狂わせた恋 


※ダークです閲覧注意!



「ヒャーヒャッヒャッ」






暗い部屋に響く狂った笑い声






「どーだナマエ、赤く染まった気分はよ」










赤く充血した目で私を見る切原赤也は、私の彼氏










そして私はその彼氏を狂わせてしまった。

監禁され早2週間。




私にはもう、自由と言う言葉がなかった。




「他の男の所へ行く足なんていらねえよな」

「ッあ!!」




アキレス腱を切られ、立つことすら出来ない状態。




手は鎖で縛られている。
幸い、目は目隠し程度で許してくれた。








「あの日、なんで裏切ったんだよ……」







裏切ったんじゃない……



赤也を喜ばせたかったの









「なんであんな嬉しそうだったんだよ!!」









赤也の喜ぶ顔を想像したら、嬉しくなったんだよ……








「なんで……なんで………どーして…」






私の想いはもう、赤也には届かない。

















監禁された理由は、赤也の誕生日前日の事






赤也と仲が良い男子に、買い物を付き合って貰った





だけどそれが見つかり、赤也は勘違いして現に至る。


「私はっ……赤也を……悲しませた……」


「今更何だよ……」


「ごめんね……ホントは……こんなはずじゃ…なかったの……」


「喋んじゃねーよ!!」




俺はナマエの腹を思いっ切り殴る。



もう何も……言わないでくれ……



「赤也……ごめんなさい…」



なんで俺は、小さな嫉妬でナマエをこんなボロボロにさせたんだよ……



「私……赤也が大好きだよ…」





ナマエの、心と身体を……




「あの日の…言い訳はしない……」




「ナマエ……」




「遅くなっちゃったね……誕生日…おめでと…あ…かや…」




「ナマエ!ナマエ!!」






悪いのは俺で





俺がバカだから






大切なものは、失ってから気づくって酷いよな……









「ごめんなナマエ……大好き…だよ…」






俺はナマエに近付き、冷たくなった唇にキスをする




もうその目は開かない


大好きな声も聞けない




我に返るのが早かったら……


こんな酷い事をしなかったら……


俺が狂わなかったら……


誤解なんかしなかったら……



ナマエを信じてたら………





次々と頭に浮かぶのは後悔の言葉だけ。





だが最後の手段を決めた俺は、痩せてしまったナマエを撫でもう一度キスをした。

ナマエの顔を見れるのは、これで最期だから……


あれから何日か経ち、学校では大騒ぎになった



ナマエが行方不明……




ナマエの親や警察が、事情聴取の為に彼氏である俺の所に来た。




でも俺の所にナマエは居ない。



勿論、死体だってない。
















だってナマエは、俺のトコに居るんだもん。






















俺の中で、ナマエは生きている。














きっとそれが、俺に出来る恩返しだから。







「大丈夫、ナマエは生きてますよ」



俺の中で……







「心配しなくても平気ッスよ」





ナマエは俺だけの為に居てくれればいい














「今日は天気がいいな」




綺麗な秋空が広がる。
そんな空を見上げたら




「赤也、大好きだよ!」


ナマエの声が、聞こえたような気がした。



(今日も俺は、綺麗な空の下でナマエと共に生きていく)



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