきます」
「行ってらっしゃい」
幸護はお出かけ。綱吉君たちと遊びに行くみたい。楽しそうに中学生活を送れているみたいで姉としてはとても嬉しい。
「さて、と」
暇だから散歩しに行こうかな。あの子達も外に出さなきゃね。家は広いから遊ぶには充分だけどやっぱり外には定期的に出さないと。
「おいで」
「「ガウッ」」
「お散歩行こうか」
「「ガウガウ」」
2匹の目がきらきら光った。言葉は分からないけど楽しみなのが分かる。一応リードを付けて、外へと出る。ホワイトタイガーを外に散歩して不審がられないか心配だけど。
「ガウ〜」
「ガウ」
「2匹とも楽しそうね」
「「ガウガウ!」」
ルンルンして歩いてる。せっかくだから、少し遠出をしようかな。私も久しぶりの日本だから、ゆっくり出来るうちに満喫したいからね。あ、そうだ。幸護が遊びに行った……えっと、名前忘れたも見に行こうかな。うん、そうしよう。
「幸護の所に行ってみようかな」
「ガウ」
「そんなに引っ張らないの!」
「フィロメーナ!」
「…ディーノ?」
「2匹の散歩か?………その様子だと知らないみたいだな」
「……どういうこと?」
「とりあえず乗れ」
たまたま通りかかったディーノに車に入るように促されて2匹を抱えて乗り込む。さっきのディーノの顔からただならぬ話だとは予想がつくけど、私が知らない?どういうことなのか。
「ディーノ……なにかあったの?」
「ああ。今スクアーロが日本にいる」
「!?どういうこと?」
「今門外顧問がツナに指輪を渡すために来ているんだ」
「もう!?早くないかしら………スクアーロはそれを知って?」
「いや、知らないと思う。だがばれるのも時間の問題だ」
この間の電話の移動中ってのはもしかしてこれのこと……?なら、何故言ってくれなかったの。別にやましい事なんてないのに。
「そうだね、ザンザスはボスにどんな手を使ってでもなりたいから。そして、守護者たちもそんなザンザスのためならなんでもする」
「フィロメーナはどうなんだ?」
「私はあくまで中立よ…これに関してはね。でも他でなら私は、ザンザスの為にならなんでもやるし、なんでもできるわよ」
「ははっ、叶わねーなザンザスには。羨ましいぜ」
「…ディーノ」
「そんな顔するなって!仲直りできるといいなザンザスと」
「……しばらくは無理そうだけどね」
優しく頭を撫でてくれる温かくて大きなディーノの手。ザンザスの荒々しい手と違う。ディーノに撫でらると落ち着くしあったかい気持ちになる。スクアーロが日本にきて、もしかしたら敵になるかもしれない私に隠してなにかしようとしてる。仲間外れにされて内心焦っていたのがディーノのおかげで落ち着いた。
「ありがとうディーノ」
「ん?俺はなんにもしてないぞ」
「そういうことにしとく」
リングか…きっとツナ君とザンザスがリングをかけて戦う時が近いうちにくる。そして、真実を目の当たりにした時にザンザスを支えれるようにしなくちゃ。そんな事はないだろうけどみんながザンザスを見捨てても私がザンザスを見捨てちゃだめだ。
「あっぶなー避難させてたらだいぶ遅くなっちゃった」
「幸護!」
「幸護、だと!?」
「カス鮫……ここがどこの領地か分かってる?分からないわけないよね?」
「ちっ雪姫の領地かぁ゛…」
「そういうこと。何があったか知らないけど俺達の家を荒らさないでくれ……何があったか、姉さんにちゃんと教えろ」
幸護とスクアーロが対峙しているのが遠目で見れた。嘘であって欲しかったけど、やっぱり無理だった。
「相変わらずだな、スペルビ・スクアーロ。子供相手に向きになって恥ずかしくねえのか?」
「……スクアーロ」
「ディーノさん!」
「姉さん!」
