朝告げ鳥に餌を与えよF

 
田中「応急手当! 応急手当を左右田に!」

七海「ううん、でも田中君は偏執症だし……さっきの戦闘に関してはノーコメントするけど、左右田君を助けようとするかな?」

田中「うっ……」

狛枝「なら僕が……って、ああ……緊張症だから技能半分か……」

日向「それでもやってみる価値はあるぞ! 俺もやるから、お前もやれ!」

左右田「七海、俺も振って良いか?」

七海「うん、良いよ。でも一人一回ずつ試してね。成功したらそれで終わり。一つの傷に何人も応急手当出来たら、簡単にHP全快になっちゃうからね」

日向「とりあえず俺から振るか……初期値頑張れ!」




日向の【応急手当(30)】→59→失敗




日向「くっ……すまない!」

狛枝「じゃあ次は僕が……」




狛枝の【応急手当て(50÷2)】→72→失敗




狛枝「やっぱり僕はゴミ屑……! 圧倒的、ゴミ屑……!」

左右田「落ち着けって……最後は俺か……頼むから成功してくれよ……」




左右田の【応急手当(30)】→63→失敗




左右田「あっちゃあ」

七海「あらら。じゃあ……一応出血は止まったけど、左右田君は今にも死にそうな感じだね」

狛枝「ところで、どうやって出血止めたのかな……」

七海「誰かの服を裂いて包帯代わりにしたんじゃないかな」

狛枝「日向君のだね」

日向「さり気なく俺を指定するな! まあ良いけど」

田中「日向の服の袖が、昔の漫画によく居るぎざぎざ袖に……」

日向「そこ使ったのかよ! しかもぎざぎざ袖に……!」

左右田「俺の為に……すまねえ日向……」

日向「気にするな、名誉のぎざぎざ袖だ」

七海「さあ、名誉の負傷と名誉のぎざぎざ袖になった二人と、覇王様と狛枝君。先に進んで貰おうか」

日向「確か……道が左に折れていたんだよな?」

七海「うん、そうだよ。その先に扉があるんだ」

田中「最後の楽園か……」

狛枝「地獄かも知れないね」

左右田「いあいあされるのか……」

日向「変なこと言うなよ! 七海、とりあえず扉を開けて先に進むぞ」

七海「良いセンスだ。扉の先には、広い部屋があります。その中央には三つの長細い箱が設置され、また壁際には棚があり一冊の本が置かれています」

日向「長い箱? 何か怪しそうだな……」

狛枝「とりあえず本が気になるよ」

七海「箱と本だね。箱は知識で、本は目星で振って欲しいな」

左右田「知識は全員で、目星は日向だけで良いよな」

田中「異論は無い」

狛枝「あはっ、大失敗だけはしませんように……」

日向「変なフラグを立てるな!」




【知識】
日向(70)→10→成功!

狛枝(85)→39→成功!

田中(35)→97→大失敗

左右田(65)→50→成功!




田中「貴様ああああああああああああああああっ!」

狛枝「ごめええええええええええええええええんっ!」

七海「成功した三人は、この箱が棺桶だと気付くよ。大失敗した田中君は……中から名状し難い冒涜的なものが出て来るような気がして、SAN値が1D3削れるよ」

田中「ぬわああああああああっ!」




【SAN値喪失】
田中(40)→1D3→1→39




田中「っせええええええええふっ!」

狛枝「もう発狂してるし、最大値逝っても良いじゃない」

田中「殴るぞ貴様」

左右田「棺桶か……嫌な予感しかしねえや」

日向「だな……兎に角、俺は本を目星するぞ」




日向の【目星(99)】→1→大成功!




七海「本の題名は『色彩の歴史』だよ。目星に成功した日向君は、付箋が貼られている頁があることに気付きます」

日向「その頁を見るぞ」

七海「じゃあ、内容を見せるね」




【付箋のあるページ】
■禁色とは
「色を禁ずる」と書くように、特定の色の使用を禁じたものを指す。
 特に律令制が生まれた頃、これが顕著であった。
 ただし、これらの禁止は、天皇の許しを得た場合は使用可能となると言う。
 ここに眠る方々は、皆、その禁色の衣を見にまとい眠っている。
 東宮は黄丹、帝は黄櫨染、院は赤。
 この色の移り変わりは、太陽の変化を表していると言われている。




七海「以上だよ。あっ、大成功した御褒美がまだだね。日向君は、何となく右の棺桶が気になってくるよ」

日向「な、何だそのストレートなヒントは! とりあえず皆にもこの情報を開示する」

七海「許可します」

田中「確実に死体入りだこれぇぇっ!」

狛枝「田中君……いや、もう良いや」

左右田「死体じゃないかも知れねえだろ」

田中「生きていると言うのか」

左右田「いや、ゾンビ的な」

田中「やっぱり死んでんじゃねえか!」

狛枝「ところで右が怪しいんだよね、開けてみようよ」

日向(完全スルーされちゃってるよ覇王様……)

