構ってちゃんの合図




近頃、新撰組は多忙になってきた
池田屋の一件等で俺達の働きを認めてくれたらしい
新撰組が有名になり、近藤さんを押し上げられるのならどんなに忙しかろいが構わねぇ

だがたまに前ばかり見て突っ走ってる俺を引き止めんのは他のための誰でもねぇ
ずっと餓鬼のままだと思っていた、お前なんだな









「…で、総司、テメーは此処で何してやがる」
「何って、見てわかりません?日向ぼっこですけど」



机に向かい、筆を進める俺のすぐ脇でゴロンと横になっているデカイ体
声を掛けたら負けだと自分に言い聞かせ、存在を無視して早一刻
そこから動く気配が微塵もないソイツに、とうとう無視を諦めた俺は、書状に顔を向けたまま問い掛けた

まともな答えが返ってくるなんざ微塵も思ってねぇが
日向ぼっこってなんだよ、日向ぼっこって



「んなもんテメーの部屋でしやがれっ!」
「この時間帯だと、僕の部屋かげっちゃってるんですよ」
「なら他あたれっ、テメーみてぇな図体デケぇ奴に寝られちゃ邪魔なんだよっ」
「邪魔だなんて酷いなぁ。大体、さっきから机に向かってばかりで動いてないんだから、僕がこうしてたって…」

「あぁあぁ、わかったよ…なら勝手にしろっ」



総司とこういう言い争いで勝った試しがねぇ
怒鳴りつけたってスッと避けて、最後は自分のいい結果に持っていく
だからこれ以上は無駄だ
いらねぇ時間を作っちまう位なら、一度身を引く
それが俺がここ暫くで出した答えだった

総司との会話を適当に切り上げて筆を書き進める
これの後にも仕事は山ほどあるんだ
静かになった部屋で集中しようと意識を向けるが、
やけに背中に突き刺さってくる視線
この視線の後に来る言葉は容易に想像できた



「土方さん、僕…死ぬ程暇なんですけど」
「んなもん知るか、俺は死ぬ程忙しいんだ」
「何か面白い事してみせて下さいよ」
「それこそ他あたりやがれ。平助とか新八辺りがその辺に居んだろ」
「土方さんがいいんですぅー」

「可愛かねぇぞ」
「…ちっ」



こうして一通り断った後はまたフラッと居なくなる
他の暇潰しの対象になる奴を探しに行くんだが、
今日は違うらしい
キッパリ断った後も、何故か寝転んだまま動かない総司
でもそれ以上何を言ってくる訳でもなく、ただ静かに日向ぼっこをしていた

それならそれで構わねぇだろうと、書き終えた書状を机の端に置き、
次の仕事に取りかかる
と…





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