「跳ね馬ディーノ……フィロメーナ」
気まずそうに私から視線を外した。やましい事がある証拠、か。
「その趣味の悪い遊びをやめねえってなら俺が相手になるぜ」
「ザンザスの命令かもしれないけど、弟の大事な友達に手を出したからね……私も加わるよ」
はっきりいって、これで大人しく退散するスクアーロではないと思うけど。
「う゛おぉ゛い!跳ね馬ぁ…お前をぶっ倒すのは悪くない。だが、同盟ファミリーとやりあったとなると上がうるせぇ。特にフィロメーナを傷つけたらボスになにされるかなぁ。今日は大人しく帰る……わきゃねぇだろ!」
スクアーロがツナ君の頭を鷲掴む。ディーノが鞭を振り回すけど、スクアーロも負けじと攻撃。2人の攻撃がぶつかりあって煙が舞い視界が悪くなる。視界が晴れるとスクアーロの姿はなく地面に座っている3人しかいなかった。
「大丈夫かお前ら!」
「なんとか」
「ハハハ!甘ぇな跳ね馬!今回は貴様らに免じてこいつらの命は預けてやる。だがこいつはいただくぜ!う゛あぁ゛い!」
「なっ!」
「あっ!ボンゴレリングが!」
「は!?ボンゴレリングなのあれ!」
「そうだよ」
確かに。箱にはボンゴレの紋章が刻まれてるから本当だと分かる。あーあれがみんなに渡るのか。大丈夫かしら。一応神聖な物だからちゃんと扱って欲しいんだけど。
「う゛おぉ゛いフィロメーナ!」
「……なに」
「お前がいつまでそっちにいるのか知らねぇがお前の居場所はそこじゃねぇだろぉ゛!」
「……分かってるわよ」
「じゃあな!」
スクアーロは本当に消えていった。門外顧問のバジル君だったかな?は追おうとしてるけど怪我のせいで倒れ、守護者候補と思われる男の子2人はその場で帰して残りの5人とディーノの部下とでディーノの病院へと向かった。その病院でバジル君の手当をしたり、実は奪われたリングは偽物で本物はディーノが持っていたという話をした。ツナ君にボンゴレリングの話をしてリングを渡そうとするも逃げて帰ってしまった。
「彼、面白いわね」
「で、お前はどうすんだ」
「ん?」
「片方があいつらに渡った。お前はどっちにつくんだ」
「……」
「姉さん?」
不安そうな表情でこちらを見てくる幸護に笑いかけて頭を撫でる。
「片方が渡っても私はあくまで中立だよ。別にあっちを贔屓するつもりはない。ただ、今回のやり方はあまり好きじゃない。こっちにつくことがあるかもしれないね」
「そうか」
「結果がどうであれ私は受け入れるよ。雪は2人で1つ。分裂は許されないから……それよりもあの子たちは大丈夫なの?さっきスクアーロに手も出せなかった。本格的にあっちが動き出してきたら太刀打ちできるようになるの?」
「それはあいつら次第だ。もちろん幸護もな」
「分かってるよリボーン。まだスクアーロにすら勝てない。そんなんじゃ守護者として失格だ。だから、姉さん……俺に稽古をつけてください。俺がみんなを引っ張るために!」
「もちろん。可愛い弟からのお願いは聞くよ。ただ、いつもみたいに優しくないからね」
「分かってる!」
可愛い可愛い。頭を軽く撫でると照れくさそうに笑う幸護。可愛い。幼少期あまり遊んでやれなかった分どうしても今こうやって甘やかしてしまう。修行も甘くなりそうで心配。それじゃあ幸護のためにならない。
「さて、じゃあ私達もさっそく帰って修行しましょう」
「はい!」
「じゃあディーノ、リボーン。またねバジル君にもよろしくね」
「また」
「あ、忘れてた。守護者後で詳しく教えてね」
「分かったぞ」
「それじゃあ」
リングが偽物だとばれるまで数日、幸護の修行とともに私もあの人と面と向かう心の準備をしなくちゃ。なんだか、こう緊張していると出会った時の話を思い出すな。