七海「じゃあ狛枝君はびくんびくんしながら右の棺桶を開けるよ」

日向「……えっ、ちょっと待ってくれまだ心の準備と逃げる準備が」

七海「問答無用、情け容赦無し! 皆が棺桶に注目している中、狛枝君は開けちゃいました!」

日向「うわああああああああ」

七海「中には何と……ぱんぱかぱーん! 黄丹の衣を羽織った骸骨が寝かされていました!」

日向「うわああああああああ」

七海「あとね、鶏の人形が一緒に寝てるよ」

左右田「おっ、もしかして朝告げ鳥か? 持って行こう」

狛枝「あはっ、これでシナリオクリアも目の前だね!」

田中「制圧せし氷の覇王である俺様には、この程度の試練など餓鬼の遊びに過ぎぬわ!」

七海「左右田君が鳥を持つってことで良いのかな? 良いよね。さて、発狂中の面白……げふんげふん。発狂している三人はもう良いから、日向君は骸骨を見たことによるSANチェックしてね。成功で1、失敗で1D4+1だよ」

日向「七海、俺を発狂させたいだけじゃ……」

七海「そうだよ」

日向「 」




【SANチェック】
日向(38)→67→失敗

1D4+1→4+1→33




七海「さて、一時間以内に元のSAN値の五分の一を喪失しちゃった日向君は、不定の狂気に陥るよ。おめでとう!」

狛枝「おめでとう」

田中「おめでとう」

左右田「おめでとう」

日向「ありが……って! このポジションはどう考えても狛枝だろ! 中の人的に!」

狛枝「僕に中の人なんて居ないよぉ……」

左右田「中には誰も居ませんよ?」

田中「ないすぼーと……」

七海「さあさあ日向君、1D10振って狂気を決めて貰おうか」

日向「泣きそう」




【狂気決定】
日向→2→記憶喪失




七海「わあ……」

日向「此処は何処だ、俺は誰だ!」

左右田「記憶全消去かよ!」

狛枝「せめて此処に来てからの行動全てを忘れたくらいに留めようよ」

日向「もうこうなりゃ自棄だ、俺はお前等のことも忘れた! 知りません、赤の他人です!」

田中「特異点が乱心した!」

左右田「発狂したから仕方ない」

狛枝「仕方ないね」

七海「じゃあ記憶喪失になってハイテンションになっている日向君は扨置き、皆に聞き耳して貰いたいな」

日向「扨置かれた! 俺も聞き耳させてくれよ」

七海「うん、良いよ」

日向「良いのかよ!」

左右田「日向の突っ込みが段々雑になってきたな」

日向「ぶっ通しでやってんだぞ……というか、お前が最初から突っ込み放棄するからだろ……! 超高校級のツッコミだろ! しっかりしろよ!」

左右田「超高校級のメカニックだっつうの!」

七海「はいはい、聞き耳してね」

日向・左右田「うぃっす」




【聞き耳】
日向(50)→22→成功!

狛枝(75)→66→成功!

田中(50)→5→大成功!

左右田(50)→31→成功!




七海「皆は、何処からか空気が流れてきていることに気付いたよ。大成功した田中君は、天井が怪しいことに気付いたね」

田中「ふはっ! ならば天井を注視してやろう」

左右田「釣られて俺も見る」

狛枝「僕も僕も」

日向「じ、じゃあ俺も」

田中・左右田・狛枝「どうぞどうぞ」

日向「おい!」




日向の【目星(99)】→35→成功!




七海「釣られて目星した日向君は、天井に設置された梯子を発見するよ」

日向「不本意だが、皆にも教えるぞ」

田中「梯子だと? もしやこれは、天界から垂らされた蜘蛛の糸……!」

狛枝「位置的に考えて、四聖獣の像があった部屋に繋がってるんじゃないかな……」

左右田「いや、異次元に繋がっている可能性も……」

七海「色々期待して貰っているところ悪いけど、狛枝君が正解だよ」

田中「しゅん」

左右田「擬音を口で言うな」

狛枝「とりあえず梯子を登って上に行こうよ。さっきの道、またあの化け物が出たら怖いし」

左右田「俺も賛成。これ以上穴だらけになったら死ぬし」

狛枝「じゃあ僕はがちがちの身体で、左右田君を気遣いながら梯子を登るよぉ……」

左右田「じゃあ俺は、狛枝をどうやって殺そうか考えながら梯子を登るぜ」

七海「まさに狂人、だね」

田中「ふむ……ならば俺様は、高慢に不遜に梯子を登るぞ」

日向「どんな登り方だよ! まあ……俺も記憶が無くて不安だから、独りになりたくないので皆に付いて行くぞ」

七海「うん、皆梯子を登るんだね。登った先は……さっきも言ったように、四聖獣の像があった部屋だよ」

左右田「確か二階で食わせなきゃなんねえんだよな?」

狛枝「うん。そして紙を信じるなら、朝告げ鳥は常に東を向いているみたいだね……とりあえず僕は、方角をしっかり記憶するよ」

七海「抜かり無いね」

狛枝「いざって時に『東ってどっちだっけ?』ってなったら怖いしね」

七海「ふむふむ、良い心掛けだよ」

田中「ふはっ! 俺様は二階へと続く階段を華麗に駆け上がるぞ!」

左右田「じゃあ俺は、田中を後ろから撲殺する為に後を追う」

狛枝「方角をしっかり記憶してから、左右田君の後を追うよ」

日向「独りは嫌だから皆に付いて行くぞ」

七海「了解だよ」

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